犬のクッシング症候群とは?
みなさんは「クッシング症候群」と呼ばれる疾患をご存じですか?
クッシング症候群は、腎臓の近くにある副腎から分泌されるコルチゾールが過剰になってしまうことで起こるもので、その影響で体にさまざまな異常をきたします。
コルチゾールというホルモンが過剰分泌される原因は、副腎そのものか、ホルモン分泌の指令を出す脳下垂体に腫瘍ができていることだとされています。
また、適切でない量のステロイドを長期投与された場合に、薬の副作用として発症することもあります。
特にシニア犬で発症しやすいと言われていますが、なかには4~5歳で発症することもあります。
適切な治療をせずにいると、症状はどんどん悪化し、様々な病気を併発したり、最悪の場合死に至る可能性もあります。
そのため、クッシング症状のサインが見られたら、まずは動物病院で診てもらうようにしましょう。
1.多飲多尿
犬のクッシング症候群の初期症状として、最も多く見られるサインが「多飲多尿」です。
運動をたくさんした後や暑い日というわけではないのに、水をたくさん飲んだり、おしっこをたくさんするようになったら、クッシング症候群になっている可能性があります。
水を飲む量やおしっこの量は、個体差があるのではっきりとは言えませんが、目安として体重1kg当たり100cc以上の水を飲むようになった場合、注意が必要だとされています。
またそれに限らず、普段に比べて明らかに水を飲む量やトイレの回数が増えている場合は、クッシング症候群を疑ってみてもいいと思います。
2.違和感のある体型の変化
クッシング症候群のサインとして、食欲や体型に変化が見られることもあります。
食べ過ぎや運動不足で太ったり、食欲がなくなって痩せたりすることは、ある種当然の結果ではありますが、クッシング症候群の場合はそれとは少し異なります。
クッシング症候群を発症していると、しっかりと食べているのにやせ細っていったり、痩せているのにお腹だけがぽっこりと膨れたりといった体型の変化が見られます。
また、このような症状が見られる頃になると、元気がなくなってあまり動きたがらなくなることもあります。
3.脱毛
クッシング症候群のサインとして特徴的なのが、痛みを伴わない脱毛です。
特に、体の左右対称に脱毛が起こるため、ここで気が付く飼い主さんも少なくありません。
また、皮膚が薄くなったり黒ずんだりするのも特徴で、毛が抜け落ちたことで余計に黒ずみが目立つようになります。
これらの皮膚の変化は、老化現象として見過ごされてしまうこともあります。
しかし脱毛が伴っている場合は単純な老化ではない可能性が高いので、気になる場合は念のため動物病院を受診しましょう。
4.ふらつきやけいれん
クッシング症候群の症状が進んで中期以降になると、筋力が低下して立ち上がることに負担を感じるようになったり、ふらつきやけいれん発作などを起こすことがあります。
また、糖尿病や膀胱炎、心臓病、肝臓病などさまざまな合併症を引き起こすようになり、治療を行わずにいると最悪の場合死に至る恐れもあります。
このような症状が出ると、飼い主さんも明らかな異変に気がついて動物病院を受診すると思います。
しかし本来は、ここまで進行する前に治療が始められるようにしておくべきなのです。
初期~中期段階でのサインに気がつけるように、日頃から愛犬の様子をしっかり観察してあげてください。
まとめ
犬のクッシング症候群は、中年期以降の犬に起こるホルモン異常による疾患です。
初期段階での症状やサインは、よく観察していないとわかりにくいものかもしれません。
しかし、早期発見・早期治療は犬の負担を軽減するためにとても大切なことです。
ここでご紹介したことを参考に、日頃から愛犬の様子をしっかりチェックしてあげましょう。