『長生きする犬種』は?
現在の犬の平均寿命はおよそ14歳ですが、犬種によって違いが見られます。必ずしもその平均寿命まで生きられるとは限りませんが、長生きとされている犬種を飼いたいと考える人は少なくないでしょう。
では長生きとされているのは、どの犬種でしょうか?以下からご紹介していきます。
1.イタリアン・グレーハウンド(平均寿命12〜15歳)
グレーハウンドなどのハウンド種を小型犬に改良した犬種です。16世紀のイタリアで普及したため、イタリアン・グレーハウンドという名がつきました。
見た目は華奢ですが体が丈夫で病気にも強いと言われており、長生きな傾向にあります。しかし、骨が細く骨折しやすいことと寒さに弱いことに注意が必要です。室内の安全対策と冬場の散歩時の防寒対策には万全を心がけましょう。
2.ミニチュア・ダックスフンド(平均寿命12〜16歳)
ケネルクラブの登録犬種としては『ダックスフンド』1種類ですが、体のサイズで大きいほうから『スタンダード』『ミニチュア』『カニンヘン』に分けられます。
ドイツ語で『ダックス』は『アナグマ』、『フンド』は『犬』を意味し、もともとはアナグマ猟に使われていました。
ウサギやネズミといったテン類などの小動物の狩り用に小型化されていき、ミニチュア・ダックスフンドが誕生したのは16世紀です。ワタウサギ狩り用に作出されました。
ミニチュア・ダックスフンドは長生きな犬種とされていますが、胴長な体型を原因とするトラブルが多いです。運動不足になると胴回りの筋肉が減少し背骨を支えられなくなり、歩けなくなることがあり、椎間板ヘルニアにもなりやすいです。
肥満は椎間板ヘルニアを誘発するため、子犬期から適度な運動と食事管理を徹底しましょう。また椅子やソファへ乗り降りさせないなど、なるべく腰に負担がかからないようにすることも大切です。
3.トイ・プードル(平均寿命12〜15歳)
プードルも登録犬種としては1種類ですが、サイズによって『スタンダード』『ミディアム』『ミニチュア』『トイ』の4種類に分けられます。日本で一番人気なのが、最も小さいトイ・プードルです。
祖先は水辺の猟で、水鳥を回収していた犬と考えられています。フランスの貴族の愛玩犬として人気が高まり小型化が進められた結果、18世紀頃にトイ・プードルが作出されました。
トイ・プードルは膝蓋骨脱臼になりやすいものの長寿の傾向にあり、20歳まで生きた超長寿犬も!
4.柴犬(平均寿命12〜15歳)
1936年に国の天然記念物に指定されている柴犬は、日本人に馴染み深い犬種です。縄文時代に南方の民族に連れて来られたと言われており、かつては山岳地帯で鳥や小動物の猟に使われていました。
元来、丈夫な犬種で長生きする子が多いようです。しかし柴犬をはじめとする日本犬は、認知症が発症しやすいと言われています。
日頃から脳に刺激を与えて発症を予防することと、進行しないうちに早めに症状に気づき対処していくことが大事です。
5.パピヨン(平均寿命13〜15歳)
犬種名の『パピヨン』は、フランス語で『蝶』を意味します。大きな耳が蝶が羽ばたいているように見えることから、この名がつけられました。
1500年頃に小型のスパニエルに改良を加えて誕生したのが、この犬種と言われています。フランス宮廷で人気を集め、マリー・アントワネットの飼い犬だったことで有名です。
骨格は細いですが体が丈夫で、長生き傾向の犬種です。膝蓋骨脱臼になりやすいので、高いところから飛び降りないように注意しましょう。
『長生きする犬種』に共通する特徴は?
ご紹介してきた長生きする犬種には共通する特徴があります。それは『小型犬』ということと『遺伝性の疾患が少ない』ということです。
1.小型犬
理由ははっきりとは分かっていませんが、一般的に大型犬と比べて小型犬のほうが長生きな傾向にあります。
大型犬のほうが成長スピードが速いことや、大型犬は体の大きさに対して臓器が小さく負担がかかることなどが関係しているのではないか、と考えられています。
2.遺伝性の疾患が少ない
遺伝性の疾患が少ない犬種は長生きする傾向にあります。遺伝性疾患の中には寿命に大きく影響するようなものもありますが、ご紹介した犬種にはそのような遺伝性疾患が比較的少ないです。
健康維持の秘訣は?
長生きする犬種であってもそうでない犬種であっても、長く一緒にいるためには健康を維持することが重要です。ここからは、犬の健康維持の秘訣をご紹介していきます。
1.免疫力を高める
免疫力が低下すると病気やがんになりやすくなります。それは犬も人も同じです。健康を維持するには、免疫力を高めることが重要なのです。
犬の免疫力を高めるには
- 栄養バランスのよい食事を取る
- 適度な運動をする
- 良質な睡眠を取る
- ストレスの少ない生活を送る
- 腸内環境を整える
といったことが大事です。
中でも注目すべきは、腸内環境を整えること。腸は免疫力と無関係に思えるかもしれませんが、実は大いに関係しています。免疫細胞のおよそ7割が腸に集まっているのです。それはつまり腸内環境を整えれば、免疫力が高まるということです。
犬の腸内環境を整えるために、その効果が期待される食べ物(納豆、ヨーグルト、バナナ、さつまいもなど)をいつもの食事にトッピングしたり、おやつとして与えたりするのがおすすめです。ただし、与えすぎないように注意しましょう。
2.予防できる病気は予防する
予防できる病気は予防することも、健康維持に繋がります。年に1回の狂犬病予防注射と混合ワクチンの接種で、致死率の高い感染症を予防することができます。フィラリアやノミ/マダニの予防薬を投与すれば、怖い寄生虫から犬を守れます。
また去勢/避妊手術によって、オスなら精巣腫瘍や前立腺肥大、会陰ヘルニアなど、メスなら子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などの予防が可能です。
一方で去勢/避妊手術には、麻酔のリスクや太りやすくなるといったデメリットもあります。メリットとデメリットをよく理解した上で、手術するかどうか判断をしましょう。
3.定期的に健康診断を受ける
健康を維持するには定期的に健康診断を受けて、犬の体の状態を知ることが大切です。健康診断は病気を早期に発見できるだけではありません。診断結果を元にした獣医師からのアドバイスにより、病気になる前に予防することもできます。
シニア期(一般的に小/中型犬は7歳以上、大型犬は5歳以上)の犬は半年に1回、それ以外の犬も年に1回は健康診断を受けましょう。
まとめ
今回は『長生きする犬種』を5犬種ご紹介しました。ご紹介した犬種は長生きな傾向にありますが、必ず長寿になるという保証はありません。
どの犬種であっても長生きするためには、飼い主さんが健康維持に努めてあげることが大事です。ご紹介した健康維持の秘訣を参考に、ぜひ長寿犬を目指してくださいね!