犬は『自分の名前』を把握しているのか
愛犬を呼ぶ時、皆さんは名前で呼んでいますか。それとも名前を短く略したあだ名で呼んでいますか。毎回決まった『名前』で呼ぶことで、犬たちはしっかり反応してくれますよね。では、犬は『自分の名前』として把握しているのでしょうか。
1.犬に「名前」という概念はない
元々野生動物として暮らしていた犬たちは、他の動物と同じように『名前』という概念は存在しません。お互いを見た目、匂い、鳴き声などで判断していたからです。
したがって、現在も名前を呼ぶと振り返ってくれるからといって「名前を呼ばれている」という認識はありません。つまり『自分の名前』としては把握していないのです。
2.飼い主が自分を呼ぶときの合図という感覚
では、なぜ犬たちは『自分の名前』を呼ばれると反応してくれるのでしょうか。これは犬の知能が高いことも関係しています。
毎回、飼い主が同じ言葉(名前)を声に出しながら自分を見てくれる、この言葉に反応したら喜んでくれた、散歩に連れて行ってもらえたという経験を重ねることで、「この言葉は飼い主が自分を呼ぶときの合図なのだ」と学習するのです。
「自分の名前が呼ばれた」と人間のような感覚ではなく、「この言葉をかけられたということは、良いことが起こるかも!」「飼い主さんの指示を聞かなくちゃ」という感覚に近いと考えられます。
名前ではなくあだ名で呼ばれている時は理解しているの?
飼い主によっては愛犬の本当の名前が4文字以上で長いなどの理由から、正式な名前ではなくあだ名で呼んでいるというご家庭も多いです。では、名前ではなくあだ名で呼ばれている時は、名前と同じように理解しているのでしょうか。
結論から言うと、あだ名で何度も呼ばれているうちに名前と同じように「自分が呼ばれている」「良いことが起こるかも」といった感覚で反応するようになります。
すると、『あだ名』が『名前』の代わりとなるため、犬にとってはあだ名が聞き覚えのあるコマンドとなり、本来の名前を把握している可能性は低いでしょう。
もちろん、名前とあだ名のどちらで呼ぶのがいいということはありません。愛犬が「呼ばれている」と認識できれば問題ないので、お好きな呼び方で声をかけてあげましょう。
犬を呼ぶときは『絶対にやってはいけないこと』に注意して
最後に、犬を名前やあだ名で呼ぶときに絶対にやってはいけないことをご紹介します。以下のような使い方は愛犬が混乱してしまったり、「呼ばれても応えたくない」と思うようになってしまったりするため、改めましょう。
1.叱るときばかり名前を呼ぶ
叱るときにばかり名前を呼んでいると、犬は『名前』に対してネガティブな感情を抱くようになります。すると、可愛い愛犬に愛情を込めてつけたはずの名前に警戒心を抱くようになってしまうのです。
犬は名前を『自分の名前』として認識していません。「このコマンドで次に何が起こるか」という指示や合図としての認識に近いです。
そのため、犬にとって悪いタイミングで名前を呼んでいると、名前を呼ばれるたびに悪いことが起こると認識してしまい、名前に応じなくなったり呼ばれると警戒心を見せてきたりするようになってしまいます。
2.家族で呼び方が統一されていない
あだ名で呼んでいるご家庭で多く見られるNG行為に、家族で呼び方が統一化されていないという注意点が挙げられます。
ある家族は名前で呼び、ある家族はあだ名で呼び、またある家族は別のあだ名で呼ぶ…という状況が続くと犬は混乱してしまい、いつまで経っても自分が呼ばれていると学習することができません。
家族で飼う際は必ず犬の呼び方について話し合い、みんなで統一させるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。犬は『名前』という概念がなく、コマンドに近い認識を持っています。そのため、叱ったり苦手なことをさせたりする時ばかりではなく、愛犬が喜ぶようなタイミングで名前を多く呼んであげましょう。