犬種制定、豆知識
犬種の制定がされたのは、今からおよそ250年前。イギリスのケネルクラブで行われました。当時はまだ地元に根付いた土着の犬群、ある能力に特化した犬群、改良された愛玩犬の区分けがあいまいでした。これを、外見、性能、大きさごとに整理したのが、犬種制定の始まりです。
犬種制定にとりわけ情熱を注いだのは、当時のイギリスの貴族階級だったと言われています。森でスポーツハンティングを楽しむ彼らにとって、頼りになるのは狩りの相棒である猟犬。そして、宮廷内の愛玩犬として欠かせないのは、貴婦人が腕で抱ける小型の犬でした。
この犬、知ってる?
日本に登録されている犬種はおよそ150種類。時代やニーズによって、その登録数は毎年変わっていきます。
今回は、その中でも、図鑑では見たことがあるけど実際には見たことがないなあ、という犬や、登録数の少ない犬を4犬種、ご紹介します。
1.ボロニーズ(146頭、2020年調べ)
ボロニーゼとも呼ばれる、真っ白なビションフリーゼのような、プードルのような、マルチーズのようなピュアホワイト一色の犬です。
イタリアの宮廷で愛された、贈り物として重宝された家庭犬です。精神的にもしっかりしていて、家族と一緒にいつもいたい犬です。
ボロニーズの特徴は、なんといってもその被毛。一見、ビションフリーゼのようですが、作り込んだカットをしないのがお約束。プードルのようにしっかりした巻き毛ではなく、マルチーズのようにストレートの絹毛でもなく、ちょうどこの三犬種の真ん中くらいのちょっとウェイビーな毛をふわふわとさせるのが特徴です。
2.スキッパーキ(52頭、2020年調べ)
ベルギー出身のスキッパーキは、真っ黒な風貌を持つ小型の犬です。船に同乗し船員たちを癒した、甲板のマスコットドックと言われることが多いのですが、この話は本犬がイギリスに渡ってからのエピソードで、実際にはベルギーの牧羊犬として活躍していた牧場で働いていた犬種です。
スピッツとベルジアングロネンダールを小さくしたような立耳の犬で、体重は3~9キロ。小型でありながらも素晴らしい能力を持ち、羊飼いに重宝されました。
一説によるとポメラニアンも改良に加えられているため、機敏で賢く、牧羊にも使えて、家庭犬としての素質を兼ね備えた犬です。
3.ジャイアント・シュナウザー(45頭、2020年調べ)
シュナウザーと聞くと、わたしたちはついつい良く見かけるミニチュアシュナウザーを想像してしまいます。しかし、ジャイアント・シュナウザーは体重およそ35~47キロの大型犬です。
ミニチュアシュナウザーの一般的な色としてはソルト&ペッパーというグレー主体の配色が多いですが、ジャイアント・シュナウザーにおいてはブラックの一色がほとんどです。
黒く固い、針金状の毛を持ち、正確は機敏で勇敢。ミニチュアシュナウザーが家庭犬としての歴史が長いことに比べ、ジャイアント・シュナウザーは番犬や軍の犬としての経歴を長く持ちます。改良の途中でロットワイラーという軍用犬が用いられたのが性格に関係しているようです。
一般家庭で飼うには少し不向きな犬であると言われています。
4.ラサ・アプソ(4頭、2020年調べ)
チベット生まれのラサ・アプソ。「長毛の獅子狗」という意味を持ちます、大型犬のサイトハウンド、アフガンハウンドのミニチュア版のような風貌をしています。
おなじみの小型犬、シーズーの歴史に良く似ていますが、ラサ・アプソは、シーズーより長い被毛と長い首を持ちます。シーズーのようにコロコロとして愛嬌がある家庭犬、というよりは、宮廷の犬らしく、気高く振舞うことを求められて作られたそうです。
シーズーに近い作出の歴史を持ちながらも、シーズーが一般家庭に普及したのに比べると、4頭とはとても少ないですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。これらの犬種は、実際にはあまり見ることのない犬種ですから、見かけたらとてもレアですね。
他にも、海外ではよく知られているけれども、日本ではほとんど見かけることのない犬がいます。ぜひ、この機会に調べてみると、犬種の知識が深まりますよ。