自治体を悩ませる犬のフン放置
アメリカでは約7割の家庭が何らかのペットを飼っており、中でも犬は人気No.1のペットです。雑誌などでは毎年「犬と暮らしやすい全米の都市ベスト10」などの統計結果が発表され、犬といっしょに住みやすい街づくりを目指す自治体も少なくありません。
しかし「犬が暮らしやすい街」には当然多くのドッグオーナーと犬たちが集まって来ることで起こる問題があります。そのひとつが公園や街中に放置された犬のウンチです。
これはニューヨークに限らず、世界中の多くの自治体や住民の悩みの種でもあります。日本も例外ではありませんね。
機能していなかったフン放置禁止条例
ニューヨーク市では1978年にペットの排泄物条例が制定され、犬のフンを処理せずに放置することは長年に渡って条例で禁止されています。
条例には「犬を所有または管理している者は、その犬が歩道、側溝、道路、その他公共の場所に残したフンを取り除き、合理的な方法で処理しなくてはならない」とあります。犬の飼い主やドッグウォーカーなどがこれに違反した場合には1回につき250ドル(約3万2千円)の罰金が課せられます。
しかし実際には市当局が市内を見回って違反者を取り締まることはほとんど行われておらず、実質野放し状態となっていました。
「犬のウンチを片付けてくれる妖精さんはいません!」
しかし市に寄せられる犬のフンに関する苦情が増えた結果、2022年4月同市衛生局は犬のフン放置に本腰を入れて取り組むことを発表しました。衛生局員や警察官がフンの放置現場を発見した場合、積極的に違反切符を切り罰金を課していくとのことです。
犬のフン放置問題はニューヨーク市の中でもマンハッタンのチェルシーや、グリニッチビレッジと言ったお洒落エリアで特に顕著だと言われています。犬のウンチを片付けることが美意識に反すると考える人は犬と関わるべきではないですね。
特に苦情の多い地域では市会議員が「There is No Poop Fairy=犬のウンチを片付けてくれる妖精さんはいません!」と名付けたキャンペーンをスタートさせました。このキャンペーンは犬の散歩をする人が多いエリアに、ウンチを適切に処理するよう呼びかける大型の電子看板を購入する資金を提供し、注意喚起をするものです。
またキャンペーン期間中は違反者を摘発するためのパトロール警官を増員することも発表されています。
まとめ
アメリカのニューヨーク市で、市衛生局、警察、市会議員が協力し合って、犬のウンチを放置する飼い主やドッグウォーカーを積極的に取り締まり罰金を課していくことを発表したというニュースをご紹介しました。
日本の自治体でも犬のフン放置を防止する条例は数多く制定されているのですが、以前のニューヨーク市と同じく実際には取り締まられていない例がほとんどのようです。
本来ならこのようなことで警察や役所の手を煩わせることなく、取り締まりなど必要のないのが一番です。取り締まりの強化はありがたいとも言えますが、きちんと処理している人にとっても窮屈さが生まれるのも必至です。
愛犬のウンチを拾って処理することは、他の住民の方や自然環境への敬意と尊重です。そして何よりもウンチを拾う時の観察は愛犬との大切なコミュニケーションの一環です。
地域の衛生や美観を守ることはもちろん、愛犬の健康状態を知るためのコミュニケーションを手段を無駄にしないためにも、しっかりとウンチを処理しましょう。