広告に登場する犬や猫が消費者の行動に影響を与える?
テレビやWebにはたくさんのCMや広告が表示され、消費者はそれを目にします。そこには可愛らしい犬や猫を使ったものも少なくありません。
広告に犬や猫を使うことがこれだけ一般的になっているにも関わらず、犬や猫が広告に登場することが、消費者の行動にどのように影響を与えているのかを調べた研究はほとんど無いのだそうです。
この度、マサチューセッツ大学ローウェル校、サウスカロライナ大学、香港理工大学の研究者によって、ペットが登場するマーケティング広告に対して人々の行動を比較した研究が発表されました。
犬と猫のステレオタイプがイメージの鍵
広告で犬や猫を見た時、消費者は過去に犬や猫と触れ合った経験を思い出すのだそうです。それは犬なら犬の、猫なら猫のステレオタイプの気質と行動を消費者に思い起こさせ、提示された商品やサービスへの行動に影響を与えると研究者は述べています。
どういうことかちょっと分かりにくいですね。例えば、犬について人々が持つ典型的なステレオタイプのイメージは、忠誠、人間と積極的に関わる、熱心、家族などが挙げられます。反対に猫のステレオタイプはクール、少しよそよそしい、頭が良いなどが挙げられます。
つまり犬または猫を広告に使った場合、その商品やサービスに対してこのステレオタイプと同じ傾向のイメージを持ちやすくなるということです。
この調査では犬が登場する広告を目にした消費者は、目標を追求することに熱心になり、意思決定の際に積極的にリスクを取る傾向を示しました。反対に猫が登場する広告を目にした消費者は、目標を追求することに慎重で懐疑的になり、意思決定の際にリスクを避ける傾向を示しました。
これは宣伝する商品やサービスが、犬や猫と関係がないものであっても当てはまるそうです。この調査への参加者に示した投資商品の模擬広告では、犬を使った場合にはリスクの高い株式投資を選ぶ人が多く、猫を使った場合にはリスクの低い投資信託を選ぶ人が多かったそうです。
犬と猫、それぞれ効果を発揮する広告とは?
研究者によると、広告に登場する犬や猫が消費者に及ぼす影響は、マーケティング商材がそれぞれの動物のステレオタイプを思い出させる時に効果があるとのことです。
犬が効果を発揮するのは『促進』や『昂揚』をイメージするサービスや商品で、株式投資やスポーツカーの広告には犬を起用すると説得力が高まると考えられます。一方、猫が効果を発揮するのは『予防』や『対策』をイメージするサービスや商品で、保険やマスクなどがそれに当たります。
研究者はマーケターが犬や猫を起用して広告を制作する場合に、それぞれのステレオタイプの気質を広告メッセージの中で際立たせることが大切だとしています。
まとめ
広告に犬や猫が登場する際に、消費者は一般的にどのようなイメージを持つのかという研究結果をご紹介しました。
広告制作に携わっている人以外には直接関係のある研究ではないですが、犬や猫に関連する話題として面白いですね。犬や猫が登場する広告を見た時のイメージもちょっと変わるかもしれません。
《参考URL》
https://doi.org/10.1177/00222429221078036
https://www.newswise.com/articles/how-ads-with-dogs-and-cats-affect-consumer-behavior