犬の脳ってどうなってるの?
犬って賢いですよね。人の言葉を覚えて理解したり、人の感情を読み取ったり、100個程度の単語を聞き分けることができるとされています。知能が高いとされる犬種では、倍の200個程度の単語を聞き分けることができるとも言われています。
そう聞くと、(これは何か特別な脳の仕組みによるものなのでは…?)と考えてしまうのではないでしょうか。
犬種によって脳の構造に違いがある
33の犬種を対象とし、MRIで犬の脳をスキャンするというような研究では、『犬種によって脳の形状に違いがある』ということが分かっているようです。『その犬種がどのようにして品種改良を行われてきたのか』という点がポイントで、加えられた改良によって脳の形状が異なるとしています。
たとえば体を小さくするための改良が行われた犬の場合、頭部が丸くなっており、その頭骨内に丸い脳がぴったりと収まるようになっているのだそうです。また、頭部が細長い犬の場合、脳も細長く伸びた形状をしており、頭骨内には隙間があるとされています。
犬の脳と人間の脳の違い
犬と人間の脳を比べても、実はほとんど違いはありません。意外ですよね。犬の脳と人間の脳では、大きさや形状に違いはあるのですが、構造にはほとんど違いはなく、「ほぼ同じ」と言ってよいと思います。
ひとつ違いをあげるとすれば、前頭前野という部位の発達の違いがあります。人間の前頭前野は脳全体の30%を占めるのに対し、犬の前頭前野は脳全体の7%です。これは脳の最高中枢であるとされている部位なのですが、創造性や思考を担っているとされています。脳の部位の中では、犬や他の動物と比べても人間の前頭前野が最もよく発達しているのだそうです。
犬は嗅球(嗅脳)が発達している
犬の嗅覚が優れていることはご存じかと思いますが、これは嗅球(嗅脳)という部分が非常に発達しているためです。
直立歩行である人間の場合、嗅脳は退化しており、地面と離れた場所で生活をするようになったことが理由なのだそうです。
犬も人間も他の動物も脳の構造はみんな同じ
基本的な脳の構造は犬も人間も他の動物も同じです。記憶を司る脳のシステムもみんな同じです。とくに記憶を司る脳のシステムに関しては、あまり進化することなく変わりがないため、犬も人間も他の動物もよく似ているのだそうです。
ただ、犬と人間と他の動物の記憶力を比べた時、最も記憶力に優れているのは人間である、というイメージを持ちますよね。その通りで、人間は得た情報を優先順位をつけて記憶し、保有・整理することができます。反対に、必要性が低い記憶や長期間使われていない記憶は忘れられていきます。
生活スタイルの違う犬と猫では脳にも違いがあるのか
群れを成し、昼間に活動する犬。単独を好み、夜間に活動する猫。脳にも様々な違いがあります。前頭前野を比べると次のようになります。
- 人間の前頭前野は脳全体の30%を占める
- 犬の前頭前野は脳全体の7%を占める
- 猫の前頭前野は脳全体の3%を占める
短期記録でも比べてみましょう。どれくらいの時間、記憶を保持していられるのか、というものです。
- 人間の短期記録は10秒~1時間
- 犬の短期記録は10秒
- 猫の短期記録は10分
犬を叱った時、10秒後にはもう忘れてしまっているだろうと言われています。
うちには犬と猫がいますが、苦手な爪切りをした後、犬は喜んでご褒美のおやつを受け取りに来ます。猫は警戒して寄ってきません。しばらく身を隠してしまいます。これも短期記録によるものなのかなと思います。
まとめ
犬の脳の形状は犬種によって違うことが分かりましたね。品種改良を加えられる過程で変化していったのだと思います。
基本的な脳の構造に関しては、犬と人間と他の動物を比べた時、ほとんど違いはありません。脳のどの部位が最も発達しているのか、ということを考えると違いが見えてくると思います。