️『季節の変わり目』に犬が体調を崩す理由
1.自律神経の乱れ
自律神経は、「心拍」や「呼吸」「血液循環」「消化吸収」などを、24時間コントロールして、体の機能を保ったり調節する働きを行っています。
気温差が激しいと、自律神経によるその調節が頻繁にかつ激しく行われることになり、乱れが生じやすくなります。
自律神経の働きが乱れると、食欲不振や便秘、下痢、冷えなどを起こすことがあります。
2.水分不足
体内の水分は、パンティングや普段の呼吸、排尿や排便などで失われていきます。常に、失われる量と体の状態に見合った水分を摂取する必要があります。
暑い時期に水分が不足しやすくなることは多くの方がご存じだと思いますが、秋から冬にかけても充分に水を飲んでいるか気にしてあげる必要があります。
飲み水や食事から摂取する水分が不足すると、体液が不足して老廃物の排出や様々の細胞機能、体の機能に悪影響を及ぼし、水分の不足量が多くなると脱水状態となります。
3.環境変化によるストレス
春は人間にとって、進学・就職・転勤など生活に大きな変化が生じる季節です。他にも、5月や夏、9月、年末年始などには連休があってどこかへ出かけたり、来客があったり、飼い主さんの生活リズムが普段と変わったりすることが多いでしょう。そんな変化が犬を不安にさせていることもあります。
また、飼い主さんとしては特に目立った変化がないつもりでも、家族がなんとなくソワソワしていたり、落ち着きがない様子が続くと、それが犬にとって不安を感じさせる原因となってしまうこともあります。
気候とは関係がなくても、飼い主さん家族にイベントがある時期や季節の変わり目に、犬がストレスを感じたり生活が変化することによって体調不良を起こすこともあるのです。
️『季節の変わり目』に気を付けたい病気
胃腸炎
『胃腸炎』の代表的な症状は、嘔吐と下痢です。
寒暖差が激しいと、急激な気温の変化に体が適応できなくなり、自律神経の乱れによって消化器症状を引き起こすことがあります。普段、食べ物を消化しその後排便を起こさせるには、自律神経が大きくかかわっているのです。環境の変化によるストレスから消化器の働きに異常が生じ、下痢や嘔吐が見られることがあります。
炎症までは起こさなくても、なんとなく食欲がない、なんとなくムカムカする、ということもあるでしょう。胃腸を休めたり粘膜を保護してあげる薬を飲み、安静に過ごしていると1〜3日で自然に治まることが多いです。
気管支炎
犬の気管支炎の多くは、ウイルスや細菌によるもので、免疫力の低い子犬で多く見られます(ケンネルコフ)。しかし、中年齢以降の犬で見られる慢性の気管支炎もあり、その場合には原因がよく分からないことが多くあります。
冬の乾燥した冷たい空気が喉や気管に入り込んで刺激となることや、汚染された空気、飼い主さんの喫煙などが関係している考えられるケースもあります。
『気管支炎』は気管支に炎症が起こる病気ですが、肺炎はないか、心臓病はないか、二次感染は起きていないかなどによってどんな咳をするかは変わってきます。慢性気管支炎では一般的に、何度も続けて乾いた咳をするのが2ヶ月以上続くのが特徴です。
膀胱炎
細菌感染によって、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気が『膀胱炎』です。
頻尿、血尿などの症状の他、痛みを伴って鳴き声をあげることもあります。細菌によって尿がアルカリ性になるとストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結晶ができやすくなります。
動物病院では、尿検査とエコー検査などで診断を確定し、抗生物質を中心に治療を行います。
関節炎
高齢になって関節炎を持つ犬も多くいます。適度な運動や環境の整備、痛みを和らげる薬や関節を保護するサプリメントなどで治療を行いますが、季節の変わり目や寒い時期に症状が悪化することがあります。
️体調を整えるための対策は?
乾燥対策、水分の積極的な摂取を心がける
空気の乾燥や寒さによって犬の皮膚や肉球が乾燥し過ぎることがあります。
部屋の加湿、保湿クリームを使った肉球ケアなどで犬の皮膚を乾燥から守りましょう。
また、夏は暑さによって、冬は空気の乾燥や暖房の使用によって水分が失われやすくなるため、水分を積極的に摂取させる必要があります。飲み水を頻繁に取り換えたり、大きなボウルを使ったり、ボトルではなくお皿から飲ませるようにしたりなど、水をできるだけ多く飲んでくれる工夫をしましょう。
良質な栄養を摂取し、時にはサプリメントの利用も
犬の主要なエネルギー源の一つは「タンパク質」です。
またタンパク質は、丈夫な骨、筋肉、艶のある被毛、その他体の様々な組織の材料となっています。
その様なタンパク質をはじめ、脂質や糖質、ビタミンやミネラルなどが愛犬の体格や体調、年齢などに合っている適切なフードを選び、普段から良質な栄養を摂取するようにしましょう。
慢性疾患や季節の変わり目にいつも調子を崩すことがあるような場合、フードや薬の他にサプリメントを利用するのも良いでしょう。どんなサプリが良いか、どんな効果が望めるのか、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
マッサージする
マッサージでリンパ液の流れを良くすると、全身の血流が良くなって代謝が良くなるでしょう。
マッサージするときは、まず飼い主自身が呼吸を整えてから始めると良いでしょう。
愛犬の様子を見ながら、手のひらで優しく揉みほぐします。
犬をリラックス状態へ導き、自然治癒力も高まるかもしれません。
犬に行えるマッサージはたくさんあり、詳しいやり方は書籍やインターネットで調べることができます。
適度な運動をする
冬に寒くて外に出るのが億劫になると散歩や運動量が減ってしまうことがあります。犬自身は散歩に行きたくても飼い主さんが外に出たくないこともあるでしょうし、犬自身が外に出たがらないこともあります。
また暑い時期には、熱中症にならないために散歩を避けるべき時間が長く、思うように散歩や運動ができないこともあるでしょう。
そのような時期に運動不足になってしまうと、いざ気候が良くなってたくさん外に出られるようになった時に体がついていかなかったり、運動不足によってちょっと太ってしまうかもしれません。
気候によって散歩や運動が思うようにできない時期は、室内で積極的に遊んだり屋内のドッグランを利用するなどして、運動不足にならないように心がけると良いでしょう。
防寒対策を行う
体調が良くなかったり老犬の場合には、外に出る時に防寒対策として服を着せてあげた方が良いことがあります。服以外にも、冬の散歩の前には室内で遊んで体を温めてから出掛けるなど、できるだけ寒さによって体調を崩すことがないように工夫してあげると良いでしょう。
できるだけ生活パターンを崩さない
旅行や来客、家族構成の変化があった際も、できるだけ犬の生活パターンを崩さない工夫をしてあげましょう。
ペットホテルに預ける時も、いつものご飯やおやつ、ベッドを持参したり、来客があってもいつもと同じ時間に散歩に出かけたり、イベントがあってもいつもと同じ物を食べさせたり、できるだけ犬が変化に対して不安を持ったり過度に興奮しないようにしてあげられると良いですね。
️まとめ
季節の変わり目に起こりやすい極端な気温の変化や環境の変化は、犬の体調に影響を与えたりストレスをたまりやすくさせます。
持病の有無、年齢、体格、普段の生活の仕方によっても状況は違ってきますが、1年を通して快適に過ごせるように、愛犬の様子に気を配り、季節の変わり目でも元気に過ごせるようにしてあげられると良いですね。