「愛犬への愛情をキスで表現♡」は様々なリスクが潜んでいる
皆さんは愛犬と直接口同士でキスすることはありますか。犬は愛情表現や要求を伝える時、飼い主の口を舐めることで気持ちを伝えようとします。
しかし、人と犬が直接口と口でキスする行為には、多くの危険が潜んでいると警鐘が鳴らされています。海外では犬とのキスが原因で、死亡事例が報告されている国もあるため、愛犬への愛情をキスで表現する行為は非常に危険であることがわかります。
犬とのキスに潜む4つのリスク・感染症
では、犬とのキスにはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。ここでは、犬とのキスに潜むリスクと具体的な感染症について説明します。
1.犬から人への細菌感染リスク
まず、なぜ犬と人がキスする行為にリスクが潜んでいるかというと、犬の口内には多くの細菌が潜んでいるからです。その中には人間が感染しても大きな問題にならない細菌もいれば、人間が感染してしまうと重い症状を発症する恐れのある細菌もいます。
つまり、犬と人が口と口で直接キスしてしまうと、犬の口内に潜んでいる細菌がキスした相手の人間に移る、いわゆる『細菌感染』を引き起こしてしまう恐れがあるのです。
感染した細菌によって症状は異なりますが、中には非常に危険な症状を引き起こした事例も報告されています。また、高齢者や子ども、基礎疾患を持つ人や妊婦さんなど、免疫力が低下している人は特に重症化しやすいので注意が必要です。
2.キスが原因の細菌感染による呼吸困難や心不全
犬とのキスが原因で細菌感染してしまった場合、よく見られる症状の一部に呼吸困難や心不全が報告されています。実際2016年には、相手は猫ですがキスによって細菌感染してしまった60代の女性が、呼吸困難を引き起こし死亡しています。
犬が持つ細菌の中でも「コリネバクテリウム・ウルセランス」という細菌は、犬や猫では症状が見られないものの、人間に感染すると重い症状を引き起こす危険性があります。
体内に入り込むと、コリネバクテリウム・ウルセランスが発生させた毒素によって筋肉が麻痺し、呼吸困難や心不全を引き起こす事例が報告されています。
3.キスにより胃がん発症リスクが高まる
ピロリ菌が癌の原因となるという話は、現在では多くの人が知っています。このピロリ菌の仲間に「ヘリコバクター・ハイルマニイ」という菌があり、実は犬や猫が持っていることの多い菌としても知られています。
そのため、犬とキスすることでヘリコバクター・ハイルマニイが感染すると、慢性胃炎や胃MALTリンパ腫を発症させるリスクが高まる可能性があると考えられています。
特に胃がんや胃炎を発症させるリスクが高い菌なので、犬とキスすることにより、胃がん発症リスクが少しずつ高まっているという恐ろしいリスクが潜んでいるのです。
4.妊婦は胎児を流産してしまうリスクも
よく「妊婦に犬や猫を近づけてはいけない」という話を耳にします。一見すると「あまりに非情なのでは」と思われるこの話ですが、実はこれにもキスの話が関係しています。
妊婦さんが犬や猫にキスされてしまうと、免疫力が低下している健康状態で細菌感染してしまい、症状が重症化してしまう恐れがあります。
まとめ
愛する犬との愛情確認のため、キスを受け入れていたという飼い主さんは多いと思います。しかしその行為には、今回紹介したようなとても恐ろしいリスクが潜んでいるのです。今まで平気でキスしていたという方は、今日からでもキスをやめ、別の方法で愛情を注いであげましょう。