犬が不安になりやすくなる背景とは
犬たちはもともと様々な性格を持っているものです。おおらかな犬、少し神経質な犬、面倒くさがりの犬、活発な犬など、犬種によるおおまかな傾向はあるものの、それぞれの個体別の性格は異なります。
犬は、飼い主とのかかわりあいやふれあいによって情緒が安定します。これは、かつて群れで生活し、家族との絆で安心感を得ていた習性からきています。また犬たちは大きな環境の変化がストレスになるため、一緒に生活する際に急激に環境を変化させないことも大切です。
しかしこの習性が、人間と暮らす上で少し問題になることがあります。
群れで暮らす動物は、基本的にひとりになることがあまりありません。しかし人間と暮らすようになると、仕事中や登校中などの間はひとりで留守番をしなければいけない場合も。また、引越しや模様替え、新しい家族が増えるなど、環境の変化を伴うイベントを経験したりすることになり、犬が不安になってしまう可能性は何度も訪れます。
おおらかな性格の犬であれば乗り切れるこれらの「変化」であっても、場合よっては大きな不安を感じてしまう犬もいるでしょう。
「不安になりやすい犬」の特徴とは
では「不安になりやすい犬」にはどのような特徴・共通点があるのでしょうか。
1.神経質
もともと神経の細やかな犬の場合、生活環境の変化にとても敏感です。そのため、飼い主がいつもより長時間不在であったり、自分の生活圏内で聞き慣れない大きな物音がしたりなどすると、急にパニックを起こすことがあります。
また反対に、飼い主が普段より長時間在宅していたり、生活のパターンが変わったりすることでも「いつもと違う」と不安を強くすることも。
2.老齢
長年のパートナーであっても、加齢により感覚機能や認知力が低下すると不安を覚えるようです。これは人間でも同様でしょう。今までできていたことや分かっていたことが、体の自由が利かずにできなくなれば、だれでも不安に思うはずです。
3.悲しい過去を持つ
心に大きな傷を負ってしまった場合、それは強い不安とストレスをもたらします。犬の場合には、大好きな飼い主から引き離されたり、信頼できるはずの飼い主から暴力を振るわれたりした場合に起こります。
犬が不安を感じたときの様子とは
上記のような「不安になりやすい犬」が実際に不安を感じてしまうと、以下のような状態になることがあります。
- 後追いが激しくなる
- 大きな声(いつもとは違う声)で鳴き続ける
- 破壊行動を起こす
- 自傷行為
あまりに不安感が強い場合、飼い主が自分の視界から消えただけでこれらのような症状があらわれるようになります。この状態は「分離不安症」と呼ばれ、犬の代表的な精神疾患の一つとして知られています。
不安になりやすい犬の克服方法
あまりにひどい不安症状が出ているようならば、これは精神疾患の一つでもあるため、早めの受診と投薬による治療などが必要になります。
しかし薬だけでなく、普段の行動からあまりにも不安になりやすい犬の場合は、飼い主として適切な対応をすることが大切です。そのためには犬に「安心」と「慣れ」を覚えてもらう必要があるでしょう。
まず『犬は飼い主が大好きだ』ということはしっかり覚えておきましょう。飼い主のニオイや飼い主の声などは、彼らにとって「安心」できる材料のひとつとなります。留守番をする際やちょっと環境が変わる際など、飼い主のニオイのついたタオルや古着などをちょっと貸してあげるだけで愛犬の不安は解消される可能性が高くなります。
また、犬たちの自立心を育むためには、少しずつでも環境に慣れていってもらう必要があります。飼い主の外出に慣れさせるために毎日ちょっとずつ犬の前から姿を消し、その時間を少しずつ長くしてみたり、苦手な音などは小さな音量や離れた場所から聞かせてみたりというように、なんでも「少しずつ」時間をかけて慣らしていくと良いでしょう。
まとめ
人間同様、不安を感じるシチュエーションや感じ方は、犬によって異なります。どんな犬も初めての経験をするときは不安でいっぱいなものです。
何でもないことの様にケロリとして受け入れる犬もいる一方、些細な出来事も大きな不安となってストレスで問題行動をとる犬もいます。
まずは愛犬の性格をよく観察・理解し、不安行動をとるシチュエーションを把握してあげること、そしてその状況に少しずつ慣れさせてあげることが彼らのストレスを減らすために大切ですね。