他人への興味、二種類
犬が持つ他人への興味には大きく二種類に分かれます。敵意のあるものか、友好的なものか。そのどちらかの心理により、対処の仕方を変える必要があります。
ここでは、飼い主さん（家族）以外の他人へ友好的な興味があり、そのためにグイグイと落ち着きなく近寄ってしまうといった、フレンドリーなタイプの心理について、その心理と対処をお伝えします。
興味を示す３つの心理
1.お愛想をすると、ママが喜んでくれるよ
特にゴールデンやラブラドールなどのレトリバー系、アメリカンコッカースパニエルやトイプードルなどに多く見られがちな心理かもしれません。これらの犬種は、もともと誰に対しても友好的な気質を持った犬の系統です。
犬が飼い主さん以外の他人に対して興味を示して近づいた際、「すみません～。うちの犬は人が好きで～、もう～、ダメでしょう～」などと言いながら笑顔で対応していると、犬はどう思うでしょうか。
犬は「あ、そうか。知らない人に近づいていけば、なでてもらえるし、ママもニコニコしてとっても嬉しそう！もっともっと他人好き好きアピールしちゃおう！」と、学習してしまいます。
犬は飼い主さんからほめられることが大好きですし、飼い主さんの喜んだ顔が見たい生きものです。こうした勘違いをさせないように、興奮する前に引き上げるなどの対策を取るのが良いでしょう。
2.ねえ、あの人は何を持っているの？
「あの人は、どんな匂いがするのだろう。何を持っているのだろう。もっと近くであの人の匂いを嗅いでみたいよ」。こんな心理から、欲求を抑えられず、興奮して他人に近づく犬もいます。
犬は、興味のあるものの匂いを、できるだけ近くで、気のすむまで嗅ぎたいという習性を持っています。しかし、犬の苦手な人もいますし、犬が好きでも、近距離でにおいを嗅がれることを好まない人もいます。
「犬が匂いを嗅ぎたいから」という理由だけで、興奮した犬を他人に近づけるのは、ちょっとマナーに欠けた行為かもしれないですね。
3.とにかく人が大好きで、止められないんだ
飼い主さんが好き、他人が好き、みんなが好き！！！という子がいます。フレンドリーにふるまえる、というのは社会性を持った犬の行動ですが、その「他人が好き好き！」な気持ちを飼い主さんがコントロールできない状態であるのは、いけません。
犬の欲望のままに突っ走ってしまうことが癖になると、他人に興奮し、家でしているようなじゃれつきや、飛びつき、顔舐め、果てにはマウンティングまで…。こうなると、もはや社会性を持った犬というよりは、少し問題がある犬と飼い主さんと言えますので、特に中型、大型の犬は注意が必要です。
考え方
他人にグイグイと近づき、興奮している状態の犬をどうすればいいか。答えは、興奮させないことです。この行動に困っている飼い主さんのほとんどは、犬を「興奮させ」、「他人へ行かせて」しまっています。
辛口なコメントをしますが、ご自身の行動を顧みずに「うちの犬は他人をみると興奮して」とか、「他人に興味がありすぎて困っています」と、ご相談にいらっしゃるのですが、それを許しているのは、飼い主さんです。
「犬がこうなんです」ではなく、自身はそのシーンで、犬がふるまうのが理想なのか。そうした明確なイメージを持ち、ぶれない線引きをすることから、対処法は始まります。
具体的な対処例
- 犬が他人に興味を持って興奮したからと言って、リードを長く伸ばさない
- 犬を他人に挨拶させる前に「オスワリ」などでクールダウンさせる
- 他人に触ってもらう、挨拶をさせるときは、短時間で
- いつでも「おいで」の指示で、飼い主さんの手元に戻るように教える
などなど
まとめ
子犬のうちは他人にたくさん合わせ、経験を積み、ある程度成犬になったら、つつましくふるまい、ある程度のご挨拶をしたら、飼い主さんの元にすみやかに戻ってくる。こんなシーンが理想ではないでしょうか。
