犬が鳴くには理由があって
犬の言葉が本当に解読できるなら苦労はないのですが、私たち人は、犬の声をキャッチし、おそらくこうした感情ではないかと予測をし、その予測を裏付ける動機や動作を結び付けて、推測しているにすぎません。
言い換えると、犬の言葉、伝えたいことを、人がピッタリと正確に読み取ることはできないのです。でも、仕草や、行動から、メッセージを感じることができます。鳴くのもそのひとつ。犬が鳴くときは、どんな感情を持っているのでしょうか。
犬が病気や怪我をしている時の鳴き方 3選
1.悲鳴
あえて、悲鳴と書かせていただきました。「キャイン!」、「ギャイーン!!!」と、悲鳴のように高く、切り裂くような鳴き声です。人で言うところの「キャ!」、「ヒィ!」でしょうか。
これは驚きの声ですから、犬はなにか体の痛みを感じて驚いたのかもしれません。この場合は、回数、頻度、その後の様子に注目する必要があります。
例えば、普段どおりの生活の中で、寝起きに1度悲鳴をあげた、抱き上げたときに一度悲鳴をあげた、といった場合には、それほど緊急性がないことが多いものです。まずは、身体に触れ痛がるところがないかを見て、できもの、傷、腫れ、赤味がないかを確認します。
異変があれば動物病院に受診しますが、特に見当たらなく、また、悲鳴のあとはケロっとして、いつもどおりだったということもあります。その後、震えが止まらない、悲鳴が止まない、また同じシチュエーションで悲鳴があった、などの行動が見られたら、動物病院への受診をおすすめします。
2.か細く、弱い鳴き方
「クゥ~ン」、「ヒュンヒュン」、「キュー….」。こうした、振り絞るように弱く小さい鳴き声が犬から聞こえたら、犬からのSOSのサイン。どこかにダメージを受けている可能性があります。体に異変を感じ、不安で、心細くなっているのかもしれません。
「犬は痛みに強い」とされていたのは過去のこと。現代では研究が進み、犬も痛みや痒みによって気分に影響を及ぼすことが解っています。病気や怪我に関連し、気圧による疼痛や症状の上下があるようです。
こうした鳴き方の場合は、飼い主さんに助けてほしい、つらいと不安がっていることが多いものです。まずは体のあちこちを触り、異変がないことを確認したら、犬が落ち着くように寄り添ってあげると安心するでしょう。
その上で、どんなタイミングでその鳴き声が起きるか、などを記録していきます。動画を撮影して獣医さんに相談するといいですね。
3.鳴かない
え?と思われるでしょうが、「鳴かない」というのも、犬のひとつの鳴き方と捉えることができます。人がそうであるように、犬もまた、病気や怪我の症状が重すぎるときには、声も出ないものです。
体を丸め、うずくまる様子や、あえぐ、ぐったりとしている、苦しそうに目をつむって耐える様子が見られます。すでに病気や怪我を抱えている犬や、シニアで慢性の疼痛を抱えている犬によく見られますが、ここは飼い主とかかりつけの動物病院での連携が必要です。
しかし、さっきまで元気だったのに、なにかの拍子に急にこのような状態になってしまったという場合は緊急を要す場合があります。すぐに動物病院での診察が必要なケースもありますのでご注意ください。
犬の痛みを助けるもの
痛みの原因が急性であるか、慢性であるかに限らず、犬が痛みから解放されるためには人の介助が不可欠です。重複しますが、野生に近い犬では痛みを隠すことが生き抜くすべのひとつでした。
そうした流れから、現代よりも前の時代の犬たちにおいても、実際に痛みをさらけ出そうとはしない犬が多かったように感じます。しかし、現代の動物医療ではペインコントロールなど、犬の痛みに対するケアも進化しています。
痛みの程度を予測する
いずれにしても、犬の痛みの程度を予測するという点では、鳴き声がひとつの目安になることは間違いありません。私たち飼い主は愛犬の痛みをいち早く発見するために、犬の動作や行動、いつもとちがう鳴き声に敏感に気づくというのが大事です。
ここで、「世界小動物獣医協会」(WSAVA)が公開した「痛みの認識、評価、治療に関するガイドライン」に掲載されている、痛みの度合いガイド(私的な感覚に頼らない判断に用いる、ペインスケール)から、痛みの鳴き声について一部を抜粋してご紹介します。
本来はこれに合わせて、行動や、体位、人に対する反応など、いくつかを組み合わせて使用するものですから、もっと知りたい方は、これを機会に調べてみると役立ちますよ。
- 高い声で悲鳴をあげる
- クンクン鳴く
- 意味もなく吠える
- まったく声を出さない
- うなる
- 泣き叫ぶ
まとめ
犬が病気や怪我をしている時の『鳴き方』3選と、見極め方や病院へ行くべき症状をご一緒に見てまいりました。犬が出している痛みのメッセージをキャッチして、落ち着いて対処したいですね。