犬にとって理想的な睡眠時間って?寝すぎや睡眠不足のサインまで解説

犬にとって理想的な睡眠時間って?寝すぎや睡眠不足のサインまで解説

人にとっても犬にとっても、睡眠はとても大切なものです。睡眠中に脳のメンテナンスや疲労の回復、成長ホルモンの分泌などが行われます。睡眠不足になった場合には、心身の健康が損なわれてしまいます。さて、あなたの愛犬は十分な睡眠を取れていますか?この記事では、犬にとって理想的な睡眠時間と睡眠の過不足サインについてご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の睡眠パターン

ヘソ天で眠る4頭の子犬

犬も人と同じように睡眠中、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を交互に繰り返していることが分かっています。

ただし、その割合は人と異なります。人はレム睡眠が約2割でノンレム睡眠が約8割であるのに対し、犬はレム睡眠が約8割でノンレム睡眠が約2割と言われているのです。つまり犬の睡眠のほとんどは、浅い眠りということになります。

オーストラリアの研究では、犬は16分の睡眠と5分の覚醒を繰り返しているという報告がされています。24頭の犬の睡眠を観察し分析した結果、この21分周期のパターンが8時間に平均23回繰り返されたそうです。

人の睡眠周期は約90分で、一晩に4〜5回繰り返すのが一般的です。それと比べると犬の睡眠周期は短く、数多く繰り返されています。

犬の眠りが浅く睡眠周期が短いのは、睡眠中も外敵を警戒しなければならなかった野生時代の名残と考えられています。眠っていても危険が迫ればすぐに行動できる睡眠パターンになっているのですね。

犬にとって理想的な睡眠時間はどのくらい?

気持ちよさそうに眠るビーグル

愛犬と家で一緒に過ごしていると「寝てばかりいる」という印象を受ける飼い主さんは多いのではないでしょうか。中には「うちの子、寝すぎなのでは?」と、心配になる飼い主さんもいるかもしれません。

では犬の理想的な睡眠時間はどのくらいなのかというと、個体差があるため一概には言えません。しかし、犬の1日の平均睡眠時間が大体の目安になるかと思います。年齢ごとの1日の平均睡眠時間は次のようになります。

  • 子犬(1歳未満):18〜19時間
  • 成犬(1歳〜6歳):12〜15時間
  • 老犬(7歳以上):18〜19時間

犬は飼い主さんに合わせて夜にまとめて眠る以外にも、ちょこちょこ昼寝をして1日のトータルで半日以上眠っています。犬は眠りが浅いため、その分たくさん眠って補っているのです。

活発に動き回る子犬は、体力の回復や成長のためにも十分な睡眠が不可欠であり、成犬よりも長く眠ります。そして体力が衰える老犬は疲れやすく疲労回復にも時間がかかるため、成犬よりも多くの睡眠が必要です。

犬の睡眠時間は年齢だけでなく、大きさや犬種によっても差があると言われています。大型犬は小型犬よりも睡眠時間が長くなる傾向があります。体が大きい分エネルギーの消費量が多く、それを回復するのに時間がかかるのかもしれません。

そして狩猟犬や牧羊犬は、ほかの犬種よりも睡眠時間が短い傾向にあるようです。その理由は諸説ありますが、一説によると長い時間活動できるように適応していると言われています。

犬の睡眠の過不足のサインは?

あくびをするM・ダックスフンド

人は寝すぎたり睡眠不足になったりすると頭痛や倦怠感、集中力の欠如などが起こります。犬にはどのようなサインが見られるのでしょうか。

1.寝すぎのサイン

犬が寝すぎであるサインは、睡眠時間が長いという以外にこれといってないようです。ただ、寝すぎると心身をリラックスさせる副交感神経が優位になりすぎるため、何となくだるそうにすることがあるかもしれません。

ちなみに睡眠時間が長いのは、病気のサインであることもあるので注意が必要です。明らかに寝てばかりいる場合は、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、糖尿病といった病気が原因かもしれません。食欲に変化はないか、多飲多尿になっていないかなどをチェックし、動物病院を受診しましょう。

2.睡眠不足のサイン

睡眠不足になると免疫力が低下し、さまざまな病気になりやすくなるため、愛犬の睡眠不足のサインは見逃さないようにしたいものです。犬が睡眠不足になると次のようなサインが見られます。
 

  • 疲れやすくなる
  • 怒りっぽくなる
  • 無駄吠えなどの問題行動が増える
  • 食欲不振

睡眠不足になると疲れやすくなり、散歩の途中で帰りたがったり、あまり遊びたがらなくなったりします。怒りっぽくなったり問題行動が増えたりするのは、睡眠不足になるとイライラしやすくストレスがたまるからです。

愛犬に睡眠不足のサインが見られたら睡眠不足の原因を探り、原因に合わせた対処をすることが大切です。生活環境の変化や安眠できない睡眠環境、体の不調、ストレスなどが睡眠不足の原因になります。

疲れやすかったり食欲がなかったりする場合は、病気が原因である可能性もあるので、数日続くようであれば念のため動物病院を受診しましょう。下痢や嘔吐などほかの症状も伴っている場合は早急に受診を。

まとめ

犬用ベッドで眠る犬

愛犬の健やかな生活に、十分な睡眠は欠かせません。個体差はありますが、犬の平均睡眠時間から考えると、成犬の場合1日に12時間は睡眠が必要と言えます。子犬や老犬は1日に18〜19時間程度睡眠を取らないと、体調を崩してしまうかもしれません。

犬は睡眠時間が長くても元気なら問題ないことが多いです。しかし明らかに寝てばかりだったり、様子がおかしかったりする場合は動物病院を受診しましょう。

一方睡眠不足は長期間続くと健康に影響を及ぼすため、愛犬の睡眠不足のサインを見逃さないようにしましょう。また、日頃から愛犬がよく眠れるように生活環境や睡眠環境を整えてあげることも大切です。

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