犬は反省するの?
犬は飼い主さんに叱られると、上目遣いで見上げてきたり、うつむいたりすることがあります。このようなしょんぼりした態度は「ごめんなさい」と反省しているように見えますが、本当のところはどうなのでしょうか?
犬の脳と人の脳を比較すると、その構造にほとんど違いはありません。しかし大脳新皮質と前頭葉の大きさに違いがあり、犬のほうがかなり小さいです。そのため犬は善悪を判断したり、物事を振り返って考えたりすることが難しく、犬は反省できないと一般的に考えられています。
そうなると、犬が叱られた時に見せるしょんぼりした態度は何?と、なりますよね。実は、反省しているように見える犬のしょんぼりした態度は、怒っている飼い主さんへの恐怖心や戸惑いを意味しているようです。
実際に、犬が反省した表情や仕草をするのは罪悪感からではなく、叱られる恐怖心からだという結論に達している研究が複数あります。
このように現在のところ、犬は反省できないという考えが濃厚です。しかし犬の行動の中には、犬なりに「ごめんなさい」と言っているのでは?と、考えられるものがいくつかあります。今回はそんな犬の『ごめんねサイン』をご紹介します。
犬の『ごめんねサイン』は?
1.お腹を見せる
犬は争いになりそうな時や不安に感じた時に、仰向けになってお腹を見せることがあります。これは「降参」を意味し、服従のポーズと呼ばれています。急所であるお腹を見せて、相手がそれ以上攻撃してこないようにするのです。
叱られている時にこのポーズをする場合は「ごめんなさい。もうこれ以上怒るのはやめて」という気持ちが込められていると考えられます。
しかし、叱られる前からお腹を見せる場合は「とりあえずお腹を見せておこう」くらいの軽い気持ちで、そこに謝罪の気持ちはないでしょう。過去に叱られそうになった時にお腹を見せたら叱られずに済んだ経験があると学習して、その場しのぎでお腹を見せるようになります。
ごめんねサインなのか、その場しのぎなのか判断するには、耳や尻尾を観察するといいです。その場しのぎの場合は、耳を立てて尻尾を自然に伸ばしています。耳を倒して尻尾を後ろ足の間に挟み込んでいるのなら、ごめんねサインと捉えていいでしょう。
なお、叱られるような場面ではない時にリラックスした様子でお腹を見せるのは「撫でて♡」というおねだりです。急所であるお腹を大胆にさらせるほど、相手を信頼している証拠と言えます。この場合は優しくお腹を撫でてあげると喜びますよ。
2.手などを舐めてくる
犬が飼い主さんの手や顔を舐めるのは愛情表現です。ペロペロ舐めて「大好き〜♡」と伝えながら甘えています。飼い主さんの手や顔に化粧品やハンドクリーム、食べ物などのにおいや味がついている場合は、それに惹かれて熱心に舐めることも。
また、相手をなだめるためにも手や顔を舐めます。犬はそうやって相手の気持ちを静めて、争いを避けようとします。叱っている時に愛犬が舐めてきたら「ごめんなさい。落ち着いて」と言っていると解釈してあげましょう。
3.あくびをする
わが子を叱っている時にあくびなんてされたら「真面目に聞いてるの!?」と、怒りがヒートアップしてしまいますよね。これがわが子ではなく愛犬であっても、きっと同じでしょう。
犬が叱られている最中にあくびをするのは、そう珍しいことではないです。飼い主さんはイラッとするかもしれませんが、犬は決して飼い主さんをバカにしているわけでも、不真面目なわけでもありません。
犬は人と同じように眠気を感じた時にあくびをしますが、緊張やストレスを感じた時にもします。犬にとってあくびは、相手の緊張をほぐし、自分の気持ちも落ち着かせるための行動でもあるのです。
叱られている時に犬があくびをするのは「そんなに怒らないで」「落ち着いて」という気持ちの表れです。きっとそこには「ごめんなさい」の気持ちも含まれているでしょう。
4.目をそらす
犬が相手の目をじっと見つめるのは、敵意の表れです。ただし穏やかな表情で飼い主さんを見つめているのなら、それは愛情表現なので安心してください。
反対に、犬が相手から目をそらすのは「敵意はありません」という意味です。叱られている時に犬が目をそらすのは、多少の気まずさもあるかもしれませんが、争いを避けようとしているからなのです。
そう言われれば「ごめんなさい。だからもう怒らないで」と訴えているように見えませんか?
まとめ
今回は、犬の『ごめんねサイン』と解釈できる行動を4つご紹介しました。一般的に、犬は反省できないと考えられています。
しかしご紹介したようなごめんねサインを見せるのなら、少なくとも叱られているということは分かっているはずです。それなのに長々と叱ってしまうと、犬に恐怖心やストレスを与えてしまうので注意しましょう。