寿命も縮めてしまう犬の肥満
愛犬の腰にくびれがなかったり、肋骨に触れなかったりするのなら、肥満気味または肥満かもしれません。犬の肥満の原因の多くは食べ過ぎによるものと言われています。飼い主さんがおやつや食事を与え過ぎることによって、愛犬を太らせてしまうのです。
食べ過ぎのほかには運動不足、高カロリーなおやつや食事、去勢/避妊手術(性ホルモンが減少することで代謝が落ちるため)、加齢(年を取るにつれ代謝が落ちるため)などが肥満の原因になることも。
人間と同じように犬にも肥満はさまざまな病気の要因となり、例えば…
- 膵炎
- 糖尿病
- 心臓病
- 呼吸器疾患
- 関節炎
- 椎間板ヘルニア
- 尿路/膀胱結石
などを引き起こします。
また肥満は寿命にも関係し、肥満の犬は寿命が短い傾向にあることが研究によって分かっています。肥満傾向の犬は、半年〜2年以上も寿命が短くなるという研究結果もあるといいます。
このように、肥満は犬の健康や長生きの大敵です。どの犬も食べ過ぎや運動不足などによって肥満になる可能性がありますが、もともと太りやすいと言われている犬種もいます。
その犬種は、特におデブさんになりやすいので注意が必要です。さて、要注意なのはどの犬種なのでしょうか?
『デブになりやすい犬種』は?
1.ダックスフンド
ダックスフンドは体のサイズによって、スタンダード、ミニチュア、カニンヘンの3種類、被毛のタイプでロング、スムース、ワイアーの3種類に分けられます。
最初は一番大きいサイズのスタンダードが、アナグマ猟に使われていました。その後、ウサギやテンなどの小動物の猟にも使えるように、小型化したのがミニチュアとカニンヘンです。ダックスフンドの原産国であるドイツでは、現在でも猟犬として使われています。
もともとは猟犬であるため、体を動かすのが大好きです。しかし、家庭犬として飼われているダックスフンドは本来必要な運動量を満たせていないことが多く、運動不足になりがち。
しかもダックスフンドは食欲旺盛でもあり、運動不足にも関わらずたくさん食べてしまうため、太りやすい傾向にあります。胴長の体型は腰に負担をかけ椎間板ヘルニアになりやすく、肥満になるとさらにそのリスクが高まります。
初心者でも飼いやすいと言われている犬種ですが、適度な運動と食事管理を徹底する意識が必要です。散歩は1日2回、それぞれ30分を目安に行いましょう。
2.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キング・チャールズ・スパニエルが祖先犬のキャバリアは、とても優しくフレンドリー。見知らぬ人にも友好的に接することができ、子どもや他のペットともうまくやっていけるでしょう。
キャバリアは遺伝的に、僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種です。老犬に多い心臓疾患ですが、キャバリアは若いうちから発症するケースが少なくありません。定期的な健康診断で早期発見に繋げることが大切です。
上品な見た目からはあまり想像できませんが、実は食いしん坊なタイプが多く、太りやすい体質でもあります。
肥満になると、心臓に負担をかけてしまうため注意が必要です。1日2回、それぞれ20〜30分程度の散歩を毎日行い、おやつや食事の与え過ぎにも気をつけて肥満を予防しましょう。
3.パグ
パグは歴史の古い犬種で、紀元前400年頃には中国の仏教寺院で飼われていたと言われています。愛嬌のある風貌とは裏腹に、性格は冷静で賢く飼い主に忠実です。しかし一方で、頑固な面もあります。
パグのように鼻先が潰れている短頭種は、体温調節が苦手。特に暑さに弱く熱中症になりやすいので、夏場はエアコンで快適な環境を作ることが重要です。
肥満は熱中症のリスクをさらに高めますが、パグは食欲旺盛で太りやすいです。1日30分程度は散歩へ連れて行き、食事やおやつは高カロリーなものは避けて、与え過ぎにも注意しましょう。
4.ビーグル
アメリカの漫画『ピーナッツ』のキャラクター、スヌーピーのモデルとなって以来、世界中で愛されているビーグル。詳しい起源は分かっていませんが、紀元前からギリシャで、ウサギ狩りの猟犬として使われていたハウンドの末裔と考えられています。
素直で優しい性格で飼い主や家族に従順です。しかし、ひとりでいることが苦手なので、留守がちの家庭には向かない犬種と言われています。
かなり食いしん坊なため、食事と運動の管理をしっかり行わないとすぐに肥満になってしまいます。ビーグルは先天的な病気が少なく、平均寿命が12〜15歳と長生きな犬種です。
肥満で病気を引き起こし、せっかく長い寿命を縮めないようにしましょう。散歩は1日2回、それぞれ30分ずつが目安です。
5.ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
コーギーの愛称で親しまれているウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、古くからイギリス王室で愛されている犬種です。イギリス国王ヘンリー1世によって招かれたフランスの職工が持ち込んだ犬が祖先犬とされています。
その後、イギリスのウェールズ州で牧牛犬や番犬として改良されました。現在は、家庭犬として広く愛されています。
若干落ち着きがなく興奮しやすいところがあるものの、温厚でフレンドリーな性格の持ち主です。
コーギーも食欲旺盛で、太りやすい体質と言われています。ダックスフンドと同じく胴長体型であるため、椎間板ヘルニアになりやすいので肥満にならないように要注意です。適切な食事と適度な運動で、理想体型を維持しましょう。
もともとは牧牛犬なのでスタミナがあります。運動不足にならないように1日2回、それぞれ30分は散歩が必要です。
6.ゴールデン・レトリーバー
かつてはイギリスやスコットランドで、獲物を回収する鳥猟犬として活躍していました。現在は家庭犬として人気の大型犬です。
ゴールデン・レトリーバーの性格は、温和で明るく誰に対しても友好的です。子犬の頃はやんちゃですが、成犬になるにつれ落ち着いてきます。
筋肉質な体をしていますが、食いしん坊のため太りやすい傾向にあります。食事は適量与えるようにし、おやつは最低限にとどめましょう。運動不足によって肥満になることも多いので散歩は1日2回、それぞれ1時間ほどかけてたっぷりと。
7.ラブラドール・レトリーバー
16世紀頃に北欧やイギリスの漁船に乗っていた犬が祖先犬と言われています。カナダのニューファンドランド島で漁師の手伝いをしていましたが、19世紀にイギリスに渡りました。
その後、猟犬として改良が重ねられ優秀な鳥猟の回収犬に。現在は家庭犬として人気な一方で、盲導犬や介助犬、警察犬などとして広く活躍しています。
2歳頃まではやんちゃで甘えん坊ですが、2歳を過ぎると急に落ち着き始め温和で優しい性格になっていきます。賢く従順なのでしつけもしやすいでしょう。
大変食欲旺盛で太りやすく、与えられたら与えられただけ食べてしまう傾向にあります。もともと猟犬のため運動量が多いですが、家庭犬として飼われていると運動量が足りないことが多いです。その結果、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、太ってしまいがちです。
毎日十分な運動をさせるとともに、カロリーや栄養バランスを考えた食事を与えて、太らないようにしましょう。散歩は1日2回、それぞれ1時間ずつが目安です。
まとめ
肥満はまさに万病の元で、犬の寿命を縮めてしまうリスクもあります。愛犬が肥満にならないように飼い主さんが適切な食事を適量与え、適度な運動もさせてあげることが大切です。
太りやすいと言われている犬種は、食事と運動のバランスが崩れるとすぐに太ってしまう傾向にあるので、特に意識しましょう。
太りやすいと言われているのは、ご紹介した犬種だけではありません。愛犬は太りやすい犬種なのか気になる場合は、この機会に一度調べてみてはいかがでしょうか。