1.顔などの見た目
犬の視力は人間で換算すると0.2~0.3程度とされていて、あまりよくないと考えられています。
しかし近い距離であれば、ある程度見た目で把握することができます。
反対に、遠い距離であれば優れた動体視力によって、動いているものを視覚で捉えることができるのです。
そのため、犬は人間と全く同じとは言えないまでも、飼い主さんの顔や外見を認知して他人との見分けを行っていると考えられます。
実際、イタリアやフィンランドなど世界のさまざまな大学や研究チームによって、犬が人の顔を中心とした外見で見分けを行っていることが実証されています。
動いている人だけでなく、顔写真を見せるという方法の実験などもあるため、体格や動きを含まない顔だけでの見分けも可能だということがわかっているのです。
さらに、実験の中で、若年の犬に比べて視力が低下しているシニア期の犬の方が、見た目で見分ける能力が低いという結果も出ています。
このことからも、犬が視覚を使って人を見分けているということがよくわかります。
2.におい
犬は嗅覚が優れていて、においを強く感じるだけでなく、さまざまなにおいを嗅ぎ分ける能力が高いということがわかっています。
そして、その能力を使って、飼い主さんのこともしっかりと認識していると考えられています。
飼い主さん自身の体臭はもちろん、洗濯洗剤や柔軟剤、香水、化粧品、整髪剤など飼い主さんから発せられているにおいも覚えていて、そのにおいにも反応しているとされています。
飼い主さんが長期入院してしばらく会えなかった上に、痩せて見た目もかなり変わった場合に、見た目では半信半疑だった犬が、においを嗅いだ途端大喜びした、という事例もあります。
また、盲導犬になる前の子犬を預かって育てていた人に、盲導犬を引退してから会いに行った時、においを嗅いで相手が誰かを確信した様子を見せる犬もいます。
このような事例は、特に珍しいものではないようです。
顔を隠して洋服などを変えてカモフラージュしている状態でも、においを嗅ぐことで飼い主さんを見分けるということは十分に可能なことだと考えられています。
3.声や足音
犬が飼い主さんを見分けるために必要な要素として他にも挙げられるのが、「音」ではないでしょうか。
嗅覚と同様に、犬は聴覚も優れていて非常に敏感に音を聞き分けることができるとされています。
そのため、声を聞くことで飼い主さんを認識することができますし、飼い主さんが出す音にも反応することが多いのです。
具体的には、留守番中に外から聞こえてくる足音や車のエンジン音を聞き分けて、飼い主さんの帰宅をいち早く察知するということがあります。
これを裏付けるような研究は、国内外のさまざまなチームで研究が行われています。
飼い主さんの姿と飼い主さん以外の人の声を合わせた映像を見せると、犬が判断に迷うように不思議な表情で見つめ続ける時間が長くなる、という結果なども出ています。
このことから、犬がさまざまな情報を得て、総合的に判断しているということがわかっています。
まとめ
犬は飼い主さんを認識すると、うれしそうに駆け寄ってきたり飛びついたりすると思います。
その際、犬は飼い主さんの見た目やにおい、声などの情報から総合的に判断しているということがわかっています。
また、今回解説した通り、犬は嗅覚や聴覚が鋭いため、見た目では隠そうとしてる感情なども読み取ってしまうことがあります。
このように、犬は私たち飼い主のことを普段からよく観察しています。
同じように私たちも愛犬のことをきちんと日々観察し、気持ちや体調などをしっかりと把握してあげるようにしましょう。