抜け毛が多い犬種と少ない犬種がいるのはどうして?
愛犬の抜け毛に悩む飼い主さんは多いですが、抜け毛が多い犬種と少ない犬種がいます。同じ犬という生き物なのに、どうして抜け毛の量に差があるのでしょうか?その主な理由は、両者の被毛の構造の違いにあります。
犬の毛は太くて硬い一次毛と細くて柔らかい二次毛があり、一次毛は上毛(オーバーコート)、二次毛は下毛(アンダーコート)と呼ばれています。上毛の主な役割は皮膚の保護で、下毛の役割は保温と保湿です。
犬種によって上毛のみを持つシングルコートの犬と、上毛と下毛の両方を持つダブルコートの犬がいます。ダブルコートの犬には春と秋に換毛期があり、この時期には大量の下毛が抜けますが、シングルコートの犬には換毛期がありません。
ダブルコートでもシングルコートでも、周毛期(毛が生え変わる周期)のサイクルによって日々毛が抜け替わっています。
ダブルコートの犬種は周毛期による日々の抜け替わりに加えて換毛期の抜け替わりもあるため、一般的に抜け毛が多いとされています。一方シングルコートの犬種は周毛期による抜け替わりのみなので、抜け毛が少ないとされているのです。
『抜け毛が多い犬種』は?
犬の見た目だけでダブルコートなのか、シングルコートなのかを判断するのは難しいです。具体的にダブルコート、つまり抜け毛が多いのはどの犬種なのか以下からご紹介していきます。
1.ゴールデン・レトリーバー
犬種名に『ゴールデン』とついている通り、光沢のあるゴールド系の毛色が特徴的です。弾力性のある上毛と防水性のある下毛を持っていて、胸や足、尻尾には豊かな飾り毛があります。
ダブルコートであることに加え、大型犬で体が大きい分被毛の量が多く抜け毛の量もかなり多いです。毎日ブラッシングすることで、抜け毛を取り除きながら美しい毛並みを保つことができます。
2.柴犬
柴犬の上毛はまっすぐで硬く、下毛は柔らかくて密生しています。尻尾の毛はやや長くふさふさです。毛色は赤、黒、白、胡麻の4種類。
毛が短めなので抜け毛が少ない印象を受けるかもしれませんが、ダブルコートなので換毛期にはごっそり毛が抜けます。
犬の毛は短いほど周毛期が短く短い期間で毛が抜け替わるため、長毛種よりも短毛種のほうが抜け毛が多くなります。毛が短めでダブルコートの柴犬は、1年を通して抜け毛が多いと考えたほうがいいでしょう。
柴犬は皮膚病になりやすい犬種でもあるので、ブラッシングは毎日行うのが理想的です。
3.シベリアン・ハスキー
シベリアでソリやボートを引く作業犬として活躍してきた犬種であるため、極寒に耐えうる厚い被毛とボリュームのある尻尾を持っています。まっすぐでなめらかな上毛と、柔らかく密生した下毛からなるダブルコートです。
被毛が厚く密に生えているため、毛量も抜け毛も多いです。換毛期にはびっくりするほど大量に毛が抜けるので、毎日のブラッシングが必須になります。
4.ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
上毛は硬く寝ていて、下毛は密集して生えています。毛色はレッド、セーブル、フォーン、ブラック&タンで、四肢、首、胸に白斑が認められています。
コーギーも抜け毛が多い犬種のひとつで、日々のブラッシングが欠かせません。換毛期ともなれば大量に毛が抜け落ちます。
5.シェットランド・シープドッグ
ダブルコートの長毛種で上毛は長く粗いですが、下毛は短く柔らかいです。胸元や首周りの豊かな飾り毛が優雅な印象を与えます。
ボリュームのある被毛は、普段から抜け毛が多いです。換毛期には、やはりごっそりと毛が抜けます。長い毛は毛玉ができやすいので換毛期はもちろん、それ以外も毎日ブラッシングが必要です。
換毛期に注意すべきポイントは?
犬の換毛期は年に2回あります。春には冬毛から夏毛に抜け替わり、秋には夏毛から冬毛に抜け変わります。いわば犬の衣替えである換毛期には、どのような点に注意したらよいのでしょうか?
1.長時間ブラッシングをしない
換毛期は抜け毛をしっかり取り除いてあげないと、皮膚が蒸れて皮膚病を起こす恐れがあるため、毎日のブラッシングが欠かせません。とはいえ、やりすぎにも注意が必要です。
換毛期はいくらブラッシングをしても毛が抜け続けるのでやめどきが分からず、つい長い時間頑張ってしまいがちです。しかし長時間のブラッシングは、デリケートな犬の皮膚を傷つけてしまったり、抜け毛ではない毛まで取り除いてしまったりする可能性があります。
延々と続くブラッシングに犬がストレスを感じてしまうこともあるので、1回当たりのブラッシングは15分前後を目安にしましょう。
2.毛を無理に抜かない
換毛期はいくらでも毛が抜けますが、無理に引っ張って抜くのはNGです。皮膚を傷つけたり、痛みを与えたりしてしまうことがあり、場合によっては毛に触られるのを嫌がるようになってしまうこともあります。
ブラシやコームなど愛犬に合った道具を使い、力加減に注意しながら安全に抜け毛を取り除いてあげましょう。
3.掃除をこまめにする
床に落ちた抜け毛をそのままにしておくのは不衛生で、人間のアレルギーの原因になることもあります。普段以上に毛が抜け落ちる換毛期には、こまめに部屋の掃除をすることも重要です。
カーペットに絡みついた毛は、ラバーブラシやゴム手袋をはめた手でこすり取り、最後に粘着ローラーをかけるときれいになります。
抜け毛は家具の隙間などにも入り込むので、掃除機に隙間ノズルをつけて吸い取ったり、ハンディモップなどで取り除き、エアコンや空気清浄機のフィルターの掃除もこまめに行いましょう。
4.異常な脱毛は動物病院へ
感染症やアレルギー、ホルモンの病気、ストレスなどで脱毛することもあります。病気やストレスによる脱毛を換毛期の抜け毛と勘違いしないように注意しましょう。
脱毛によって地肌が見えている、局所的に脱毛している、左右対称に脱毛しているという場合は、病気やストレスが原因である可能性が高いので動物病院を受診しましょう。正常な換毛期の場合、まんべんなく抜けていく傾向があります。どこか一部だけ偏って抜けている場合は病的な脱毛であることが考えられます。
まとめ
抜け毛が多い犬種はたくさんいますが、今回はその中から5犬種をご紹介しました。愛犬の抜け毛が多いと衣服に毛が付着したり、部屋が毛だらけになったりして、飼い主さんの悩みの種になるでしょう。
しかし、こまめなブラッシングや掃除によって悩みは軽減できます。既に抜け毛の多い犬種を飼われている方もこれから飼う予定の方も、かわいい愛犬との快適な暮らしのために抜け毛と戦っていきましょう。