食べ物ではないものを食べる
本来その動物が食べるものではないモノを口にし、食べてしまう行動は「異食症」と呼ばれます。
犬たちをはじめ、猫やもちろん人にも同じように「食べ物ではないものを食べてしまう」ということが発生します。
特に人の場合、「氷食症」「土食症」「食毛症」などが知られています。
いずれも栄養障害や栄養不良、貧血、あるいは極度のストレスなどの場合で発症することが多く、妊婦さんや子供などに比較的多く見られるものです。
犬が小石や砂を食べてしまう理由
犬たちが石や砂、うんちといった「食べ物ではないものを食べる」理由は様々です。
しかし最初のきっかけは退屈だったり、おいしそうなにおいがしたり、という些細なものがほとんどです。
人間の子どもも幼い赤ちゃんのうちはなんでも口にいれてしまいますよね。
これは成長・発達の過程で大変重要な行為と言われています。
赤ちゃんは自由に動くことができない代わりに、目や唇や舌を使ってモノを確認し感覚を鍛えているのです。
犬の場合も子犬のうちは様々なものを口に入れます。
これも好奇心旺盛な子犬たちの発達には欠かせない自然な行動です。
紙や小さな砂など多少の異物であれば、ほとんどの場合はうんちと一緒に排泄されるので、それほど心配する必要やありません。
自然と成長とともに、それらを食べることもなくなっていくことがほとんどです。
しかし成長してから急に異食症が始まった時は、次のような理由が考えられます。
栄養不足
鉄や亜鉛、カルシウムなどいわゆる「ミネラル」が不足している状態が続くと、小石や砂、土を食べてしまうことがあります。
寄生虫
お腹に寄生虫がいる場合もなぜか小石や砂を食べてしまうことがあります。
ホルモンバランスの崩れや極度のストレス
- 甲状腺の疾患や副腎、すい臓など内分泌系の病気がある
- 運動不足や留守番
- 苦手なシチュエーションを強いた後
これらのような、メンタルに極度のストレスがかかった場合などに異食症を発症することがあります。
飼い主のNG行為と対処法
飼い主のNG行為
犬たちは遊ぶことが大好きです。
日ごろの何でもない行動を遊びとみなして、楽しんで繰り返してしまうことはありませんか?
石や砂を食べたとき、「面白いことがおこった」ということを学んでしまうと、その異食が強化されてしまうことがあるのです。
よくあるパターンが、犬たちが石を口にしたときに飼い主が高い声で騒いでしまうこと。
これは犬にとっては「叱られた」というより、「飼い主が注目した・喜んだ」「追いかけまわされて鬼ごっこをして遊んでくれた」という解釈になってしまう可能性があるのです。
何度もそれを繰り返すと、犬は石を食べると飼い主に遊んでもらえると覚えてしまい、余計にその行動を繰り返すようになってしまいます。
対処法
軽度な栄養不足であればミネラルを補給できるサプリや総合栄養食(ドッグフード)を与えてみると、症状が改善するでしょう。
しかし寄生虫が原因だったり、内分泌系の病気の場合はサプリでは改善しないので、獣医さんへ相談することをお勧めします。
何らかの健康上の要因で起こる異食症は治療の必要がありますので、獣医さんへ早めに相談することがよいと思います。
ただし、通常の食欲もあり元気もあり、散歩も十分だという場合は「病気」より飼い主の行動が原因であることも考えられます。
また、小石や本来食べるものではない紙・小物などを犬の近くに置かない、そういうシチュエーションを作らないようにしていくことが「異食」を止めることにつながります。
さらに、「異食」をすると嫌なことが起こる(大きな嫌な音がする、苦い味がするなど)ということを覚えさせるという手段もあります。
まとめ
子犬の場合の異食は、成長の過程で必要な自然行動であることが多いです。
しかし、成犬になっても続いたり、成犬になって急に始まると飼い主さんは心配になりますよね。
そのような時は決して大騒ぎせずに落ち着いてその行動を制止するようにしましょう。あまりにも執着して食べる場合は様子を見ず、早めに獣医師に相談してください。
また、吐き気がひどい場合は腸閉塞を起こしている可能性があります。命にかかわりますので、すぐ診てもらいましょう。