1.犬に攻撃されて怪我をする恐れがある
トリミングでは、ブラッシングやシャンプー、ドライ、カットをはじめ、爪切りや耳掃除、肛門腺絞りなどさまざまなボディケアが行われます。これらをすることで犬の体が清潔になり、可愛らしい姿になるのですが、多くの犬はこれらのケアにあまり良い印象を持っていません。
犬自身は清潔になることや可愛いカットをしてもらうことにメリットを感じていません。それにもかかわらず、長時間同じ場所に固定されたり押さえつけられたりします。そのことで、どうしても犬にとっては不快感や窮屈さを感じることになります。
そのため、特にブラッシングや爪切りなどは嫌がる犬も多く、激しく抵抗する犬もいます。なかには、唸って威嚇したり、歯を剥きだしたりすることも。あまりにもひどい場合はトリミング自体を断ることもありますが、多少の抵抗であれば引き受ける場合がほとんどです。
このようなことから、トリミング中に噛まれたり爪が当たったりして、トリマーが怪我をすることも少なくありません。こうした怪我の恐れや攻撃的な犬への恐怖心から、トリマーという仕事自体を辞めてしまうことがあるのです。
2.汚れる仕事が多い
トリミングに来る犬は元々汚れていることも多いだけでなく、トリミング中に排泄をしてしまったり肛門腺絞りで分泌液が飛び散ったりすることも。そのため、どうしてもトリマーは汚れやすくなってしまいます。
トリミングをすること自体は犬をきれいに可愛くするものなので、汚れる仕事の多さにギャップを感じて続けることができなくなってしまうトリマーもいるのです。
3.体力を使う仕事が多く体を壊す
犬と関わる仕事に共通して言えることですが、トリミングは非常に体力を使う仕事です。長時間立ちっぱなしで犬を洗ったりカットをしたりしますし、大型犬を扱う場合は持ち上げる際に腰を痛めることもあります。
これが毎日長時間行われるため、体を壊してしまうトリマーも少なくありません。また、トリミングサロンでは、少ない人数で多くのサービスを提供している場合が多いのも事実。
体力を使う仕事のほかにも、当然事務作業や接客など、さまざまな内容の仕事を少人数で行う必要があります。十分な休息が取れないまま、無理をして働くトリマーが多いのも事実です。
4.給料が安い、待遇が良くない
こちらも犬に関わる仕事の多くに当てはまることですが、トリマーの給料はあまり良いものとは言えません。正社員であっても15~18万円程度とされているため、仕事の大変さに見合っていないと考えてしまうのも無理はないでしょう。
最近では少しずつペット業界の待遇も改善されてきています。しかし、個人経営のトリミングサロンなどでは給料が安い上、十分な福利厚生がないことも多く、不満を感じてしまうことがあるようです。
5.飼い主さんからのクレーム
トリマーがシャンプーやカットを行うのは犬ですが、それらの仕事を評価するのはその犬の飼い主さんです。トリミング中は基本的にサロンに預けていくため、完成後に愛犬を見て「カットがイメージと違った」などのクレームが出ることもめずらしくありません。
良かれと思ってしたことに苦情を言われたり、嫌な顔をされたりするのはどのような職業であってもつらいものです。飼い主さんと直接話しながら作業が進められれば、希望に沿うように調整することができますが、犬相手ではそのようにはできません。
苦労してトリミングを完了させた後に不満をぶつけられることになると、仕事自体が嫌になってしまうのも十分に理解できます。
まとめ
トリミングをされた犬は、きれいに洗ってもらい、可愛らしくカットしてもらっています。しかし、キラキラとしたその姿になるまでには、トリマーの努力が積み重ねられているのです。
犬を扱う仕事は一見楽しそうに見えますが、体力的にも精神的にも負担を感じることも多いトリマーの仕事。トリマーを目指す人もトリマーと関わる人も、その点を十分に把握しておく必要があるでしょう。