犬は他の犬の顔を覚えているのか
「犬」を覚えることはできる
テレビ画面に「犬」「猫」「その他の動物」が映し出された時、猫のことが大好きな私の愛犬は画面に飛びつくように走り出します。目の前でじっくり見ていたいからです。
鳴き声を出したわけではありません。画面に映し出された猫の姿を見て「猫だ♡」と分かったのです。犬の姿が映し出された時は、離れた場所から唸り声をあげて威嚇することがあります。ちょっぴりビビリな性格だからです。
これはつまり、テレビ画面に映し出された動物が犬なのか猫なのかを見分けることができている、ということなのではないでしょうか。
犬の写真を見せてみると…
愛犬に「〇〇ちゃんだよ」と、お友達の写真を見せたことがあります。お友達の名前には反応するのですが、写真の中の顔に興味を示すことはありませんでした。
お散歩の途中でそのお友達に会った時は、お互いに大喜びで抱き合うようにして飛びつくくらい仲良しなのに、写真で顔を見せても分からないようです。
鏡に映った自分の姿に吠える
鏡に映った自分の姿に驚き、吠える犬がいますよね。何度も何度も同じことを繰り返します。見たことがあるはずなのに、ほぼ毎日のように鏡に映った自分の姿に吠えているのに、それでも毎回「何者だ!」と、威嚇してしまうのです。
見慣れたはずの自分の顔も覚えることは難しいということなのではないでしょうか。
犬は他の犬の顔をどうやって覚えるのか
犬が視覚によって覚えることができるのは、「その者が犬であるかどうか」ということのみなのではないかと思います。顔を覚えているわけでもなく、毛色が白だとか、耳が大きいとか、手足が長いといった要素ではないのです。
他の犬のニオイを覚えている
犬同士、おしりのニオイを嗅ぎ合いますよね。肛門嚢からの分泌物のニオイを嗅いでいるんです。その分泌物には、その犬の様々な個人情報が組み込まれており、おしりのニオイを嗅ぐことで読み取るのです。
初めましての時は、オスなのかメスなのか、年上なのか年下なのか、強いのか弱いのか、どんな性格なのかなどを読み取ることができるとされています。
一度でも仲良く遊ぶことができた犬同士であれば、おしりのニオイを嗅ぎ合わなくても「あの子だ♡」と分かるようです。
犬の視力は0.1~0.5程度だとされています。近づかなければ顔や姿はよく見えていません。しかし、遠くからやってくるお友達の姿を見つけ、興奮気味になることがありますよね。
その犬が発するニオイを嗅ぎ取り、お友達であると判断しているのでしょう。実際に近づいてみた時もお互いのニオイを嗅ぎ合い、確かめ合いますよね。ニオイを嗅ぐことは挨拶でもあるようです。
他の犬の声を覚えている
犬の聴覚が優れていることもご存じですよね。飼い主と他人の違いを判断する時、飼い主が発する音や声を聞き分けているとされています。
犬同士でも同じです。近所の犬が遠吠えをすると、自分も一緒になって遠吠えすることがありますよね。しかし、全ての犬の遠吠えに応えるわけではありません。お友達や仲間だと判断した犬の遠吠えにのみ応えるのです。
お留守番中なのか、近所に住むお友達が切なそうな声で鳴いていると、ソワソワした様子で心配することもあります。家の前を通るお友達が吠えると自分も吠えて応えます。きっと、挨拶を交わしたのでしょう。
まとめ
解説した通りですが、私が20数年を犬と暮らしてきて感じることは「犬が他の犬の顔を覚えている可能性は極めて低い」ということです。
犬が他の犬を見分ける時に「視覚」や「顔」は重要ではないようです。何となく皆さんも予想されたと思いますが、音や声を聞き分ける「聴覚」、ニオイを嗅ぎ分ける「嗅覚」によって判断しているようです。