下半身に異変が!?犬の下半身に症状が出る『危険な病気』5選
犬は言葉を話せないため、自分の体の異変に気がついても言葉で飼い主に伝えることができません。しかし行動や仕草、性格の変化などで症状をアピールしていることはあります。
今回は、犬の下半身に症状が出た時に考えられる『危険な病気』を5つご紹介します。ここで紹介する症状が出たら、まずは早急に動物病院で診察・検査を受けましょう。
1.変性性脊髄症(へんせいせいせきずいしょう)
変性性脊髄症とは、神経疾患の1つです。時間をかけて徐々に下半身から全身へと麻痺が広がっていく病気ですが、現段階で原因は不明です。後ろ足のふらつきから始まり、徐々に動かせなくなることが多く、症状が進行すると前肢の動きも徐々に悪くなります。
最終的に首付近まで症状が広がると、首にある延髄にある呼吸中枢に影響が及び呼吸がしにくくなるといった症状に発展するケースも多く、発症から3年ほどで進行していく病気だと考えられています。
病気自体を完治させる方法は見つかっていませんが、理学療法が病気の進行を遅らせることはできるため、積極的に運動させることが勧められています。早期発見・早期治療すること、椎間板ヘルニアと鑑別することが大切です。
2.環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)
環椎と軸椎の関節部分が不安定になることで起こる環軸椎亜脱臼は、下半身のふらつきや四肢の麻痺といった症状が初期段階で見られることが多く、症状が進行すると立つことができなくなる犬もいます。
また、症状が悪化することで呼吸に必要な筋肉部分が麻痺してしまうケースもあり、呼吸困難によって危険な状態に陥る犬も珍しくありません。
小型犬で発症することが多い病気と言われていますが、衝撃による怪我などで発症する場合は、中型犬や大型犬でも見られることがあります。
3.大動脈狭窄症(だいどうみゃくきょうさくしょう)
大動脈狭窄症は、心臓病の1つで猫で見られるケースはあまりありませんが、犬では大型犬でよく見られる心臓病として知られています。
初期段階では症状が現れることが少なく、治療も必要のない病気として、健康診断などで発見されても要観察となることが多いです。ただし、徐々に進行していくことで後ろ足のふらつきや湿疹、疲れやすくなるなどの異変が生じるため、内服薬による治療が行われます。
また、重症化してしまうと不整脈を突然引き起こすケースもあり、最悪の場合、突然死に至る危険性があります。したがって大動脈狭窄症を発症した場合は、定期的に検査をし、適切な薬の処方が必要となります。
4.馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)
腰からしっぽあたりに広がる脊髄からつながる細い神経の束をを馬尾神経と呼び、この馬尾神経が圧迫されることで引き起こされる様々な病気を指す総称が『馬尾症候群』です。主に高齢期の大型犬に見られることの多い病気ですが、小型犬でも見られることがあるため、注意が必要です。
馬尾症候群を発症すると、どの部位が障害を受けているかによって症状が異なりますが、進行することで後ろ足のふらつきや尿もれ、排便障害、後ろ足の不自由さなどが目立つようになります。
レントゲンやCT、MRIなどによって病気の症状、原因などを考慮した上で治療法が決められます。早期発見・早期治療が重要な病気なので、症状が進行する前に動物病院に相談しましょう。
5.脳腫瘍
老犬で下半身にふらつきや麻痺といった症状が見られる場合は、脳腫瘍が疑われます。下半身の異常以外にも痙攣や食欲の変化、元気消失、失禁、認知症のような行動、性格の変化などの異常が見られるようになります。
治療はその時の症状によって処置が異なります。腫瘍自体を取り除くこともあれば、腫瘍自体を治療するのではなく、脳腫瘍によって起こっている症状を軽減する薬を処方する方法がとられることもあります。
どのような治療法でも早めに治療を開始することで、症状の重症化を防ぐことができるため、少しでも異変を感じたら、まずは動物病院で診察・検査してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたか。下半身にふらつきや麻痺、排尿障害などの症状が現れた場合は、神経や脳などに異常が起きている疑いがあります。今回紹介したような危険な病気が隠れていることも少なくないので、まずは動物病院で診てもらいましょう。