犬は、〇〇性〇食動物
犬の食性は独特で、「肉食性の強い、雑食動物」というものに区分けされます。(猫は完全肉食動物、牛は完全草食動物)ですから、やや肉食ではあるものの、人と同じような栄養素も必要です。
犬の体の仕組み
犬にとっても必要な食物繊維。食品の中には繊維質を含むたくさんの種類がありますが、犬はどの繊維質でも吸収できるのか、というと、実はそうではありません。
それは犬の歯や消化器官などの体の仕組みによるもので、分解が得意な食品と、そうでない食品があります。具体的には後半でお伝えしますが、犬の体が喜ぶ食品を適切に与える方法をしっかりマスターしていきましょう。
食物繊維の不足が招く、体の症状
1.便秘
食物繊維が不足することによって、まず考えられるのが便秘です。食物繊維が不足している便は硬いため、長い時間大腸内に留まってしまいます。排便が困難になれば、食欲不振、吐き気が見られる場合も。
また、排便時にいきむことによって、肛門が腫れたり、脱肛と言って肛門の一部が、中から外へ飛び出てしまう症状があります。めったにあることではありませんが、こうした便秘による肛門のトラブルは、動物病院を受診する必要があります。
2.肥満
食物繊維が不足すると、満腹感を感じにくくなる傾向にあります。また、脂肪や糖の吸収を早めてしまい、食後の血糖値が下がりにくくなりますので、結果として犬の肥満につながるというわけです。
食物繊維には老廃物を流す役割や、毒素を吸着して排出する作用があるため、不足すると皮膚のトラブルにつながることもあります。
2種類の食物繊維。それぞれの特色と摂取方法
食物繊維は、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特徴や摂取で得られる効果をお伝えします。
≪不溶性食物繊維≫
サツマイモやブロッコリーがその代表ですが、他にも全粒粉、豆類、きのこ、柿などの食品に含まれています。便のかさを増して排便を促してくれるなど、腸内の動きを活発にし、腸をきれいにしてくれる役割をもっています。
ただし、これらの食品は不溶性。字のごとく、体内で分解されにくいのが特徴です。犬は人とちがい、食べ物をすりつぶすための歯をもっていませんので、なおのこと分解しづらいのです。
そのため、犬に与える際は、細かく刻む、加熱する、すりつぶしてペースト状にする、などのひと手間を加えるのがベター。大きいままでは、便のキレが悪くなることもありますのでご注意ください。
≪可溶性食物繊維≫(水溶性食物繊維)
にんじん、リンゴ、モロヘイヤ、納豆などに含まれます。これらの可溶性食物繊維を犬に与えることで、水分が多めの便を作り出すので、有害物質を吸着して体の外に出す働きがあります。
他に、可溶性食物繊維には、胃の中に長く留まることで血糖値の上昇を抑え、コレステロール値を下げる役割を持っています。それらは乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌のエサになるので、腸内環境を整えるのにとても効果的です。
バランスの正解
犬に与える量については、できるだけバランスよく与えたいものですね。でも、実のところ、犬の食物繊維は何パーセントが必須!といったような、明確な基準は定まっていません。
人もそうであるように、栄養というのはある程度の基本形があり、その上で個体や季節、体調に合わせて取り入れていくというのは犬も同じです。
一般的な総合栄養食と呼ばれるドッグフードには、おおむね5%程度の食物繊維(不溶性および可溶性を合わせて)が含まれています。しかし、なにがどれくらい、という詳細については表示されていない商品がほとんどです。手作り食の場合には、愛犬の体調を見ながら少しずつ与えていくのが良いでしょう。
まとめ
今回は、犬は食物繊維を摂取しないとどうなる?2つの不足サインとおすすめの与え方についてお伝えしてきました、食物繊維を上手に取り入れて、愛犬の体調を健やかに整えたいですね。