あなたの愛犬はどう?いびきを掻きやすいわんこ
いびきは気道、特に喉から鼻にかけての上部気道と呼ばれる部位を空気が通る際、喉の粘膜が振動することで引き起こされます。気道が細くなっていればいるほど、粘膜の振動が激しくなるためいびきが起こりやすくなるのです。
人間でもよくいびきを掻く人とそうでない人がいますよね。同様にわんこも犬種や個体によっては、元々いびきを掻きやすい子がいます。たとえば、フレンチブルドッグやパグなどのいわゆる「鼻ぺちゃ」の短頭種はマズルが短く気道が狭くなっているため、いびきを掻きやすい傾向があります。
また、肥満体形の子は脂肪で気道が圧迫されてしまうためいびきを掻きやすくなるのは人間と同じです。
要注意!危険ないびきの特徴
1.突然はじまったいびき
上でご紹介したようないびきを掻きやすい子や、いつもいびきを掻いている子が掻くいびきは、さほど心配する必要はありません。
問題なのは、今までいびきを掻いていなかった子が突然いびきを掻くようになった場合です。何らかの病気がきっかけとなっていびきを引き起こしている可能性があるため注意が必要です。
2.異常に大きないびき
また、異常に大きな音を伴ういびきも注意が必要です。いびきの音が大きくなるということは、それだけ気道が狭くなっているということです。すなわち病状の悪化の可能性が考えられます。以前に比べていびきの音が増していると感じたら、動物病院で相談してみましょう。
3.呼吸が苦しそうないびき
いびきを掻いていたとしても気持ち良さそうに寝ていて、いびきが睡眠をじゃましていないようすであれば見守っていて問題ありません。
しかしながらいびきの途中で呼吸が止まる、咳き込んでいる、いびきや咳で目を覚ましてしまうなど、苦しそうないびきは危険な場合があります。
知っておいて!いびきを引き起こす病気
1.短頭種気道症候群
すでにご紹介した通り、「鼻ぺちゃ」の短頭種のわんこはそもそも気道が狭くいびきを掻きやすい体質の子がほとんどです。短頭種の子のいびきは気にする必要はないと述べましたが、それでもあまりにいびきがひどい場合には、短頭種気道症候群が重篤化している可能性があるので注意が必要です。
短頭種気道症候群にはその名の通りさまざまな症状がありますが、代表的なものは上あごの軟口蓋が垂れ下がって喉の入り口をふさいでしまう軟口蓋過長症や、鼻の穴が狭いために呼吸に支障をきたしてしまう鼻腔狭窄などがあります。
2.気管虚脱
いびきを起こす呼吸器疾患として多いのが気管虚脱です。これは気管を形成する軟骨が変形したり、周りの筋肉の働きが弱くなったことにより、気管が正常な状態を保てずに扁平型に潰れてしまう病気です。
原因としては遺伝的なものも考えられますが、他にも加齢や極度の肥満、またリードを強く引っ張ったなどの外部からの物理的圧力も可能性として挙げられます。
3.アレルギー・感染症
意外に思われるかもしれませんが、アレルギーや感染症がいびきの原因となっている場合もあります。
風邪を引いて鼻の通りが悪くなったとき、寝苦しくていびきを掻いてしまったという経験はありませんか?実はこれはわんこも同じなのです。アレルギーや感染症で鼻水の分泌量が増えると気道に流れ込んでしまい、いびきを引き起こすことがあります。
4.腫瘍
忘れてはいけない原因として腫瘍も考えられます。口腔内や咽頭部に腫瘍ができたことにより気道が狭くなり、いびきを掻きやすくなるのです。腫瘍はMRI検査やCT検査、細胞診などの精密検査と適切な処置が必要になりますから、動物病院で獣医師の指示をあおぎましょう。
いびきへの対処法
1.動物病院を受診する
病気がいびきの原因となっている場合には、その病気を治療しないことには話になりません。病気の種類にもよりますが、いびきや呼吸困難によってその子のQOLが著しく下がっていると判断された場合には、薬物療法や外科手術が行われることになります。
2.寝相を変えてあげる
呼吸器官が健康であっても、寝相によっては喉がつぶれてしまったり、肺が膨らみにくくなったりすることで、いびきを掻く原因になることがあります。
一般的に最も呼吸が楽な寝相はうつ伏せと言われていますから、わんこが仰向けや横向きで寝ていていびきを掻いている場合には、寝相を変えてあげると良いでしょう。
3.気温を調整する
気温が高くて寝苦しいと人間もいびきを掻きやすくなりますよね。これはわんこも同様です。
特に短頭種のわんこにとって、日本の夏のような高温多湿気候はあまり良い環境とはいえません。エアコンなどを活用して過ごしやすい気温に保ってあげると、いびきも軽快することがあります。
4.ダイエットする
肥満体形のわんこがいびきを掻きやすいというのはすでにご紹介した通りです。肥満に起因するいびきに対処するには、とにかく気道を圧迫している脂肪の量を少しでも減らしてあげることです。
いびきに限らず肥満は万病のもと。いびきが気になりはじめたら、これを好機と捉えてダイエットに励みましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?わんこのいびきは可愛いですが、ただ見守っているわけにはいかないケースもあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
いびきを掻いていてもすぐに病気に直結するわけではありませんが、異常があったらすぐに気づけるよう、まずは普段の愛犬の睡眠習慣をしっかり把握しておくようにしたいですね。