犬が飲み水で『食中毒』に!?注意すべき感染ルート4選

犬が飲み水で『食中毒』に!?注意すべき感染ルート4選

気温が高くなってくるとわんこも人間も気をつけたいのが食中毒。その感染ルートをどれくらい知っていますか?今回は注意すべき点をまとめました。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

わんこは食中毒にかかりにくい?

ごはんに舌なめずりする犬

そもそも食中毒とは、食べものなどを介して中毒を引きお推す可能性のある細菌やウイルスを体内に取り込んでしまったことが原因で起こります。とはいえ、わんこは床に落ちたものや砂にまみれたものなどを口にしても体調を崩すことは少なく、そもそも食中毒を起こすのだろうかという疑問もあるかと思います。

実際、わんこの胃酸は人間の胃酸と比べて酸性度合いが強く、殺菌能力が高いといわれています。これは野生界で暮らしていたころの名残りと考えられますが、だからといって食中毒にかからないというわけではありません。

むしろ人間社会に溶け込んで暮らしている現代のわんこは免疫が弱まっている可能性もあり、飼い主さんが十分に注意してあげる必要があります。

意外なものも!食中毒の感染ルート

食中毒のイメージ

1.市販のドッグフード

何となくの見た目とイメージから、ドライフードよりウェットフードの方が食中毒のリスクが高いように思うかもしれませんが、ウェットフードは多くの場合、1回分を使い切ってしまうのであまり問題にはなりません。

問題なのはドライフードです。ドライフードは1か月分程度の量が1袋に入っているのが一般的ですが、食べきるまでに何度も開閉を繰り返すため空気に触れる回数が多くフードが酸化するリスクが高まります。

またウェットフードも「一度開封したら使い切る」と注意書きがされているかと思いますが、この注意書きを守らずに小分けにして食べていると当然雑菌が増殖するリスクが高くなります。

2.手作り食

わんこの健康を思っての手作り食ですが、手作り食は調理の過程でさまざまな菌に接触する機会があるため、食中毒の感染ルートとなりやすい欠点があります。

包丁やまな板といった調理器具、調理スペースのテーブル、調理している人の手指など、さまざまなところについている雑菌が紛れ込んで繁殖することがあるためです。

また、食材に火が通りきっておらず生焼けの状態になっていると、時間が経つにつれて雑菌が増殖してしまいます。

3.生肉

言わずもがなですが、生肉は食中毒の感染ルートとして最もメジャーなものです。わんこは生肉が好きというイメージが強いかもしれませんが、生肉は細菌を保有しているリスクも高いため、安易に与えるのは控えたほうが良いでしょう。特に高温多湿となる夏場は細菌の発生リスクが高まるので要注意です。

4.飲み水

食中毒と聞くと「食」という文字から食べものには注意が向くものの、「水」を意識する人は少ないかもしれません。ですが実は飲み水も食中毒の感染ルートになりえます。

水を入れているお皿を洗うとき、お皿がぬるっとしていたことはありませんか?このぬるぬるは細菌が繁殖しはじめている証拠。ぬるぬるを放置して使い続けていると、飲み水の中で細菌がどんどん繁殖して食中毒を起こしかねません。

お皿に水を溜めているタイプの家庭では割とこまめに水を交換しているかもしれませんが、盲点になりがちなのはボトルタイプや給水器を使用している場合です。

分解に手間がかかるため少なくなったら注ぎ足すスタイルをとっていると、古い水が残ってしまって細菌が繁殖しやすくなってしまいます。フィルター付きの給水器もありますが、全ての細菌を除去できるわけではありません。

食中毒を防ぐために

食材の前の犬

1.与える前に状態をよく確認する

愛犬に食べものを与える場合には、何はなくともまず食べものの状態をよく確認しましょう。見た目はもちろん匂いを嗅いで異常がないか確認し、少しでもおかしいと思う点があれば大事をとって与えないのがベストです。フードロスを出すことに罪悪感を抱く人も少なくないと思いますが、わんこの健康の前では仕方がありません。

2.フードの保存方法を見直す

ドライフードを与えている場合には保存方法が大切です。最も良いのは元から1食分ずつ小分けになっているフードを購入することですが、金額が高価になったりゴミの量が増えたりするという欠点もあります。

「では冷蔵庫に入れておいたら?」という発想も間違いではないのですが、いわゆる大袋ごと冷蔵庫に入れてしまうと、毎食の出し入れの際に袋に結露が生じてしまい、逆に衛生状態が悪くなる恐れがあります。

大袋のドライフードを与える場合には、最初に1食分ずつを小分けにして冷蔵庫で保存しておくのがベスト。手間ではありますが、気温の上がる夏場の間だけでもこの方法をとれると食中毒の予防効果は高まります。

3.調理時は消毒をする

ドッグフードではなく手作り食を与えているという家庭は、夏場は念入りな消毒が必要です。これはわんこ用の食事に限らず人間の食事にも言えることですが、調理の際には調理器具やキッチンのテーブル部分などを消毒したうえで取りかかるようにしましょう。また手作り食は長期間の保存は避け、すぐに食べきるようにすることも大切です。

4.一度もしくは短期間で食べきる

缶入りのウエットフードやレトルトパウチの食べものは、開封したら一度で食べきることが原則です。もし食べきれなかった場合には別の容器に移し、サランラップなどでなるべく空気に触れないようにしたうえで冷蔵庫に保存し、早めに食べきりましょう。

作りすぎて余ってしまった手作り食も同様です。ただし、夏場だと冷蔵庫に保存しても数日でカビが生えてしまうこともあるので要注意。どうしても食べきれなさそうであれば最初から冷凍してしまったほうが安全に長持ちします。

5.飲み水はこまめに交換する

わんこの飲み水は1日に最低でも1回は交換すべきです。可能ならば夏場は1日2回以上交換できればベスト。交換のタイミングでは容器も洗ってぬめりをとるようにしましょう。ボトルタイプや給水器の場合も減った分を注ぎ足すのではなく、総入れ換えをしなければなりません。定期的に消毒することも大切です。

まとめ

水を飲む犬

いかがでしたでしょうか?食中毒を起こすと最悪の場合はわんこの命にも関わりかねません。出されたものに対して「これは腐っている」「これは雑菌が生えている」と判断するのは難しかもしれません。もともとわんこは「腐肉食」と言われ、食べ残したものは保存して食べる傾向があります。そのため、胃酸の酸性度合いが高くなっていますが、だからと言って品質の悪いものを食べることは良いわけがありません。

わんこの健康を守れるのは飼い主さんだけであることを再認識し、食には最大限の注意を払いたいものです。

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