いびきの仕組み
犬の睡眠時における平均呼吸数は1分間に約14回。睡眠時は主に鼻から空気を取り入れ、吐くことを繰り返しながら呼吸をしています。
しかし、この空気の通り道が何らかの原因で狭くなると、空気が気管を通る際に粘膜が振動します。その振動が音となり、いびきが発生するというわけです。
いびきの原因3つ
いびきの原因にはどんなものがあるのでしょうか。いびきに繋がる原因を3つ見ていきましょう。
いびきには大きな病気の可能性が潜んでいるものもありますが、ここでは病気以外の原因を紹介します。
1.短頭種(たんとうしゅ)
わかりやすく言うと、鼻ぺちゃ顔の犬たちのことです。フレンチ・ブルドッグ、パグ、シー・ズー、ペキニーズなどに代表される、頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短い犬たちを「短頭種」と呼びます。
このタイプの顔つきをした犬は、生まれながらに鼻から気管にかけての気道が狭い体の構造をしているので普段からフガフガと鼻を鳴らすことがあります。特に就寝中は気道の筋肉が緩んでいる状態(弛緩状態)になり、いびきをしやすくなるため飼い主が目撃することも多いです。
2.アレルギー
あなたの愛犬は、なにかに対するアレルギーを持っていませんか。アレルギー反応が起こると、犬の喉周辺や気道の粘膜に炎症、浮腫を起こすことから、通常よりも気道が狭くなります。そうした原因により、アレルギーを抱えている犬はいびきをしやすくなるというわけですね。
この場合は、動物病院でアレルギー検査を行い、アレルギーの原因となる物質を探す必要があります。検査によってアレルゲンが特定されれば、生活改善や投薬、食事などでアレルギー反応の改善が良い方向に向かうことが多いので、それにともなっていびきも治まることがほとんどです。
3.加齢
避けては通れない、加齢。犬の寿命はおよそ15~16年と言われているので、まだまだ若いと思っていた子も、ふと気づけばシニア期と呼ばれる世代に入っていることも。
シニア期は一般に8歳前後が目安なので、そのあたりから体のちょっとした変化にいち早く気づいてあげることが大事です。いびきもシニア期に起こる変化のひとつ。加齢とともに喉や首の筋肉が衰えるため、若いときよりもいびきをしやすい傾向にあります。
そのいびき、要注意
いびきの中には、病気のサインかもしれないものがあります。例えば以下のような病気です。
- 短頭種気道症候群
(いびきや興奮時の呼吸困難。進行するとチアノーゼなどの重い症状をひき起こす)
- 軟口蓋過長症
(軟口蓋が長く喉の入り口に垂れ下がっているため、短頭種気道症候群になりやすい)
- 気管虚脱
(気管がつぶれてしまうことで呼吸が困難になる。よだれを垂らして喘ぐ、倒れるなども)
また、これらの病気に関わらず、健康な犬でも、疲労、たばこの煙による刺激などによっていびきが起きやすくなります。また、肥満傾向にある犬は気管の肥厚によりいびきがしやすくなるので、体重管理を行うのが良いでしょう。
まとめ
犬は本来、警戒心がとても強い生き物なので、特に仕事を持つ犬たちは熟睡することがほとんどないとされてきました。しかし、近年の犬たちは人の生活にピッタリと密着し、安心な暮らしを送るようになったため、外敵から身を守る必要がなくなりました。
そのため、熟睡して眠ることができるのです。健康な犬の場合、いびきは熟睡しているときに見られますので、基本的にはそっとしておいて問題ありません。ただし、「いびきが大きすぎる」「苦しそうにしている」「舌の色が青っぽい」ときは病気の可能性があるためで、獣医さんに相談してください。