犬のための理想のテレビ番組を調査研究
犬のためのテレビ番組というコンセプトはそれほど新しいものではありません。犬専用のケーブルチャンネルDOGTVがスタートしたのは10年前のことですし、YouTubeやストリーミングサービスでも犬のために作られた映像がたくさん提供されています。
これらの犬用の番組は、留守番中のストレスや分離不安の緩和が目的になっており、森や海など自然の風景と背景音、またはクラシック音楽などが組み合わされたものが多いようです。
しかし、犬がスクリーンに映し出される映像にどれくらい興味を持ち、どのようなタイプの映像や音声が魅力的なのかは今のところほとんど分かっていないそうです。つまり犬のための番組とは言っても、その多くは人間が考えるイメージでのみ作られているようです。
このような現状に対して、アメリカのウィスコンシン大学マディソン校獣医学部の研究者が、一般の人々が参加する市民科学の方法を使って調査研究を行うと発表しました。
犬のためのテレビ番組研究に参加する飼い主と家庭犬を募集
犬にとってどのようなコンテンツが魅力的なのかを知るために、研究者は世界中の犬の飼い主にアンケートへの参加を呼びかけています。アンケートの内容は、愛犬の年齢、性別、犬種、居住地などの基本データの他に愛犬のテレビ視聴の習慣についての情報が含まれます。
またオプションとして、犬が興味を持ちそうな物や動物などの短編動画が4本用意されており、それを観た愛犬がどれくらい興味を示したか、動画の中で動く物体をどれくらい正確に目で追っていたかを評価するというものがあります。
この調査にはもちろん日本からも参加することができます。
https://uwmadison.co1.qualtrics.com/jfe/form/SV_8JjRm6LVStPovQO
さまざまな場所に住む犬のデータを収集することで、居住地による興味の違いがあるのか、またはどこに住む犬も興味の対象は似ているのかが分かると考えられます。
この研究の奥にある医学的な意味合いとは
この研究は、犬の娯楽の開発のためだけに行われるのではありません。研究を率いているモーワット助教授は獣医学の中でも視覚科学の専門家です。加齢による視力の低下など、犬の視力をより正確に評価するために犬用視力検査の開発を試みてきたのですが、今のところ失敗に終わっています。
犬の視覚機能の状態を把握するためには犬の注意を長く引きつけておく必要があり、そのためには犬のための動画が役に立つと考えられました。
犬の網膜の機能は加齢に伴って低下していくことは分かっていますが、低下した視力への補助として、明るい照明や目立つ視覚的な手がかりが必要なのかどうかは未だ分かっていないのだそうです。
視覚認知の変化が犬のライフスタイルにどのような意味を持つのかを知り、有効な対策を探るために、今回のアンケート調査は大きな意味があります。
今後はさらに、犬の眼の老化を人間と比較研究することも目標とされています。犬と人間は同じ環境で暮らしているので、環境要因や生活習慣が眼の老化に影響を与えるとすれば、人間よりも先に犬に現れる可能性が高いからです。
まとめ
アメリカの研究者が、犬の視力検査開発のための手がかりとして世界中の犬の飼い主を対象に、犬のテレビ視聴についてのアンケート調査をスタートさせたという話題をご紹介しました。
年を重ねて愛犬の視力低下を経験した飼い主さんも多いと思います。早くから予防したり対策を立てられるとしたらとても嬉しいことですね。調査の結果が発表されるのを楽しみに待ちたいと思います。
《参考URL》
https://www.vetmed.wisc.edu/canine-tv-preferences-could-lead-to-answers-in-protecting-dogs-eyesight/
https://uwmadison.co1.qualtrics.com/jfe/form/SV_8JjRm6LVStPovQO