1.むりに犬を引き離そうとする
わんこに咬まれると多くの人が「早く犬を引き離さなくては!」と焦ってしまい、咬みついている犬を力づくで無理やり引き離そうとしてしまいます。
早く痛みから解放されたいという思いと同時に、このままでは噛みちぎられてしまうかもという危機感が働くためでしょう。気持ちはわかりますが、ここでむりに犬を引き離そうとするのは絶対にNGです。
咬みついたままの犬をむりに引っ張れば、牙が皮膚を切り裂いてしまい傷口がより広がってしまう危険性が高いからです。
とにかく口を上下に開けさせる
わんこが咬みついたまますぐに放してくれない場合には、とにかく焦らずにわんこの口を上下にパカッと開けさせることを目指します。咬まれている場所が腕の場合などには自力で口を開けさせるのは難しいので、周囲の人に助けを求めましょう。
ただし無理に口を開けさせようとすることで、助けに入ってくれた人も受傷の恐れがあるような場合には、まずは、わんこを落ち着かせたり別のものに興味を誘導したりして、自ら口を放してくれるよう試みましょう。
犬が興奮状態になっている場合は、素手で何かしようとするのは危険です。厚手のタオルを複数枚利用するなど防御手段が必要です。
2.傷口を洗わない
咬まれた程度によっては、傷口から出血を伴う場合と伴わない場合があるでしょう。ですがいずれにしても、咬まれてそのまま傷口を押さえて痛みが引くのを待ったり、ハンカチなどで縛って止血を試みたりするのはNG行為です。
傷口に雑菌が入ってしまったり、犬の血液やだ液などを通して感染症の元となるウイルスが侵入してしまっていたりする危険性があるからです。
流水でしっかり洗い流す
子どもが足を擦りむいたときも、まずは傷口を水で洗い流してから消毒をするよう言い聞かせますよね。まず傷口をキレイにすることは、それがどんな傷であっても共通の基本事項です。
深い傷の場合には痛むかもしれませんが、ぐっと我慢して清潔な流水で傷口をしっかり洗い流しましょう。30分以内に行うことが重要と言われています。消毒液がすぐ近くにあって消毒をすることができれば応急処置としてはベストですが、できない場合は水で洗うだけでも効果が大きく違います。
3.病院に行かない
わんこに咬まれた場合でも出血をしていなかったり、傷が大したことなかったりすると「このまま様子を見よう」と思ってしまうかもしれません。
特に他人のわんこに咬まれた場合には、あまり大げさに騒ぎ立てると相手にも悪いという気持ちが働くかもしれませんが、ささいな怪我であっても病院に行かずに様子を見るのは絶対NGです。
傷自体が大したことなかったとしても、すでにご紹介した通り洗い流しが足りずに雑菌が入ってしまっているリスクもあれば、わんこの血液やだ液などを通して感染症を患ってしまっているリスクもあるからです。犬の口の中にはパスツレラ菌、カプノサイトファーガなど犬には影響がほぼないですが、場合によっては人間に大きな被害を与える常在菌がいます。
「うちの犬はしっかり予防接種を打っているし、健康だから大丈夫」と思っても、わんこの体内では発症せずに人間の体内でのみ発症する感染症などもあり、油断は禁物です。
傷の程度に関わらず必ず受診を
わんこに咬まれてしまった場合には傷の程度に関わらず、必ず医療機関を受診しましょう。
その際に「犬に咬まれたこと」はもちろんのこと、咬まれたときの状況(何時間前に咬まれたのか、出血はあったのか、どのような応急処置を行ったのか)、咬んだわんこが自分の飼い犬や知人の飼い犬でわかるのであればその健康状態(予防接種の有無、病気の有無など)などをしっかり伝える必要があります。
そうすることで感染症のリスクが疑われる場合には、適切な検査や処置をしてもらうことが可能になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?もともと警戒心が強いわんこはもちろんのこと、普段は穏やかで人懐こく、今まで人を咬んだことなど一度もないというわんこでも、何かのスイッチが入って突然咬みついてしまうという可能性はゼロではありません。
「うちの子は絶対に大丈夫」という油断が悲劇を招くこともあるのです。特に咬みついた相手が家族以外の他人であった場合、そのまま訴訟に発展するというケースも少なくありません。
咬まれてしまったときの正しい知識を身に着けるのと同時に、咬傷事故を防ぐためにできる限りの対策はとっておくべきでしょう。