自然治癒力とは
昔から「手当」という言葉があるように、私たち人はおなかが痛い時、患部に手を当ててじっとしているうちに、症状が治まってしまうことがあります。また、かぜをひいた時は、消化の良いものを食べ暖かくして、休んでいると治ることがあります。
これらは人だけではなく、犬や生きもの全般に備わった自然治癒力の働きによるものです。つまり自然治癒力とは「自分の力で病を癒し、治す自然の力」のことです。
自然治癒力が下がると、どうなる?
自然治癒力が下がるというのは、体の防御システムである「免疫力」が低下することです。免疫力とは、体内に侵入したウイルスや病原菌などの異物を攻撃したり、傷ついた細胞の修復、老廃物や発生したがん細胞を処分したりするなど、身体全体を正常な状態に保つ働きをする自己防衛システムです。
そのため、免疫力が低下すると、感染症などの病気にかかりやすくなるだけではなく、病気が悪化してしまうリスクも高まります。
『自然治癒力』が低下する原因3選
1.栄養不足
犬の栄養の中でも、自然治癒力と特に関係があると言われている栄養は、タンパク質とアミノ酸です。アミノ酸は全部で22種類あり、動物の生命活動にはこれらすべてのアミノ酸が必要になるのですが、犬では12種類(非必須アミノ酸)は体内で作り出すことができます。
しかし、残りの10種類(必須アミノ酸)は食事から摂取するしかありませんから、これらとタンパク質が不足すれば免疫力の低下を招く原因になります。
2.睡眠不足
睡眠は人も犬もとても大切。睡眠不足が続くと、睡眠に関わるホルモンである「メラトニン」が十分に生成されません。メラトニンは強い抗酸化特性を持っており、免疫力を高める機能があります。
ですから、メラトニンが不足することで自然治癒力の低下を招き、感染症にかかりやすくなったり体調を崩しやすくなったりなど、さまざまなマイナートラブルに影響します。
また、睡眠中は、日中の活動で痛んだ細胞を修復するための成長ホルモンが多く分泌されます。睡眠不足になると成長ホルモンも十分に分泌されず、免疫細胞の減少に繋がり免疫力が低下してしまいます。
3.ストレスフル
ストレスを長時間感じてしまうことで、自律神経のバランスが崩れる事に繋がります。これにより活動的な状態である交感神経が優位のままになり、リラックス時の副交感神経を封じ込めてしまい自然治癒力を発揮できない状態へと導いてしまいます。
精神的面では、ストレスを受けると、内臓などの働きを調整する自律神経が乱れます。すると、粘膜の表面でウイルスや病原体とくっついて無毒化し、体内への侵入を防ぐ「IgA抗体」の産生が下がってしまうため、免疫力も弱まるのです。
自然治癒力をアップするために
では、犬の自然治癒力をあげるために、具体的にはどういったことをすれば良いのでしょうか。以下をは一例にすぎませんが、ご参考にされてください。
- 十分な栄養を取る
- 日光を浴びる(午前中の日光でセロトニンを生成)
- 運動で有酸素を取り込む
- ストレスをためない環境
- 睡眠をたっぷりとる
- 寒い日は足湯などで血液の巡りを良くする
- スキンシップ効果を取り入れる
- 笑顔でNK細胞の活発化を
腸との関係
自然治癒力を高めるには、身体全体の約7割もの免疫細胞が集中している腸の状態を良好に保つことが重要です。乱れた食生活は腸内環境を悪化させ、暴飲暴食は胃腸に負担をかけて腸が疲れてしまうことから、腸内の免疫細胞の力を落としてしまいます。
腸が元気で活発にさせる「腸活」が、自然治癒力には関係しているというわけですね。発酵食品や食物繊維を上手に取り入れて、腸の健康バランスを整えていきましょう。
まとめ
犬の『自然治癒力』が低下する原因3選!上げるための方法などについて、お送りしてまいりました。自然治癒力という考え方では、「食事」、「運動」、「呼吸」、「心」が健康の4本柱と呼ばれています。これらに気を付け、病気を未然に防いで健康を維持したいですね。