なぜ犬は顔をなめるのか
犬が飼い主の顔をなめるのには、こんな理由があります。
- 代表的なものはやっぱり愛情表現。大好きだよありがとう、とか、そんな気持ちです。
- 単純に、おいしい味がするときも人の口周りを舐めます。
- 目上の者に対する、尊敬の念という意味もあります。
- 不安を感じているアピールとして、怖いよ、助けて、というメッセージの場合も。
- 大丈夫?元気を出して、と、飼い主さんを励ます意味も含まれています。
そういえば、子犬に多い行動かも
そういえば…。という話ですが、シニアに比べ、子犬の方が、より人の顔をペロペロと舐めるような気がしませんか?
それもそのはず。この行為は野生時代の名残りのひとつです。子犬は、母犬に食べ物をねだる際、母犬の口周りを舐めて、母犬が食事を吐き出すのを待ちます。
現代の母犬は、食事を吐き出して離乳食を自ら与えるということはありませんが、今でも母犬は、子犬の汚れた口元を舐めて清潔にし、陰部をなめて排泄を促し、全身を舐めることで毛づくろいをします。ですから、子犬にとって「舐める」という行為は、つい最近まで母子間で行われてきた、最高のスキンシップなのですね。
他に、オオカミなどのイヌ科の動物では、目上の顔を下から舐めあげることで、相手への忠誠心を示すということが確認されています。
激しい顔ペロをやめさせる方法2つ
愛情表現や、甘え、慰めなどの意味を持つことを十分にお分かりいただけたところで、激しすぎる顔へのペロペロ攻撃に困っている方に向け、やめさせる方法を2つご提案します。
1.顔を舐められたら離れる
顔を舐められたら犬と距離を取ります。ただそれだけでいいのです。ここでやってしまいがちなのが「こらこら~」「ダメよ~」などの途中半端なリアクションをすることです。
よろこびか、嬉しがっているのか、警告や注意か、はたまたストップの指示なのか。このような態度を飼い主がすることが、犬の感情をあいまいにさせます。また、人の都合で叱ってしまうのもいかがなものでしょうか。
さらに、ちょっとのペロペロはいいけど、これ以上はダメ、とか、いつもはいいけど、今日はダメ。また、家族はいいけど他人にやってはダメ。という飼い主さんもいますね。こうしたボンヤリとしたうやむやさが、犬を混乱させてしまいます。
と、いうわけで、最も早く、ストレートに犬に伝わる「顔ペロ防止法」は、単純に犬の口元から自分の顔を離すことです。犬は、顔ペロだけが愛情表現ではないことを理解します。そうして、子犬は大人の精神に成長していきます。
2.舐めそうになったら指示を出す
愛犬が顔を舐めそうになったら指示を出します。もちろんその指示は「NO」や「ダメ」ではありません。「オスワリ」です。そして指示にしたがったらほめて遊びます。この方法のキモは、犬からの愛情表現を拒絶するのではなく、受け止めて、別の方法にチェンジして愛情をお返しすることにあります。
顔を舐めるときの犬の気持ちというのは、愛情表現が一番多く、ときに不安や慰め、敬意を払う気持ちもあるでしょう。いずれも「大好き、大好き」「ちょっと怖いよ~」「助けてよ」「尊敬してます」「逆らいませんよ」といった、自分をゆだねる気持ちからの行動です。
この時、犬は飼い主さんから認められたい、自分の気持ちを分かってほしい。そんな反応を期待しています。その期待を満足させてあげるために、顔を舐めることとは関係のない行動「オスワリ」を指示し、それに従ったらたくさんの愛情でほめて遊びます。
犬は、顔をペロペロと激しく舐めることだけが、愛情を確かめる手段ではないということを知り、もっともっと、あなたからの指示に従いたくなります。なぜなら、そこには、自分からの愛情を受け止め、愛情をお返しをしてくれるあなたがいるからです。
まとめ
いかがでしたか。犬の『顔面ペロペロ』が止まらない時はコレをして!落ち着いてもらうための対処法2つをお送りしてきました。
最後に私自身の考えでは、犬に顔をなめさせるような癖は不要だと思っています。衛生的な面や、他人へのマナーとして、早期に犬に教えてあげてほしいと願っています。愛情表現は、顔を舐めること以外でも十分感じることができますので。ただ、可愛いんですよね。犬が顔を舐める仕草って…。