飼い主がそばにいると犬同士はよく遊ぶ?その理由とは
愛犬が他の犬と対面する機会があるとき、飼い主としては仲良く遊んでほしいものですよね。犬同士がじゃれ合って遊ぶ姿はとても微笑ましい光景です。
実は『飼い主がそばにいると犬同士でよく遊ぶ』ということが、動物行動学者のLindsay Mehrkam博士らの研究でわかりました。この研究は飼い犬2匹とその飼い主を対象に合計10組で行われ、「飼い主が注目することで犬同士の遊びが促進されるのか」という仮説のもと、実験が行われました。
実験では、以下の3パターンのシチュエーションに分けて行われました。
- 【パターン1】
- 飼い主が愛犬を褒めたり撫でたりと、何かしらのアクションを取る場合
- 【パターン2】
- 飼い主がその場にいるが、何もアクションを起こさない(無視する)場合
- 【パターン3】
- 飼い主が部屋にいない場合
その結果、【パターン1】において犬同士の遊びが活発になった、とされています。同じ内容の実験を3度繰り返し行っても、【パターン1】が一番効果が高いという結果になりました。
しかしなぜ、飼い主が注目している状況だと犬同士の遊びが促進され、追いかけっこや甘噛みなどのじゃれ合う姿が頻繁に見られたのでしょうか。
その疑問について研究チームが出した答えについて、それぞれ解説していきましょう。
1.飼い主に構ってもらうこと自体が嬉しいから
犬は飼い主に撫でてもらったり、声をかけられること自体を『ご褒美』と捉えていることが多く、遊びを通して飼い主がアクションしてくれることを求めている場合があります。私たち人間も褒められると「もっとやってみよう」と思いますよね。
それと同様に、犬も(この子と遊んでいたら飼い主さんが撫でてくれた!もっと遊んだら、その分もっと撫でてくれるかも♪)と飼い主のアクションをご褒美としているようです。犬の中でその期待がループして行動に繋がり、遊びがさらに活発となるわけですね。
2.何かしらのご褒美がもらえると思っているから
1と少し似ていますが、自分たちが遊ぶことでおやつを貰ったり、飼い主も一緒に遊びに参加するなど、「何かしらご褒美が得られる」と学習しているからと考えられます。
犬同士で遊ぶことも楽しいと感じていますが、加えて具体的なご褒美を得られると理解すると「もっと遊んでみよう」という気持ちになり犬同士の遊びが頻繁に行われるようですね。
3.飼い主がいると安心するから
飼い主がその場にいるという安心感から、「オキシトシン」というホルモンが分泌され、活発な遊びにつながるとも言われています。オキシトシンが分泌されると、ストレスや不安などが緩和され、目の前の事に集中できるようになると考えられています。
今回の実験結果で人間と犬の間の『観客効果』を初めて証明しました。観客効果とは、心理学用語で「単に他者が傍らで見ているだけでも社会的促進を生じさせること」をいいます。つまり今回の実験で、「飼い主の注目が、犬同士の遊びを促進したこと」を表しているのです。
他の犬と遊ぶ時に注意したいこと
これまでの内容から、飼い主が注目することで犬同士の遊びが促進されるということがわかりました。しかし、実際に犬同士を遊ばせるときはいくつか注意したいことがあります。
相手の飼い主さんから遊びの許可を得る
他の犬に会ったとき、いきなり犬同士を近づけさせるのではなく、相手の飼い主さんに「触れ合わせてもいいか」を確認しましょう。相手の犬の性格によっては、怯えさせてしまったり攻撃的になってしまいます。
許可を得たあとはリードを短く持って、目を離さないように気をつけましょう。
すぐにリードを外さない
ドッグランなどノーリードOKな場所でも、愛犬が興奮してコントロールできなくなっては危険です。
まずはリードをしたまま、愛犬がその場の雰囲気になれるまで過ごしてくださいね。
どちらかが嫌がっていたらすぐに離れる
愛犬が相手の犬にしつこく構ってしまったり、興奮して攻撃的になってしまった場合、すぐ距離を離し落ち着かせる必要があります。
反対が愛犬が嫌がっている場合でも、なるべくすぐに察知して離れるように意識しましょう。
まとめ
今回は飼い主がいると犬同士の遊びが促進されることについてご紹介しました。
飼い主が褒めたり撫でたり声をかけること自体をご褒美としていること、おやつを貰えたり飼い主と遊べるなど具体的なご褒美を貰えると学習していること、その場に飼い主がいる安心感の3つの理由から遊びが活発になることがわかりました。
犬同士が遊ぶ姿はとても微笑ましいもの。マナーを守ってたくさん遊ばせてあげたいですね。