パニックについて
パニックとは経済用語で「恐慌」を表す言葉ですが、一般的には危機に直面したときの心理的・社会的な混乱状態を指しています。
これは人間でも動物でも同様に起こる現象で、何らかのストレスを感じるとそわそわしたり落ち着かない気分になったりしますが、そのストレスがさらに強烈なものになるとその場やそのストレスからすぐ離れたい・逃げたいという心理状態になります。
この心理状態で既に平常心ではありませんが、強すぎるストレスは脳の処理能力を鈍らせたりパンクさせたりしてしまうため、理性的な行動ができず本能的な行動が強く現れてしまいます。この状態が「パニック」です。
犬がよくパニック状態に陥る原因は「大きく聞き慣れない音」、「強い興奮」、「分離不安」の三つと言われています。パニックに陥ると、大声で吠えて見境なく走り回ったり、ひどく攻撃的になったり、部屋の隅でブルブル震えていたりといった行動が見られます。
いずれにせよ酷い興奮状態なので、ケガや病気の悪化などのリスクもあるため犬がパニックに陥ったときはなるべく早く落ち着かせられるように飼い主自身が落ち着いて対処することが必要です。
犬がパニックに陥っているときのNG行動
犬がパニック状態のとき、おそらく飼い主さんは慌てて犬を落ち着かせようと対処することでしょう。お散歩の途中であればリードを引いて自分の方に寄せようとしたり、オヤツを使ったり、あるいはオスワリやマテなどを強く指示してしまったり。
しかしこれらの行動は全て「飼い主の焦り・動揺」として犬に伝わってしまいます。その結果、更に犬がパニックに陥ってしまうこともあるのです。
ではここからは、犬がパニックに陥っている時にしてはいけないNG行動について、具体的に解説していきましょう。
1.大きな声(強い声)を出す、追いかける
大きな声(強い声)を出したり、追いかけたりすることは、犬にとってさらに興奮を煽ることになるのでNGです。
たとえば、犬の行動を止めようとして強い口調で「オスワリ」「マテ」と指示を出すことはおすすめできません。そもそもひどい興奮状態の犬たちにはどんなコマンドも通じませんし、パニック状態と指示を結び付けて覚えてしまう可能性があります。
そのようなことをしてしまうと、その後に指示をきかなくなったり、興奮しやすくなったりすることがあるのでくれぐれも注意しましょう。
2.拘束する
犬が興奮しているからといって、犬を無理矢理クレートに入れたり、リードを強く引いて拘束したりすることもNGです。
犬は通常の状態であれば、クレート内を「安全・安心」な場所として認識し、リラックスするかもしれません。しかし、興奮状態や恐怖状態の犬にとって、クレートは逃げ場がなく、余計にパニックを煽ることにつながります。
また、リードを強く引いてしまうことも、引っ張られたことに対して抵抗することでさらに興奮してしまいますし、場合によっては首輪やハーネスから逃れて脱走の危険もあります。
まとめ
愛犬がパニックに陥ってしまったとき、飼い主はなんとか落ち着かせようと慌てて行動してしまいます。しかし慌てることは犬にとっても不安なことでしかなく、とにかく冷静に行動することが犬たちへ安心感を与えることができ、結果的に早くパニック状態から回復することにつながるでしょう。
またパニックになってから対処するより、パニックにならないで済むような環境作りをしていくことが、犬にとっては一番なのではないでしょうか。飼い主のそばにいれば何があっても安心だ、と思ってもらえるように頑張っていきたいものですね。