犬の学習理論を知ることで、行動の原理がわかる

犬の学習理論を知ることで、行動の原理がわかる

犬の学習理論、つまり「どのように学習をするのか?」ということなのですが、ここを知っておくと「なぜしつけの方法に厳しさ、優しさ、という方法論が混合しているのか」がわかります。まず犬をしつけるために厳しくする必要も叱る必要もありません。むしろそれをすることで逆効果で状況が悪化したり、あなたとの信頼関係は間違いなく壊れていきます。犬との信頼関係を築き、人間と犬がお互いに協力しあう仲になるためには、犬に厳しく接したり罰を与えることは絶対にNGです。ここでは犬の学習理論をと原理を知って、ぜひ優しい方法で犬と信頼関係を築いてください。

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犬の学習理論「環境→行動→変化」を知ろう

お手をする茶色の犬

オペラント条件づけ、古典的条件づけ、とさまざまな行動心理学の用語がありますが、ここではそのような難しいことは省き、犬がどのような原理で学習をするのか、その学習理論についての説明をしていきます。

学習の原理は単純です。

『環境→行動→変化』というプロセスをたどって、犬の学習とそれに伴う行動は形成されてきます。環境とは物・音・人・他の動物など犬の周囲をとりまく全てを指します。行動は犬が今置かれている環境を変えようとするためにとった行動。変化はその行動の結果です。

例えば、犬におすわりを教えたいとします。おすわりを教えるためにはどうしたらいいのか、それを犬の立場に立ち「環境→行動→変化」に当てはめてひとつずつ構成を組み立ててみましょう。

  • 人間はおすわりをしてもらいたい
  • 犬は人間の考えていることを知らない

では、「犬にどうやったらおすわりしてもらえるか?」ということについてですが、特に何かをしようとしなくて良いです。ただあなたがすべきことは、『観察』と『トリーツ(ごほうび)の提供』です。

犬を観察し、偶然おすわりしたら「いいこ!」「そう!」など褒め言葉と一緒にトリーツを提供します。ここで使うトリーツは、ドッグフードを1回の提供につき1粒でOK。

特にこの時点では、犬はトリーツをもらえた理由をわかっていないと思います。しかし、その偶然のおすわりとトリーツの提供が数回繰り返されると、犬はだんだん学習していきます。

「あれ?座ったらなんかおいしい物もらえる♪」

こうなると、どんどん犬は自ら進んでおすわりをするようになります。これを『環境→行動→変化』に当てはめてみると以下のようになります。

環境:飼い主さんがいるとき

行動:おすわりをすると

変化:トリーツがもらえる

その結果、その犬に「おすわり」の行動が増える、という流れになります。これが犬の学習理論です。

犬の行動を変えたいならポジティブな経験を与える

おやつをもらう犬

犬の学習理論から、「叱る」「厳しくする」ということは一切なかったことがわかったかと思います。ただ観察し、犬がこちらの望む行動をしたら、それに対してトリーツなど犬にとってうれしいこと(ごほうび)を提供するだけです。

もちろんそこには、褒め言葉や行動をしてくれたことによる嬉しさ、高揚感などポジティブな感情が溢れていたことでしょう。嬉しいし、楽しいし、もっとやってみたいという気持ちになりませんか?

そしてこれは「オスワリ」や「フセ」といった行動に限らず、「吠える」「飛びつく」などのさまざまな行動の修正や、新しい行動の形成など全てに使えます。それを行なうための細かく丁寧なプロセスが必要にはなりますが、大前提としてこのポジティブな方法が変わることはありません。

これをときに厳しく叱るという方法でやってしまうと、犬はそのネガティブな結果が自分に降り注ぐことに怯え恐怖し、それを回避するために攻撃をするようになります。もしくは、攻撃をすることはなくても常に飼い主さんのご機嫌を伺うようになり、甘える素振りを見せてもそれは信頼ではなく「どうか優しくしてね、怖いことはしないでね」という精一杯の訴えです。

あなたのことが大好きで信頼してるからの行動ではない…なんて悲しいですよね。

お互いに信頼しあい、楽しい関係を築きたいのであれば、犬の行動に対してアプローチする方法は、厳しさではなく「優しさ」ただひとつです。

犬とのポジティブなトレーニングは飼い主も楽しい

顔をなめる犬とその女性

ときには厳しくする、叱る必要がない!むしろ「楽しい」「嬉しい」を提供することで、どんどん犬が意図する行動をしてくれるようになる!という環境や状況は、飼い主にとってもすごく楽しいと思いませんか?これを苦痛に感じる人はいるでしょうか。私は少なくとも、そのような環境を苦痛に感じている人や犬は見たことありません。

逆にときには厳しくする必要がある、叱ることも必要だ、上下関係をしっかりしなければならない、という方法で取り組んでいる人ほど、辛さを我慢して周りからの「虐待では?」という声に耳を塞ぎながら日々を過ごしていると思います。

犬と生活するうえで必要なトレーニング、しつけというものは、本来そんな辛いものではありません。犬も人も楽しく結果を得ることができる、それが本来あるべき姿です。

まとめ

座って犬の手を持つ女性とプードル

犬の学習理論は「環境→行動→変化」から成り立っています。

「環境を変えるためにある行動をすると良い結果が得られた。だからその行動が増えるようになる。」

これに当てはめて行なうのが、いわゆる正の強化をメインにした『ポジティブドッグトレーニング』というものです。そこには主従関係や叱る、厳しく、というネガティブなものは一切ありません。だから犬も人も楽しく取り組むことができるのです。

「しつけには厳しさも必要」というのは大きな間違い、誤解です。どうか、愛犬と愛と笑顔であふれる楽しい充実した日々を送ってください。

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