『ハンドシャイ』とは?
『ハンドシャイ』とは、犬が人の手を怖がったり嫌がったりする状態のことを言います。
通常飼い犬は、飼い主さんとのスキンシップなどを通して「人の手は怖くない」と認識しています。そのため、人に触られることにあまり抵抗がありません。自分からお腹を見せて「撫でて」とおねだりする犬もいるほどです。
しかしハンドシャイの犬は、人に触られることを怖がったり嫌がったりします。そして人が手で触ろうとすると、次のような反応を示します。
- 震える
- 体をビクッとさせる
- 耳を倒して怯える
- 手を避ける
- 尻尾を後ろ足の間に巻き込む
- 唸る
- 噛みつく
愛犬がハンドシャイになってしまうと、日常生活の中で困る場面が出てきます。
例えば
- 飼い主とスキンシップが取れない
- 動物病院で診察がスムーズにできない
- お手入れができない
- 飼い主が虐待を疑われる
などです。
犬が人の手を怖がるようになる原因は?
犬は繊細な動物なので、ちょっとしたことがきっかけでハンドシャイになってしまうこともあります。具体的に犬はどのようなことが原因で、人の手を怖がるようになってしまうのでしょうか?
1.叩かれた経験
人に叩かれた経験がある犬は、人の手を怖がるようになってしまう可能性が高いです。虐待されたりしつけとして叩かれたりした犬が、人の手に怖いイメージを持ってしまうのは想像に難くありません。
虐待はもちろんですが、しつけとして叩くなどの体罰を与えるのも厳禁です。ハンドシャイの原因になるだけでなく、信頼関係も崩れてしまいます。人の手によって心身に苦痛を与えられた犬は、重度のハンドシャイになりやすいと言われています。
軽くペチッと叩いたり、手を振り上げて叩くふりをしたりするだけでも手を怖がるようになることがあるので注意しましょう。飼い主さんは大したことないと思うことでも、愛犬にしてみたら恐怖である場合があるのです。
2.びっくりした経験
人に触られたときにびっくりした経験が原因で、人の手を怖がるようになることもあります。
犬を触るときにいきなり頭を撫でてしまいがちですが、突然頭上から手を出されることに恐怖を感じたりびっくりしたりする犬は多いので要注意です。
また犬は足先や尻尾の先、口周りなどが敏感なため、こうした場所をいきなり触られるとびっくりしてしまいます。ガシガシと荒々しく撫でるのも、犬をびっくりさせてしまう可能性があります。
『ハンドシャイ』の治し方は?
愛犬がハンドシャイになってしまった場合、困ることがいろいろと出てくるため、きっと飼い主さんは「治したい」と思うでしょう。ではハンドシャイは、どのように治したらいいのでしょうか?
1.おやつを使って手に慣れさせる
ハンドシャイを治すためには、犬が人の手に対して抱いているマイナスのイメージを根本から変えなくてはなりません。そのためには、おやつを使って手に慣れさせる方法が有効です。その方法の一例の手順は次のようになります。
- 1.おやつを手の平に乗せて、手から直接食べさせる
- 2.手からおやつを食べることに慣れたら、おやつを与えながら優しく体に触れていく
怖がって手からおやつを食べてくれないときは、少し離れたところから床におやつを投げて慣らしてから、手の平におやつを乗せてみましょう。投げる手の動きが速いと犬を怖がらせてしまう可能性があるので、ゆっくり投げるようにします。
体に触るときは、胸や背中など触られてもあまり嫌がらない場所から練習していきます。犬の様子を見ながら、ゆっくり慣らしていくことが大切です。
2.プロの手を借りる
おやつを使っても上手くいかない場合や、極度に人の手を怖がっている場合は、飼い主さんだけで治すのは難しいです。そのような場合は無理をせず、プロのトレーナーなどに相談しましょう。
まとめ
犬は叩かれた経験や触られたときにびっくりした経験などが原因で、人の手を怖がるハンドシャイになってしまうことがあります。普段の愛犬への接し方に注意しましょう。
もし愛犬がハンドシャイになってしまった場合は、無理やり手に慣らそうとするのはNGです。ますます手を怖がるようになったり、噛みついたりする恐れがあります。
人の手に対するマイナスのイメージをプラスに変えるのは時間がかかります。焦らずにゆっくりとハンドシャイを治していくことが大事です。飼い主さんでは難しいと感じたら、プロの手を借りましょう。