意外と知らない「柴犬のルーツ」
柴犬は人間に飼われるようになった犬の中で、特に古い頃から飼われている犬種の一つです。
日本犬に指定されている血統の犬は、古くから人間に飼われている場合が多いのですが、柴犬はその中でも最も古い時代から人間とともに生活をするようになりました。この柴犬ですが、どこから来て、人間と生活をするようになったのでしょうか。
柴犬の祖先とは
犬の祖先というよりも、ほとんどの犬の祖先はハイイロオオカミです。そこから分岐が進んで、日本犬が誕生しました。その中でも性格的に大人しく、リーダーの命令に対する忠誠心が強い種類にアジアスピッツ系がいます。
この種類に柴犬は該当していて、他には秋田犬も含まれていますが、このアジアスピッツ系は狩猟が得意な犬種です。アジアスピッツ系は朝鮮半島や中国にいた犬種ですが、それが海を越えて日本の山陰地方に石州犬になりました。
この石州犬は希少種である山陰柴犬の祖先でもありますが、実は現存する全ての柴犬はこの石州犬の「石」という一匹の犬がルーツになっていて、元々は山陰地方にいた犬が別の地域に出て子孫を残し、それが今の柴犬に繋がっています。
柴犬が人間に近寄ってきた理由
柴犬の祖先はオオカミなので、本来は自ら人間に近寄ろうとはしませんし、人間を見れば逃げていきます。しかし、アジアスピッツ系はオオカミの血筋ではあっても性格が大人しく社交的で、人間の居住地にも様子を見ながら近寄っていました。
その理由は人間が出す残飯であり、野生では獲物を捕獲しなければいけないために不確定な部分が多いのですが、これが人間の残飯であれば簡単に入手できるのでしょう。
そこから自分に対して危害を加えない人間に出会った場合には飼われる場合もあり、人間の方も番犬や狩猟で使えるので飼うメリットがありました。
そして人間は、柴犬が主人に対して高い忠誠心を持っていることを知り、狩猟のためという理由よりも新たな家族として付き合うようになったということです。
なぜ柴犬は海外で大人気なのか?
海外の人が柴犬に興味を持ち始めたのは、そんなに古くはありません。柴犬という存在は知っていても、動く姿を知らなかった海外で柴犬を知ったのは、「HACHI 約束の犬」というアメリカ映画からです。この映画は「ハチ公物語」のリメイク版であり、主演はリチャード・ギアさんが演じました。
成犬では秋田犬が用いられましたが、子供の頃は柴犬が演じています。その素朴なかわいらしさと海外の犬種には見られない外形的特徴を見て、そこから柴犬に興味を持たれるようになります。
特定の主人にしか甘えてこない性格も魅力的
犬は人に対して人懐っこい印象が強いですが、柴犬や秋田犬といったアジアスピッツ系の犬種はとても警戒心が強く、なかなか心を開こうとしません。
そのために番犬としては最適なのですが、現在のように番犬が必要ではなく、愛玩犬として犬を求める傾向があると、本来であれば柴犬は好まれる犬種とはなかったでしょう。
しかし、猫の人気がとても高い理由の1つに常に甘えるのではなく、それまで素っ気ない素振りをしていたのが急に甘えだしたりして、そのギャップにとてつもない嬉しさを感じるからです。
実は柴犬も今までは甘えてこなかったのに、飼い主でも自分が信頼のおける人だと認めると急に甘えるようになり、他の人には今まで通りの素っ気ない対応を示します。このツンデレのような甘え方と、自分以外には甘えたがらない特別性が柴犬を愛おしく感じる理由と言えます。
まとめ
柴犬は成犬になってもそんなに大きくならないので、愛玩犬として飼うには都合がいいのは間違いありません。しかし、柴犬がここまで人間に愛されているのは、その忠誠心の高さからでしょう。
柴犬は家族と認めるといつまでもその人に対して敬意を払い、最高のパートナーになってくれます。これから柴犬を飼いたいという人は、柴犬から認めてもらえるように努力してください。