犬が不満を覚える原因とは
犬にも豊かな感情があります。
喜びや楽しみといった感情もあれば、怒りや恐怖、そして不満といったマイナスの感情も持っています。
喜び、楽しみ、怒り、恐怖といった感情は比較的分かりやすいのですが、愛犬が感じている不満の感情は、なかなか飼い主さんに伝わらないことが多いようです。
その理由は、「不満」を感じる原因が人と犬では異なるからなのかもしれません。
まずは基礎知識として、犬が不満を覚える原因を列挙してみます。
- 運動不足
- 退屈
- 飼い主さんから構ってもらえない、または構われすぎる
- 長時間の留守番を強いられる
- 飼い主さんの行動や接し方に一貫性がない
- 犬らしい行動をさせてもらえない
- 飼い主さんご自身やご家族がストレスを抱えている
こういった犬の心理を把握した上で愛犬が飼い主さんに不満を伝えているサインを知ることで、愛犬の不満を早期に察知し、適切に対処できるようになります。
飼い主に不満を伝える時のサイン
不満のサインには早めの対処が大切
愛犬が飼い主さんに不満を伝えるサインは、それ自体がストレスの解消につながるため、すぐに解消されることもあります。
しかし、不満が解消されない状態がいつまでも続いてしまうと、不満が募り、次第に気持ちも行動もエスカレートしていきます。
最終的には、下痢や嘔吐といった消化器症状があらわれたり、免疫力が低下して感染症に罹りやすくなったり、心因性脱毛症や常同障害といった心の病気に罹ってしまうこともあります。
なるべく不満の気持ちが軽い状態のうちに察知してあげて、不満の原因に対処することが肝心です。
比較的軽い不満のサイン
愛犬に下記のような行動が見られる場合は、比較的軽めの不満のサインである可能性が高いです。
早めに察知し、最近の愛犬とのコミュニケーションや生活環境の変化などを振り返り、思い当たるフシがある場合は対処してあげましょう。
1.何度もあくびをする2.不機嫌または困ったような表情をしながら耳を後ろに倒す
3.尻尾を下げたり目を逸らしたりと自信なさげな様子を見せる
4.自分の体をよく掻く
5.床のニオイを嗅ぎながらウロウロする
中程度の不満のサイン
不満のサインの内容が下記のようなものに変わってきた場合は、不満な気持ちがたまり始めていると考えられます。
重度な不満に変わる前に、改善を試みてください。
6.唸る
7.震える
8.パンティング(浅くて早い呼吸)をする
9.極端に怯えて攻撃的になる、または逃げる
10.無駄吠えが増える
重度な不満のサイン
不満のサインの内容が下記のようなものに変わった場合、かなり深刻な状態だと受け止めてください。
愛犬の不満の原因を見極めて改善する努力を続けつつ、動物病院にも相談することをおすすめします。
11.不満のサインを何度も繰り返す
12.自分の尻尾に咬み付いて出血する、または延々と追い回す
13.体をなめ続けて皮膚に炎症を起こす、またはひどく脱毛する
14.いろいろな場所に粗相をする
15.食欲の低下、血尿、下痢、嘔吐などの消化器症状がみられる
愛犬の不満への対処はどうすればいい?
愛犬が不満のサインを示した場合、何よりもまず必要なことは、愛犬の不満の原因を見極めることです。
下記の項目を参考に、サインを出し始めた頃の状況を振り返ってみてください。
- 散歩の時間や一緒に遊ぶ時間が減っていないか
- 留守番の頻度や時間が増えていないか
- 規則正しい時間に食事をさせているか
- いつでも新鮮な水を飲める状況になっているか
- 愛犬を怒鳴りつけたり手を上げたりしなかったか
- 愛犬への対応がその時々の感情でブレてはいなかったか
- ご家族の中で喧嘩などの不協和音が起きていないか
- 犬にとって過ごしやすい環境が保たれているか
気を付けていただきたいのは、不満の原因を取り除くことは、甘やかすことではないということです。
甘やかしすぎると、人間社会の中で暮らしていくことのできない犬にしてしまう可能性があります。
飼い主さんやそのご家族は、生活の中におけるルールを設定し、そのルールを守らせるようにしつけることも大切です。
まとめ
人よりも敏感で、人の感情の起伏も鋭敏に察知する犬達は、人より数倍も繊細なのかもしれません。
私達には想像もつかないようなことが原因で、不安や不満を覚えることも多いようです。
犬は言葉を使うことはできませんが、仕草や行動で自分の気持ちを私達に伝えようとしています。
犬の生態や習性を知り、不安や不満の原因となりうることを理解した上で犬達のサインを知っておきましょう。
そうすることで、解決すべき問題点を早めに察知し、改善していけるようになれることでしょう。