犬を抱っこしすぎた時に考えられるリスクとは?
犬を飼う中で、犬を抱き上げるシーンというのは結構あるものです。
飼育に手がかかる子犬期に始まり、介護が求められるシニア期まで、人間と同じように必要や状況に応じて行います。
最近は、犬用の抱っこ紐などのアイテムが登場したことで、犬を抱っこする方がますます増えました。
でも、「犬を抱っこしすぎるのはよくないのでは?」と悩んでしまう飼い主さんも多いようです。
確かに、犬というのは四足歩行が基本姿勢なので、抱っこの体勢は犬に悪影響を及ぼしてしまうのでは?と感じてしまいますね。
結論から言ってしまえば、抱っこすること自体に問題はありません。
むしろスキンシップを取ることができるし、診察や介護の場面で役立ちます。
ただし、必要以上に抱っこをするのはNGです。
「つい愛犬を抱き上げてしまう」という飼い主さんは、抱っこしすぎた時に考えられるリスクについてぜひ把握しておきましょう。
わがままになる
「犬が抱っこをせがむから」と、犬の要求に応じてしまうのは要注意です。
犬に危険が及ぶ場合を除き、何かと愛犬を抱っこしてしまうとわがままな性格になってしまいます。
とくに「甘えたい」「怖いから」「なんとなく」「歩くのが嫌だから」といった犬の気分に飼い主さんが付き合ってしまうのはNGです。
人間の子供が「抱っこして〜」と甘えているのと同じで、その要求に「はいはい」と1度でも応えてしまうと犬は「甘えていいんだ」と覚えてしまいます。
わがままが強くなると、抱っこするまで吠えてしまったり、さらには噛みついてしまうなど問題行動を出してしまう可能性も。
そうなってしまう前に、やはり犬の抱き癖は改善すべきですね。
依存してしまう
密着度の高い抱っこは最高のスキンシップであり、その反面で依存しやすい行為でもあります。
飼い主さんの温もりを感じることで大きな安心感を得た場合、「いつも飼い主さんに寄り添っていたい」と感じてしまうでしょう。
1日中くっついて過ごすことに慣れてしまうと「不安分離症」と呼ばれる、精神的な病気を発症してしまう場合もあります。
参考として、以下に分離不安症の症状をあげてみました。
- 吠え続けつる
- パニックを起こす
- 食欲を失う
- 下痢や嘔吐をする
- 破壊行動をする
愛犬を歩かせたり抱っこをしないことに「かわいそう」と感じてしまう飼い主さんも要注意です。
不安分離症は人間も発症する心の病気です。
飼い主さん自身が犬に依存してしまい、抱いていないと不安感に襲われてしまう場合は依存が高まっている可能性があります。
愛犬のことを1番に考えるのであれば、ほどよい距離感を取りながら生活することが大切です。
犬の健康に悪影響を及ぼす
犬の散歩は、健康促進や体力維持、ストレス解消など大切な役割を持っています。
しかし、その機会を飼い主さんの手で失くしてしまうのはやはり良くありません。
また、間違った抱き方をすると犬の身体に大きな負担をかけてしまうので要注意です。
間違った犬の抱っこの例を以下にあげてみました。
- 犬の両脇を持ち上げて縦抱きする
- 正面から抱き上げる
- 仰向けに抱っこする
人間の赤ちゃんや子供のように、犬を縦抱きや仰向けにして抱っこをする方法は腰に負担がかかりやすいのでNGです。
犬を抱っこする際には身体に負担をかけず、安全な姿勢で行いましょう。
正しい犬の抱き方は、基本的に犬の真横に正面を向けるように座り、片手を首の下から入れて肩を支え、もう一方の手はお尻を支え、自分の身体に寄せて密着させます。
小型犬であれば、片手をお腹の下に回して前足を固定し、犬の腰を支えるように肘を閉じて持ち上げます。
地面に対して犬の身体は平行にすることがポイントです。
犬が歩かない時の対処法
では、「散歩に行っても犬が歩かないから困っている」という場合はどうすればいいでしょうか?
まずは犬が散歩しない原因を見極めましょう。
肥満あるいは病気やトラウマなどではなく、「抱き癖がついてしまっただけ」という場合はこのような対処を行います。
まず、散歩中に犬が抱っこを要求してきても、特別な理由がない限り応じないようにします。犬が諦めて自分から歩き出すまでじっと待ちましょう。
しかし、それでも動かない場合は「この道が嫌」「体がつらい」など何らかの原因がある可能性があるのでぜひ観察してください。
別のルートや時間に変更してみたり、リードで首が痛いようであればハーネスへ変えてみたりするなど工夫をしてみます。
そもそも散歩へ行きたがらない、という場合は体調に問題があるのかもしれません。
散歩中の抱っこをやめることで歩きたがらない本当の理由がわかることがあります。
ぜひ、この機会に散歩の見直しを行ってみてください。
まとめ
うるうるした瞳で「抱っこして?」と愛犬から見つめられると、飼い主さんとしては耐えきれないものがありますね。
もちろん犬を抱っこすることに慣れさせておくことは、危機回避や診療の際など役立つ場面はたくさんあります。
しかし、抱っこしすぎてしまうのはお伝えしたように、わがままや依存、体の負担などリスクが高まってしまうので注意が必要です。
お散歩の時に甘えられても、少しづつ自分の足で歩けるよう改善を図ってみてください。