️年間約3万頭の犬が保健所に引き取られている
一昔前に比べると、日本でも捨てられる犬の数が大きく減ったと報道されています。しかし、それでも2021年の保健所に引き取られた犬の頭数は、約27,000頭と非常に多い頭数が保健所に収容される事態となっています。
保健所に犬が引き取られる経緯はさまざまですが、野良犬が圧倒的に減少している現在では、主に犬を飼育できなくなった飼い主が直接連れて来るケースが多く見られます。
中には自らお願いしに来るのではなく、あろうことか道端や家に置き去りにして放置してしまう人もいるため、「捨てられて野良犬となってしまった犬がいる」と連絡を受けて保健所や市の職員が保護し、保健所に収容されるケースもあります。
飼い主が犬を手放す理由
では、犬を家族として迎え入れたにも関わらず、なぜ手放す飼い主がいるのでしょうか。
昔から、「引越し先で飼えないから」「お世話が難しいから」「しつけが上手くできないから」「病気になりお金がかかるから」といった人間側の勝手な事情が理由で犬を捨てる飼い主が多くいます。
信じられない話ですが、現にそうした飼い主によって捨てられた犬たちが2万頭以上も保健所に収容されているのです。
しかし、最近多くなってきているケースとして、飼い主が高齢者のため自らお世話することが難しくなったり、突然飼い主が病院に運ばれお世話できなくなってしまった、あるいは亡くなってしまい飼い主がいなくなってしまったというケースが見受けられます。
高齢になってから「犬を飼いたい」という気持ちは理解できます。しかし、犬を最期まで見届けることができるかということを十分考えた上で、もしものことが起こった時の対応も考慮して迎える必要があります。
️ 『捨てられた犬』はその後どうなるの？
では、一般的に飼い主に捨てられてしまった犬たちは、その後どうなっているのでしょうか。皆さんは『捨てられた犬』のその後をご存知でしょうか。
1.基本的には地域の保健所に収容される
先にお話した通り、基本的には地域に保健所に保護され収容されることになります。
飼い主が直接お世話をお願いしに来るケースもあれば、捨てられて野良犬化してしまった犬が保健所に保護されるケースもあります。
2.保護期間の間に里親を募る
保健所に保護された犬たちは、無期限に収容されているわけではありません。保健所もお世話をする費用や場所が限られているため、泣く泣く『保護期間』を設けることになっているのです。
保健所に収容された犬たちは、保護期間の間に里親を募ることになります。最近ではSNSなどで保護期間の犬たちの情報が拡散され、里親とめぐり合うことができるケースも増えてきています。
また、ボランティア団体が引き取ってくれることもあり、保護期間が終わりそうな犬たちを保健所から救出し、新たにボランティア団体でお世話をしながら里親探しを再開することも多いです。
このような経緯により、保健所から里親さんやボランティア団体に引き取られる犬の数は、収容された犬の85%にも上ります。10年ほど前までは譲渡される犬の割合が半分にも満たなかったこともあり、大きな進歩と言えます。
3.保護期間中に里親が見つからない場合は殺処分に
しかし、保健所やボランティア団体が頑張っても限界があります。残念なことに、保護期間中に引き取り手が見つからなかった犬たちは殺処分対象となり、炭酸ガスによる窒息死で殺されることになります。
都道府県によっても殺処分方法は異なるところがありますが、主に炭酸ガスにより、5分〜20分ほどかけて窒息死させる方法がとられています。
この方法で、現在も年間約4,000頭の犬たちが殺処分されているのです。殺されなくても良い命が、人間側の身勝手な理由で捨てられ殺されるということは、本来ならばあってはならないことです。
まるでアクセサリーのように犬を手放す飼い主がいますが、必ずしも保健所で里親が見つかるという保証はないのです。万が一、里親が見つからなければ愛犬が炭酸ガスが充満した部屋に入れられ、苦しみながら亡くなっていくのです。受け入れられると言うのでしょうか。
️犬を最期まで責任を持って飼育する覚悟がありますか？
今回ご紹介してきたように、もしも飼い主が最期まで責任を持って愛情を注がず、飼育放棄した場合、犬たちは保健所に収容され、最悪の場合、殺処分されてしまう恐れがあります。犬たちの命は、飼い主の判断に委ねられていると言っても過言ではありません。
とても重い1つの命を責任を持って迎え入れることは、そう簡単なことではありません。どんなにお世話やしつけが大変でも、病気によってお金がかかったとしても、最期まで見届ける覚悟を持たなければいけません。
また、自身にもしものことがあった時のことを考えて、事前に「何かあったら犬を引き取ってくれる相手」を探しておくことも大切です。
犬は家族の一員です。1つの重い命です。「可愛いから」という理由だけで衝動的に引き取って良い存在ではありません。犬を飼う際は犬を飼うことの大変さや重みを、事前に細かい部分まで理解した上で迎え入れてください。
️まとめ
いかがでしたか。数が減ったとは言え、未だに一度迎え入れた家族である犬を捨てる飼い主がいることに信じられない気持ちでいっぱいです。犬は大切な家族です。最期までお世話をする覚悟をしっかり固めた上で、迎え入れてください。
