分離不安症とは
犬の分離不安症の原因は様々です。全ての犬が同じ原因で発症するわけではありません。なぜ愛犬は分離不安症になってしまったのか、原因を知ることから治療は始まります。
原因になりやすいこと
- お留守番中、恐怖体験をした(雷、爆発音、地震など)
- 飼育放棄されたことがある
- 捨てられて放浪したことがある
- 飼い主の都合で他人に預けられることが頻繁にある
- 加齢により、聴覚、嗅覚、視覚が衰えたこと
また、繁殖犬として育った犬が里親の元にやって来た時に分離不安症になりやすいとされています。飼い主や家族の温かさを知り、そばにいることの安全や安心を知り、離れることに強い不安やストレスを感じるようになってしまいやすいからです。
症状
- わざとトイレを失敗するようになる
- 自分の手足や尻尾を噛む(自傷行為をする)
- お留守番中にイタズラをするようになる(家具や物を破壊する)
- ごはんを食べなくなる(不安やストレスによる体調不良)
- 嘔吐や下痢を繰り返す(不安やストレスによる体調不良)
強い不安とストレスから自傷行為を繰り返し、手足の先を失ってしまった犬と会ったことがあります。気づいてあげられなかったことを飼い主はひどく後悔している様子でした。愛犬が普段と違う様子のとき、分離不安症の可能性も常に視野に入れて適切な対応をしてあげたいですね。
犬の分離不安症を治すには?
お留守番を特別なことにしないこと
犬はひとりの時間に不安を感じます。ひとりの時間が長ければ長いほど、不安が大きければ大きいほど、分離不安症になりやすいです。
出かける時の愛犬の様子はどうでしょうか。後をついて回ったり、抱っこをせがんだり、「一緒に連れて行って!」と騒いだりすることがあるのではないでしょうか。お留守番に不安を抱えている証拠です。
お留守番は特別なことではありません。ですから、「ママ行って来るからね」「お利口さんにしててね」「すぐに帰るからね」と、大袈裟な行って来ますのお別れをしないでください。
「行って来まーす」「お留守番頼みまーす」「自由に遊んでていいからねー」くらいの軽い挨拶をしてサッと玄関を出ましょう。
帰宅した時も同じです。大袈裟な再会の挨拶をしないでください。テンション高く出迎えてくれる犬もいますが、短時間でサッと済ませてください。毎回大袈裟にしていると、犬の不安を煽ってしまうことがあります。
ひとりの時間を与えること
犬にもひとりの時間を与えてください。お留守番の時間とは別です。自宅で飼い主と一緒に過ごす時間の中にも、犬がひとりを楽しむ時間を持たせてあげるということです。
- キッチンで料理をする時、常に犬に話しかけている
- ソファーに座ってテレビを見ている時、犬を膝に抱っこしている
- 洗濯物を干す時、犬と一緒にベランダや庭に出る
- お風呂に入る時、犬が脱衣所で待っている
- 買い物に行く時、一緒に連れて行って犬を車内で待たせる
これでは犬が分離不安症になる原因を作っているようなものです。常に飼い主に構われる犬は、構われない時に強い不安を感じるようになってしまうのです。
分離不安症を治すためには、犬がひとりを楽しむ時間を与えてください。構いすぎないように注意しましょう。
無視をしないこと
「分離不安症の犬を構いすぎてはいけないから…」といって、愛犬を無視をするのはよくありません。ご自身に置き換えて考えてみると分かりやすいと思います。
リビングに家族が集まっている空間で、何かに集中したい時、ひとりの時間を楽しみたい時、構われるとイラっとしますよね。同じ空間にいながらもそれぞれが自分のやりたいことをやっている、けれどみんな一緒にいる、ということで安心できるのだと思います。
自分のことに集中したいからといって、無視をされたいわけではないはずです。無視されて気分のいい人なんていません。犬だって同じです。
構いすぎてはいけないと思うのであれば、無視をするのではなく、「大袈裟にするのをやめる」と考えてみてください。「おりこうさんだねぇ~♡」と大袈裟に褒めなくて大丈夫です。「いいこだね♡」とあっさり褒める程度でいいんです。
まとめ
犬の分離不安症について、原因・症状・治療方法・対策・予防法、飼い主が意識すべきことをまとめて解説しました。
症状に気づいたら、すぐにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。症状に合った対策や治療法を提案していただけるはずです。
愛犬の分離不安症を経験された飼い主の体験談も参考になると思います。