1.人の姿を見ると緊張する
人の姿を見るだけでビクッと驚いたり、体をこわばらせたりといった反応を見せる犬は、人に対して非常に緊張していると考えられます。
誰のことも信用していない犬は、人は自分にとって敵または害になる存在と認識しているため、一緒にいることで緊張してしまうのは当然のことでしょう。
人がいるだけで緊張してしまう犬には、「人は怖い存在ではない」と伝える必要があります。
そのため、緊張している犬のことはできるだけ見ないようにして、素知らぬふりで犬には一切かまわず行動するようにしましょう。
接触しようとするだけでなく、じっと見つめたり声をかけたりするだけでも犬は緊張してしまうため、あえて犬の存在を無視するように行動してください。
そうすることで犬は人のことをしっかりと観察することができますし、少しずつ人と同じ空間にいることに慣れることができるのです。
2.近くにいる人から目を離さない
誰も信用していない犬は、人と同じ空間にいると緊張するだけでなく、その人から目を離すことができない場合があります。
その多くは過去に人から虐待を受けたり、直接的に嫌なことをされたりといった経験があると考えられます。
そのため、人が近くにいると「また何か嫌なことをされるのではないか」と疑って、相手から目を離すことができなくなってしまうのです。
同じ空間にいることに慣れてきたり、人に対して興味を示している様子が見られたりしたら、「人といるといいことが起こる」という経験をさせてあげるようにしましょう。
具体的には、離れた場所から犬の元へおやつを投げてあげたり、触ることができるのであれば優しくなでてあげたりするといいでしょう。
人からされた嫌な経験やトラウマは、人が優しく接することで少しずつ忘れさせていくしかありません。
この時、決して強引にアプローチして焦って仲良くなろうとしないことが大切です。
あくまでも犬のペースや気持ちに寄り添ってあげてください。
3.人が近づいて来ると威嚇する
人のことを信用していない犬のなかでも特に、人に対して敵対意識や恐怖心を持っている場合は、自分を守るために人が近づいて来ると威嚇行動をして遠ざけようとすることがあります。
特に、人から叩かれたり蹴られたりといった危害を加えられたことのある犬は、人が近づいて来ることや人が手足を動かすことを非常に怖がります。
逃げることができる状況であればその場から離れる場合が多いと思います.
しかし、同じ部屋の中にいたりリードでつながれていたりすると、逃げることができないために相手への威嚇で遠ざけようとするのです。
唸ったり吠えたりという威嚇をしても人が離れてくれない場合は、より強い恐怖心を抱き、自分が危害を加えられる前に攻撃をしてしまうことがあります。
そのため、怯えて威嚇している犬の場合は、無理に接触しないように十分に注意してください。
4.激しい破壊行動や自傷行為
人のことを信用できない犬は、とても強いストレスを感じています。
もちろん、自然の中で人と接することなく自分で狩りをして生活しているのであれば、そのストレスを感じる機会もないと思います。
けれども、現代の日本ではそのような生活をしている犬はほとんどいないでしょう。
誰のことも信用できず、人に対して警戒心や恐怖心を抱き続けていたとしても、人間が暮らしている社会で生きて行かなければならない場合、そのストレスは計り知れません。
常に「誰に何をされるかわからない」という不安感や恐怖を抱えているため、気が休まることがないからです。
こうしたストレスを感じていると、心身への負荷が強くかかり、精神病と言われるような症状が出てしまうことがあります。
自分の手足を真っ赤になるほど舐めたり、尻尾をぐるぐると追いかけ回したり、地面を掘る仕草をしたりといった行動を延々と続けるのです。
また、家の中で激しく暴れたり、クッションや家具などを破壊したりする様子も見られます。
自傷行為や破壊行動そのものを叱ってやめさせようとしても、状況は悪化することが多いので、ストレスの原因自体を解消するように努めましょう。
まとめ
犬は信頼している人と一緒にいる時間に安らぎを感じたり、コミュニケーションで幸福感を感じたりする動物だと考えられています。
そのような犬が、誰のことも信用できずに人と暮らし続けるということはとても悲しいことだと思います。
人を信用できない犬の気持ちをほぐして信頼してもらうためには、じっくりと時間をかけてその犬の気持ちに寄り添いながら接することが必要です。
大きな心で辛抱強く接することで、犬の気持ちは少しずつ変化していくことでしょう。