犬は従順な動物であり知能の高い動物でもある
昔から犬は人に対して友好的な動物であり、同時に従順で忠誠心の高い動物であると言われてきました。実際、犬は集団行動を重視する動物なので、仲間であり信頼できる飼い主に対して従順で忠誠心の高い行動をとることが多いです。
しかし忘れてはいけないのが、犬は動物の中でも知能が高い動物であるということです。人間社会に溶け込み、実際に仕事を与えられて役割をこなしている犬も数多くいます。
そんな犬たちに近年、ある説が唱えられています。実は犬たちは私たちが思っている以上に賢く、また人間をコントロールしたり嘘をつくことで自分が得するように行動したりすることがあるのでは、という説です。
犬は計画的に『得をするための行動』を人間にとることがある?
犬はその高い知能を使い人間をコントロールすることで、計画的に自分が得するための行動をとることがあるのでは、と考えられています。この仮説を下に、スイスのチューリッヒ大学の研究者であるマリアン・ヘバーライン氏がある実験を行いました。
1.「協力的な人」と「非協力的な人」に対する行動
へバーライン氏は、1人は協力的でもう1人は非協力的な行動をする、見知らぬ人物を犬のパートナーにして、ご褒美を使ったある実験を行いました。
協力的な人物をご褒美の入った箱へと連れて行くと、そのご褒美を協力的なパートナーが犬に与えます。しかし、非協力的な人物をご褒美の入った箱へ連れて行っても犬には与えず、そのパートナー自身が貰ってしまうという設定です。
そして犬にはパートナーをご褒美の入った箱へ連れて行くよう学習させ、美味しいご褒美の入った箱、美味しいご褒美よりは少しランク(好きの度合い)の下がったおやつが入った箱、何も入ってない箱の3つの箱を用意しました。
すると犬は、協力的な人物とパートナーになった時は、美味しいご褒美が入った箱へきちんと連れて行くのに対し、非協力的な人物とパートナーになった時は、あえて何も入っていない空の箱へと連れて行ったのです。
つまり、犬は「ご褒美に入った箱に人を連れて行く」という指示を理解していながら、相手が自分に対してどのような行動をとるかを理解すると、自分が得をするための行動をとる、ということがわかったのです。
2.自分の思い通りに事を運ぶために嘘をつくことも?
紹介した通り、犬は自分が得をするためにはどのような行動をとるべきかを考えて動くことがあります。それは私たち飼い主が日常的に愛犬と暮らしている中でも垣間見えることがあります。
例えば、先ほどまで元気だった愛犬が突然元気がなさそうにしたり、体を小刻みに震わせたりしていたため、「病気かな?」と心配して撫でたりかまったりすると、途端にそうした行動が治ったという事例です。
こうした報告は多く、これは犬が「このように具合が悪いふりをすれば飼い主がかまってくれる」と学習しているため、嘘をついて飼い主にかまってもらおうとしている可能性を示唆しています。
3.他にも体験談続々!犬に騙された飼い主たち
前述したように犬は上手に嘘をつき、飼い主を欺くことで自分に利益(得)が出るような行動をとることがあります。飼い主の皆さんの話から、意外にも多くの飼い主が「騙された!」という体験をしています。
- すでに他の家族からごはんを貰っているのに、貰っていないかのように他の知らない家族に振舞っていた
- 散歩中に歩きたくなくて、足が痛いふりをしていた。その後、家に帰ったら何事もなかったかのように走っていた
- 愛犬がボロボロにしたクッションを指差して問い詰めても「私じゃない」と知らんぷりするような態度を取られた
このように、自分の思い通りに事を運ぶために嘘をついたり、自分にとって都合の悪いことは責任転嫁しようと嘘をついたりすることがあるのです。
「犬は従順」「純粋で正直」と言われることが多いですが、知能が高いのも事実。この言葉に騙されて、犬の行動すべてを信じ切るのは考えものですね。
まとめ
いかがでしたか。犬はとても賢く、動物の中でも人間に対して友好的で従順な行動を見せる動物として知られています。
しかし一方で、知能の高さからちょっぴり「ずる賢い」行動を見せることも…。これを許してしまうと、行動がエスカレートする危険性があるので、「ダメなことはダメ」ときちんとルールを明確にする事をお忘れなく!