小型犬の散歩の頻度はどのくらい?必要な時間や距離、注意すべきポイントまで

小型犬の散歩の頻度はどのくらい?必要な時間や距離、注意すべきポイントまで

「小型犬は散歩の必要がないと聞きますが、本当なのでしょうか?」こうした質問は、意外にも多いものです。今回は小型犬の散歩についてフォーカスし、より適切に散歩を楽しむためのポイントをお伝えします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

あなたはどう思いましたか

芝生のチワワ

一般的に小型犬の散歩については、以下のようにガイドされていることが多いものです。「小型犬の散歩は1日2回。15分程度行ってください」。これを今、ご覧になっているあなたは、どのように感じたでしょうか。

回数が多すぎじゃない?いう方もいらっしゃるでしょうし、時間が少ないと思う。うちの子はもっと長く行かないと満足しないけどなあ、という方もみえますね。いったい何が正解なの?と思われたところで、データを見てみましょう。

調査結果を見てみると

眼鏡のプードル

小型犬の飼い主は、どれくらいの頻度で散歩を行っているのでしょうか。これについてある企業が2017年に行った調査では、以下のような結果が出ました。

  • 「毎日散歩をしている」62.7%
  • 「週1度程度している」16.2%
  • 「週に1度よりも少ない」21.1%。

もちろんこれは小型犬という対象枠内だけの調査ですから、もっと細かく聞いていくと、対象の犬の中にはシニア期であったり、持病があるなどの体調が関係しているといった事情があるかもしれません。

率直に申し上げますと、このデータを見て「思ったよりも、散歩に行かない飼い主が多いなあ」と感じたのは、わたくしだけではないはずです。

小型犬のルーツ

ポメラニアンと大型犬

そう言えば、そもそもどうして散歩に行くのだろう。散歩ってなぜ必要なの?と、いう疑問が沸いてきた方もいらっしゃるでしょう。では、ここからは犬の散歩の目的についてお話をします。

犬たちの歴史、ルーツにその答えはあります。犬たちは太古の時代、群れで狩りに出て食べ物を確保していました。猫は単独で手近な獲物を仕留めますが、犬は群れで遠くまで獲物を探しに出ることも珍しくありません。

犬にとって毎日外を歩くこと、つまり散歩は、DNAに組み込まれた本能的な行動のひとつと言えます。狼からイエイヌへ。イエイヌからパートナーへ。さらに改良が行われ、その土地、土地の用途に合った犬へと分岐が進み、能力、外見、性格、大きさにもバリエーションが生まれました。

小型犬は見た目も愛らしく、祖先である狼とはかけ離れた印象を持ちますが、そのルーツををたどれば、小型犬にも当然、散歩をしたい欲求があると考えるのが自然ではないでしょうか。

散歩のメリットと楽しみ

散歩のポメ

散歩がもたらす犬へのメリットと、犬たちが散歩を通して何を楽しんでいるか、について見てみましょう。

  • 有酸素運動で筋力UP
  • 地面に残ったにおいを嗅いで、情報収集
  • 社会性を身に着けられる
  • 他の犬、猫、人との出会い
  • 季節、天候、草花など自然の香り
  • 飼い主との共同作業として
  • 刺激、リフレッシュで脳を健やかに
  • 1日の生活にメリハリがつく
  • よく眠れるようになる
  • いたずら、問題行動の軽減

回答します。適切な時間と回数とは

ポメ3頭

小型犬であっても散歩の必要がある、とお分かりいただけたところで、時間と回数はどのくらいが適切か、という本題に入ってまいります。

結論を申し上げますと「それぞれの犬によって違うので、愛犬の様子をよく見ながら決めてください」です。

つまり、毎日の散歩は必要ですが、〇分〇回という枠に縛られないことが大事です。以下はほんの一例であり、ひとつの目安にすぎません。こちらを参考に、個性や体調に合わせて、ぜひ「うちの子に最適な時間と回数」を見つけてください。

≪散歩が大好き、体調が良い犬には≫

基本は1日2回、1回あたり15~30分くらいがちょうどいいでしょう。ゆっくりのんびり歩く他に、ひと区間にテンポよく早足を取り入れたりするのも、犬にとっては刺激的で、有酸素運動の効果もあります。

比較的体力のある犬は時間を長めにし、元気だけどもパテラが外れやすいとか、呼吸器にちょっと疾患があるなどといった犬は短い時間にする。というように調整します。

雨の日の散歩が嫌いという犬、また、飼い主が気乗りしないという場合もあります。無理をせず「雨の日は散歩なし」というルールにしてしまうのも、ひとつの手です。散歩の代わりに家でできる遊びをしてみましょう。

また、湿度が高い季節は短めに、夏場は高温と直射日光を避け、気温の低い時間を選ぶ必要があります。特に短頭種であるフレンチブルドッグやパグ、短足種であるダックスフント、体重2キロ未満の超小型種は、地熱の影響をダイレクトに受けてしまいますから、夏場の散歩には注意してください。

≪散歩が苦手な犬、好きではない犬には≫

ほんの短い時間ずつ、頻度の多い散歩形式にすると良いでしょう。散歩と言うと、運動、運動と思われがちですが、苦手なうちは無理をする必要はありません。

飼い主が抱っこやカートに乗せて歩くことでも、良い気分のリフレッシュと脳への刺激を得られます。回数を段々と増やし、経験を積むことで、やがては苦手意識の克服へとつながっていきます。

≪肥満気味な犬には≫

「この子は太りすぎているから、ダイエットのために長時間ウォーキングをしています」。と言う方がいますが、これは少し注意が必要かもしれません。なぜなら、肥満体型のまま運動をすることで、足腰へのダメージを及ぼすケースがあるからです。

ダイエット目的の散歩法は、犬の年齢ステージ、筋骨量によっても違いますので、獣医さんに相談をしてから行うのがベターです。

≪子犬期は≫

小型犬にとって生後10か月までは社会性を育む大事な時期。たくさんの人、犬、環境を経験させたいものです。でも、この時期はまだまだ体が未成熟ですから、長い距離やハードな運動量は避けたほうが良いでしょう。

初めて見るもの、初めて匂いを嗅ぐものに対する好奇心を満たす、子犬の世界を広げることにベクトルを合わせて、散歩の楽しさを教えます。同時に、飼い主とアイコンタクトを取りながら歩く練習も少しずつスタートしていきます。

まとめ

散歩の女性とプードル

小型犬の散歩について、時間や回数をお伝えしてまいりました。これからの季節は特に、ノミや蚊などの虫による病気、気温の上昇による熱中症に気を付けながら、犬との散歩を楽しんでいただければ幸いです。

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