ニオイは犬にとっての重要な情報源
犬の嗅覚は、人の1,000〜1億倍の感度だといわれています。
人にとって主となる情報源は視覚情報ですが、犬は嗅覚情報です。
そのため、私達が目を凝らして状況を把握しようとするように、犬はしきりにニオイを嗅ぐことで、状況を把握しようとします。
それが顕著に現れるのが、帰宅した飼い主さんを出迎える愛犬の様子です。
仕事や学校などの外出先から帰宅した飼い主さんを歓迎した愛犬は、必ずといって良いほど、飼い主さんの身体のあちこちのニオイを嗅いでいるのではないでしょうか。
外出先から帰宅した飼い主さんの洋服や身体には、さまざまなニオイが付着しています。
例えば、下記のようなニオイです。
- 排気ガス
- 汗
- 食べ物
- タバコ
- 香水
- 他の人間や動物
- 薬品やインク、機械油など、外出先に特有なニオイ
これらの情報源から、愛犬は何を知ろうとしているのでしょうか。
今回は、その心理をみていきましょう。
愛犬が帰宅した飼い主のニオイを嗅いでくる心理
1.どこで何をしてきたの?
飼い主さんの身体や洋服についたニオイを情報源として、愛犬は留守中の飼い主さんがどこで何をしてきたのかを調べています。
「今日はどこに行ってきたの?」「何をしてきたの?」「誰と会ってきたの?」などと、質問攻めにあっているような感じだといえるでしょう。
ひとしきり飼い主さんのニオイを嗅いだ後は、荷物にも興味を示すかもしれません。
特に、何か新しいものを買ってきた場合などは、興味津々な様子でいつまでもニオイを嗅いでいることがあります。
2.寄り道してこなかった?
飼い主さんの外出先が出勤先や学校などのいつもの場所だった場合は、「いつも出かけると付けてくるニオイだ」と安心するでしょう。
どこかで寄り道をしてきた場合は、「いつものニオイの他に、知らないニオイもする!寄り道をしてきたな」とか、「今日はデートをしてきたみたいだ」などということまで察知していると考えられます。
3.一人で美味しいものを食べてこなかった?
特に口の周りのニオイを気にしている場合は、「一人で何を食べてきたの?」と聞かれている状態です。
もしかすると、「お留守番が長くてお腹が空いちゃったよ。それなのに、自分だけ美味しいものを食べてきてずるいなぁ~」などと思っているかもしれません。
4.疲れてない?
足元のニオイから、犬は飼い主さんがどこに行っていたのかを探りますが、その他にも意外な事が分かるようです。
それは、飼い主さんの体調です。
人間の足は特有の汗のニオイがしますが、汗のかき具合やニオイの強さなどから分かるのだそうです。
また怪我をした場合も、いつもとは異なるニオイがするため、犬には分かるようです。
帰宅後に愛犬がしきりに足元のニオイを嗅いだり、飼い主さんが怪我をしたり調子の悪いあたりのニオイを嗅いでいる場合は、「お疲れ様。疲れてない?具合は大丈夫?」と心配してくれているのかもしれません。
ニオイを嗅いだ後に舐めるのはなぜ?
帰宅した飼い主さんのニオイを散々嗅いだ後、愛犬が飼い主さんの手などを舐めてくれることが多いです。
この行動には、どういう意味があるのでしょうか。
犬が人を舐める理由にもいろいろあります。
よくいわれているのが、下記のような理由です。
- 好意
- 不安
- 興味
- ストレス
- なだめ
- 降参
特に飼い主さんを舐める場合は、好意の表現だと考えられています。
まずは飼い主さんがどこで何をしてきたのか、疲れたり具合が悪かったりしてはいないか、などの情報をひとしきり探ります。
そしてその後は、「お帰りなさい、お疲れさまでした。早くご飯にしてね。」という飼い主さんへの親愛の気持ちを表しているのだと考えられます。
まとめ
五感の使い方が異なるため、私達人間には愛犬の行動をなかなか理解できないことがあります。
毎日毎日、なんでそんなにニオイを嗅ぐのだろうと不思議に思っていた飼い主さんもおられるのではないでしょうか。
ニオイを嗅ぐことで、犬は帰宅した人が飼い主さんであることを確認するだけではなく、どこで何をしてきたかといったことまで把握できるのです。
愛犬が匂いを嗅ぐという行為には、人間同士の会話と同じような意味があるのです。
愛犬を安心させてあげるためにも、ニオイを通した愛犬とのコミュニケーションにも理解を示し、積極的に交流を深めてより強い信頼の絆を結んでください。