️犬の「肉球」の基礎知識
肉球はプニプニした感触ですが、表皮は分厚く硬い角質で覆われています。肉球に独特の弾力があるのは、皮下組織に脂肪やコラーゲンなどの成分が混在しているからです。
また、肉球の正式名称は「蹠球(しょきゅう)」といい、部位ごとに名前がついています。
《前足》
- 指球(しきゅう):指先にある5つの小さな肉球
- 掌球(しょうきゅう):大きな肉球
- 手根球(しゅこんきゅう):手首近くにある肉球
《後ろ足》
- 趾球(しきゅう):指先にある4つの小さな肉球
- 足底球(そくていきゅう):大きな肉球
️犬の肉球の役割
足を衝撃から守る
犬は、4本の足先で全体重を支えています。肉球は蜂の巣状(=ハニカム構造)になっているので、地面からの衝撃を分散させることができます。歩行時や着地時、足の骨や関節を守るクッションのような働きをしています。
滑り止め
肉球の表面には、小さな円錐状の突起が密集しています。爪がスパイク、肉球が滑り止めとしてグリップのような役目を果たしています。急な方向転換や急ブレーキでは、肉球が役立っているんです。
体温調節
肉球の皮膚が厚いおかげで、熱や寒さは皮膚の内部に伝わりにくくなっています。肉球には「汗腺」があり、少しだけ汗をかくことができます。
️肉球ケアを怠ると生じる悪影響
では、このような働きをする愛犬の肉球のケアを怠った場合、どのような悪影響が生じるのでしょうか。
1.乾燥しやすくなる
加齢によって新陳代謝が悪くなると、体の水分量が減っていきます。肉球から水分が失われて乾燥状態が続くと、ひび割れや出血といった炎症を起こしやすくなります。
2. 肉球の硬化・角質化によるリスク
アスファルト、コンクリートの上を歩いたり、外部からの刺激によって、肉球の角質化が進みます。硬くなった肉球は滑りやすく、関節トラブルや転倒の原因となってしまいます。
️肉球の正しいお手入れ方法とは?
前述のような症状にしないためには、以下のような肉球ケアで愛犬をお手入れしてあげる必要があります。
タオルで汚れを拭く
散歩帰りの肉球を清潔に保つには、濡らしたタオルで汚れを落としてください。タオルで汚れが拭ききれない場合は洗いましょう。濡れたままだと雑菌が繁殖しやすくなるので、余分な水気は乾いたタオルで拭き取るようにしましょう。
ジェルやクリームで保湿
肉球の保護・修復には、保湿が欠かせません。犬専用のジェル、クリームで肉球をマッサージしてあげてください。
違和感から犬が舐めてしまうことがあるため、シアバターやホホバオイルなど安全な成分が使われている製品を選びましょう。
足裏の毛をカットする
室内犬は、肉球の間の毛が伸びやすいです。足裏の毛が伸びて肉球が隠れてしまうと、フローリングで滑りやすくなり、関節に負担がかかります。
お手入れとして月に1回程度、バリカンや先の丸いはさみで毛をカットするようにしましょう。
自宅でうまくいかない場合はトリミングサロンや動物病院でカットしてもらいましょう。バリカンやはさみで肉球をケガしてしまうと治りにくく感染を起こしやすいです。
️まとめ
摩擦によってダメージを受けやすい犬の肉球ですが、他の皮膚組織より再生能力が劣っているため、一度怪我をすると治りにくいです。
真夏日のアスファルトは温度が急激に上昇するため、肉球の火傷や熱中症の危険性が高まります。散歩の時間帯を工夫し、日が沈んでいたとしても、手で触って地表面温度を確認してから安全性を判断してください。
毎日の肉球ケアと散歩後のチェックを習慣化して、犬の体調変化に気を配りましょう。