知っておきたい犬のカーミングシグナル
犬は我慢強い動物だと言われています。もちろん個体差もありますので、すべての犬が我慢強いというわけではありません。しかし、愛犬の我慢やストレスに気付かずにいると、愛犬へのダメージが大きくなり、問題行動や体調不良に繋がることがあります。
大抵の場合、犬は何かを我慢したりストレスを感じているときに、自分自身や相手のことを落ち着かせようとする仕草や行動をします。この仕草は「カーミングシグナル」と呼ばれ、犬のストレスサインとして飼い主さんを始めさまざまな人が犬の気持ちを察するために活用しています。
今回はカーミングシグナルを中心に、犬が何かを我慢している時に見せる仕草や行動をご紹介します。愛犬の心理状態を察知し、適切にケアするために活用してください。
1.体をブルブルっと震わせる
長い間抱っこをされていたり、あまり得意ではないお手入れに時間がかかっている時などに、愛犬が突然ブルブルっと体を震わせることがないでしょうか。これは、嫌なことをずっと我慢していたために緊張してしまった体をほぐすための行動で、カーミングシグナルの一種だと言われています。
まだお手入れの最中にこのサインが現れた場合は、声を掛けたり少し休憩を挟むなどで一旦気をそらし、手早く終了させるようにしましょう。またすべて終了した後に見せた場合は、「最後まで頑張って偉かったね!」などと声を掛けて褒めてあげましょう。
2.おしっこをする
我慢を強いられたりストレスを感じ続けていると、その緊張により粗相をしてしまう場合があります。人間も緊張するとトイレが近くなりますが、それと似たような状態だといえるでしょう。
もしも愛犬が粗相をしてしまった場合でも、叱らずに黙ってさっさと片付けてください。そして愛犬のストレッサーが何なのかを探し、改善してあげましょう。
3.あくびをする
何かを我慢したりストレスに感じることで緊張状態が続くと、犬はあくびをして自分自身を落ち着かせようとすることがあります。人間も何かに集中した状態が続くと伸びなどをして緊張をほぐしますが、それと似たような状態かもしれません。
動物病院で診察を受けている最中や、苦手なお手入れの最中などに頻繁にあくびをするような場合は、カーミングシグナルの可能性が高いです。声を掛けるなどで気をそらしてあげるような工夫をしてあげましょう。
4.体を掻く、前足を舐める・噛む
我慢をしている状態に対して「どうにかしたい」とか「解放されたい」と感じた時に、犬は自分の体を掻いたり、自分の前足を舐めたり噛んだりすることがあります。
トレーニングをしている最中に、愛犬の集中力が途切れて急に自分の体を掻き始めたといったような場合は、一旦休憩を挟むと良いでしょう。
5.しっぽを振る
犬は、自分のストレスの原因となっている相手に対してしっぽを振ることで、相手の緊張を和ませようとすることがあります。相手の緊張を解くことで、自分へのストレスを軽減させようとしているのです。
例えば自分に対していつまでも叱り続ける飼い主さんや、延々と喧嘩を続けるご家族の間に割って入ってしっぽを振っているような場合は、「お願いだからもう叱らないで!」とか「もういい加減に喧嘩はやめて!」といった気持ちのあらわれかもしれません。
愛犬のこのようなカーミングシグナルに気付いたら、飼い主さんは、一旦冷静になってください。
6.同じ場所で静かにしている
今までご紹介してきたのは、すべて我慢やストレスの対象に対するカーミングシグナルでした。今回の同じ場所で静かにしているといった行動は、カーミングシグナルとはちょっと異なる種類の我慢で、自分自身の体調不良や体の痛みをじっと耐えている時に見せる仕草です。
動物は、自分の体に異変が生じていることを他者に知られると襲われてしまうため、苦痛をできるだけ知られないようにします。そのため、あまり目立たないような場所で静かにじっとしているのです。
体調によっては、震えていたり息が荒かったり、あるいは下痢や嘔吐など他の症状がみられる場合もあるかもしれません。このような場合は、できるだけ早くかかりつけの動物病院で診てもらうようにしましょう。
まとめ
今回は、愛犬が何かしらの我慢を強いられている時に見せる仕草や行動をご紹介しました。小さなストレスでも、溜まり過ぎてしまうことで愛犬の問題行動や体調不良に繋がることがあります。
愛犬の行動を日頃からよく観察し、カーミングシグナルや明らかにいつもと様子が異なるといった場合は、何かストレスがないか、病気や怪我が隠れてはいないかに注意をしながら、適宜ケアしてあげてください。