1.ズーノーシス
ズーノーシスは人と脊椎動物との間で起こる感染症です。人獣共通感染症とも呼ばれており、犬から人に自然と移行する可能性のある病気です。
感染源
- 感染している犬に噛まれた
- 感染している犬に爪でひっかかれた
- 感染している犬の排泄物に直接触れた
このような感染原因を「直接伝播」と言います。犬から人に感染する主な原因です。
予防法
ズーノーシスの病原体は200種類以上と言われています。感染し、発症すると重症化しやすい病原体もあります。予防のためのワクチンが存在しない病気もあるため、日頃から予防のための対策をしなければなりません。
犬の口の中にある常在菌が感染源となることがあります。愛犬の口周りのお手入れや歯磨きをした後は、十分に手洗いをするようにしましょう。
また、愛犬が飼い主の口の周りを舐めることでも感染する場合があります。普段は何ともないかもしれませんが、風邪や疲れで体や免疫力が弱っている時に限って感染することがありますので注意しましょう。
2.トキソカラ症
子犬に感染し、様々な臓器を移動しながら成長し、小腸で成虫になる「回虫」という寄生虫がいます。成犬が回虫に感染した場合、体内で成虫になることがなく、症状が出ないという特徴があります。母犬が回虫に感染している場合、胎盤や乳汁を通じて子犬に感染することがあります。
最も厄介なのは人に感染した場合です。「トキソカラ症」と呼び、稀ではありますが重篤な症状を引き起こすことがあります。
感染源
- 犬のうんち
- 犬の毛
愛犬の毛に回虫の卵が付着していた場合、抜け毛と共に散布され、飼い主の口の中に侵入してしまうことがあります。
感染した場合の症状
犬から人へと感染した場合、体内で成虫になることはありませんが、幼虫のまま移動します。幼虫が内臓を移動した場合、次のような症状が起こることがあります。
- 咳
- 呼吸困難
- 肺炎
- 胸痛
幼虫は眼球にも移動することがあり、失明に至る恐れがあります。充血や痛みがある場合は要注意です。
予防法
愛犬の定期的な検査と駆虫によって、人へ感染することを防ぐことができます。また、愛犬と触れ合った後に手を洗うことも重要です。
3.狂犬病
狂犬病を発症すると100%の確率で死に至ると言われるほど恐ろしい病気です。日本では1956年以来、狂犬病の発症はありません。しかし、世界各地では今も狂犬病で亡くなる人がいます。
感染源
狂犬病の病原体を持つ犬に噛まれると発症すると言われていますね。犬に噛まれた時、唾液を通じて感染します。
ウイルスを持っている哺乳動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることでウイルスが神経系の細胞に感染します。唾液の付いた爪でひっかかれても感染する可能性があります。
予防法
日本では犬への狂犬病予防接種が義務付けられています。役所などでの集団接種も行われていますし、動物病院での接種も可能です。
海外に行く場合はあらかじめ狂犬病の予防接種を受けますが、渡航先でも不用意に動物に近づかないようにしましょう。感染元は犬だけではなく猫やコウモリ、その他の哺乳類が狂犬病のウイルスを保持している可能性が高いです。
犬と接する時に注意してほしいこと
犬から人に感染する病気の感染源は愛犬だけではありません。他所の犬から感染することがあります。
犬と触れ合った後は十分に手を洗うようにしましょう。水洗いだけではなく、石鹸やハンドソープを使うとさらに良いでしょう。手指用の消毒液を使うのもよいです。
迷子の犬を保護した時は、自宅には入れない方がよいです。庭や玄関先にケージやクレートを用意してあげてください。段ボールや大きな箱でも構いません。まずは健康診断を動物病院で受けましょう。
犬と触れ合った後、体調不良が起こる場合があります。犬から人への感染症である場合、一晩で急激に症状が悪化することがあります。普段の風邪と症状が似ていることから見落としがちです。とくに子供さんは注意して見てあげてください。
まとめ
犬から人に感染する病気を3つ解説しました。
- ズーノーシス
- トキソカラ症
- 狂犬病
トキソカラ症や狂犬病もズーノーシスの一種ですが、特に項目を分けて取り上げました。このような病気の中には犬に症状は出なくても、人が感染すると重篤な症状を引き起こすことがあります。
予防できる感染症があります。愛犬への予防接種や定期的な検査を受けさせるようにしましょう。