動物の感情はこちらから近寄らないと気付けない
犬は群れで暮らす習性を持っているため、比較的感情を分かりやすく表現してくれています。
人間のコミュニケーションツールの主役は言葉ですが、犬は言葉を使えません。
その代わりに、全身を使って自分の感情を表現しているのです。
実際、愛犬達は私達飼い主のことをよく観察し、仕草や行動、声の調子などから私達の感情を察知しています。
言葉を使うコミュニケーションに慣れている私達人間には、犬の表現方法は難しいと感じるかもしれません。
だからこそ、こちらから愛犬に歩み寄っていき、愛犬の気持ちを理解しようとする努力が必要なのです。
今回は、愛犬が飼い主さんに「寂しかったよ」といっている時に示す仕草や行動をご紹介します。
犬が「寂しかったよ」といっている仕草や行動
1.見つめ続ける
愛犬と飼い主さんは、普段からアイコンタクトで意思の疎通を図ることが多いのではないでしょうか。
そのため、愛犬が飼い主さんに対して何か訴えたい場合、少し離れた場所や足元などから上目遣いで飼い主さんのことをじっと見つめ続けていることが多いです。
それは、寂しいときも同じです。
愛犬からの熱い視線が多くなったと感じたら、愛犬との時間が減ってはいないかを振り返ってみましょう。
2.後をついて回る
飼い主さんが家にいる時間がどんなに長くても、愛犬に注意を向ける時間がなければ、愛犬にとってはお留守番をしているのと同じこと、いえそれ以上に寂しいことかもしれません。
特に何を要求するでもなく、いつでも飼い主さんの後をついて回るような場合、愛犬は飼い主さんとのコミュニケーションを求めています。
3.高い甘えた声で鳴く
犬は、高い音に対して敏感です。
子犬が母犬に甘える時の高い鳴き声も、母犬の注意を惹きやすい声なのだと考えられます。
成犬になっても、寂しくて飼い主さんに甘えたい時には、子犬のような高い声で「クーン」とか「キューン」といった可愛い声を出します。
積極的に前足で飼い主さんの脚などをトントンと叩きながら鳴くこともあります。
4.ふてくされる
これまでご紹介してきた仕草は、積極性の違いはあるものの、いずれも愛犬が飼い主さんに対して前向きな気持で感情を表現しているものでした。
しかし、あまりにもこれらのサインに気付かれずに無視し続けられると、愛犬の行動は次第に後ろ向きなものに変わっていきます。
飼い主さんに対してふてくされたような表情を見せたり、名前を呼ばれてもそっぽを向いてしまったり、ハウスの中から出て来なくなったりと、すねた子供のような行動をとるようになります。
5.常同行動
ストレスが原因で、意味のない同じ行動を延々と繰り返すことを「常同行動」といいます。
動物園で飼育されているクマやトラなどが、檻の中の同じ場所を1日中行ったり来たりしているのも、常同行動の一つです。
これは、ストレスが溜まっていて精神上とても脆い状態だというサインです。
もしも愛犬が前足などの同じ場所を四六時中舐めているとか、1日中自分の尻尾を追いかけ回しているといった行動を見せ始めたら、寂しさのあまり病気になりかかっているサインだと考えられます。
舐め続けている場所が炎症を起こす、尻尾を齧って出血するなどの自傷行為に発展する前に対処してあげましょう。
6.体調不良や問題行動
さらに寂しい状態が続くことで、愛犬はいよいよ本格的な病気の症状を表してしまうかもしれません。
軟便や下痢、嘔吐といった消化器症状が現れたり、免疫力の低下で感染症にかかりやすくなったりするのです。
また、ストレスで乱れた自律神経は精神面にも影響します。
自分は飼い主さんから愛されていない、捨てられたり帰ってこなくなったりするのではないかと、不安でたまらなくなってしまうのです。
そうなると、無駄吠え、破壊行動、攻撃行動といった問題行動を起こす分離不安症という病気になり、飼い主さんだけでは手に負えなくなることもあります。
その場合は、獣医師やドッグトレーナーなどの専門家の力を借りて、愛犬との関係を修復していくことが必要になります。
まとめ
愛犬が発している「寂しいよ」というサインを早めに察知することができれば、早い段階から愛犬とのコミュニケーションを改善できます。
そしてそのことによって、しっかりとした信頼関係を築いていくことができます。
しかしなかなか気付けずにいると、飼い主さんの努力だけではなかなか関係を修復することが難しくなってしまいます。
それは、飼い主さんはもちろんですが、愛犬にとっても辛く悲しいことでしょう。
どうか、日頃から愛犬が発している感情表現のサインをうまく察知できるように、常に飼い主さんの方から愛犬に歩み寄る努力を続けてあげてください。