しつけ下手と言う勿れ
しつけに失敗した、と言う前に、愛犬の行為が本当にしつけ下手や失敗によるものなのか、判断する必要があります。例えば、しつけの失敗例に「吠え癖がついてしまった」というものがあります。
しかし、吠えるのは犬の「自然の行為」ですね。犬が必要だと判断すれば、どんな状況において吠えるときは吠えます。もともと生まれつき、吠えやすい「性質」を持っていたのかもしれません。また、吠えやすいような「環境」にあるということも。
つまり、すべてがしつけの失敗のせい、ではなく、その原因については複合的に考える必要があると感じます。
しつけの失敗談
犬のしつけに失敗した、と言う方からは、こんなエピソードが聞こえてきました。
「私の姿が見えないと、キュンキュンと鳴きます。甘やかしたからでしょうか」
「パピーの頃の吠え声が可愛くて、家族で吠えるたびに笑っていたんです。そうしたら、3歳になっても吠え癖が取れなくて」
「散歩時のひっぱり癖が直りません」
「ケージに入るのを嫌がります。いつになったら喜んで入ってくれるのでしょうか」
など、飼い主さんのお悩みは尽きません。
共通するNG行為3選
さて、ここからは、犬のしつけに失敗するタイプの飼い主に共通するNG行為を3選、見ていきましょう。
1.あやふやな境界線
しつけには、ある程度の明確さを持ったビジョンが必要です。例えば、吠えるについては「やめなさい」と言われたら吠え止む。などとした、一貫した線引きが必要です。
この境界線があやふやなまま、時には叱る、時にはあきらめるようなグラグラとした意思のまましつけを続けると、犬は楽な方、自身にとって気持ち良い方を選択します。ですから、線引きが曖昧なしつけ方はNG。まずはしっかりしたイメージを持ち、境界線をハッキリと決めましょう。
2.犬が怖い
犬は改良によって社会化された伴侶動物です。人に対してはおよそ従順で、協力的である性質を持っています。しかし、状況によっては人に対して刃向かう姿勢を取ることもあるでしょう。犬が唸ったり、咬むようなそぶりをするには、それ相当の理由がある場合がほとんどです。
そうしたとき、人が犬を「怖い」と感じてしまえば、それが犬に伝わってしまいますのでNGです。そうしたことが続くと、どんどん犬が主導権を握るようになり、唸ったり、咬んだり、吠えたりが強まっていく傾向にあります。犬がむくときも、怖いと怯まないように、気丈な心で犬に接することが大事です。
3.犬の言いなり
厳しすぎる、暴力的なしつけはもちろんNGですが、反対に、犬の言いなりというのもNGの一例です。
散歩時に「こっちへ行きたいよ~」とグイグイ引っ張れば、飼い主は付き合ってくれる、とか、ワンワンと吠えたてながらオヤツの在処を見つめれば、飼い主はオヤツを出してくれる。といったことがあるならそれは、犬の言いなり、かもしれません。
「言いなり」と表現するのは少しハードすぎる印象を受けるかもしれませんが、犬が主導権を握り、飼い主を動かしている状態のことです。さらに良くないのは、犬の意のままに飼い主が操作されているにも関わらず、飼い主はその状況に気づいていないといったパターンです。
この対処法としては、犬からの過剰な要求には応えず、キッパリと意思を持って反応しないことが一番です。
まとめ
最後に正直な感想を書かせてください。犬のしつけに失敗した、と言われる方のほとんどは、実はそれほど大きな失敗には当たりません。本当に失敗しているのは、犬のしつけに失敗したかも、などとはみじんも思いもしない(失敗に気づいていない)飼い主です。
「失敗したかも」と感じるのは、犬との関係をきちんと見直している証拠。「しつけが足りなかったせいかも」と感じるのは、すべてを犬のせいだと責任を押し付けていない証拠です。こうした誠実な方がしつけの軌道修正を図るのは、実は以外に簡単。意思、ビジョン、境界線をもう一度見つめ直すことで、困った行動のリセットに繋がります。