食事は健康の基盤
動物は、生きていくために必要な栄養素を食事から摂ります。
愛犬に健やかに長生きしてもらうためには、良質な食事から、必要な栄養をバランスよく摂ってもらうことが大切です。
そのため、愛犬には毎日の食事をしっかりと食べて欲しいというのが、飼い主さんの願いです。
いつも美味しそうにご飯を平らげていた愛犬があまり食べなくなってしまったら、飼い主さんはとても心配になります。
本記事では愛犬の食を細くする代表的な原因として、「病気」「生活習慣」「ストレス」「加齢」に着目し、そのそれぞれについて、食が細くなる他にどのようなサインが見られるのか、どのような改善方法があるのかについて解説していきます。
1.病気が潜んでいる場合
病気が潜んでいる場合のサイン
病気が潜んで食が細くなっている場合、食欲不振以外の症状も現れていることが多いです。
特に下記のような症状が見られる場合は、病気である可能性が高いといえるでしょう。
歯の汚れ(黄ばみ)、歯茎の腫れや出血、酷い口臭などが見られる場合は、歯周病や口内炎などの口腔内疾患の発症が疑われます。
繰り返す嘔吐や下痢、血便、衰弱、元気消失などの症状が見られる場合は、胃腸炎などの消化器疾患の発症が疑われます。
元気消失、咳、パンティングがみられる場合は心臓疾患、黄疸、尿の色の変化がみられる場合は肝臓や胆嚢のトラブル、震え、けいれん発作などが見られる場合は、神経疾患等が考えられます。
呼吸の際にゼーゼーという音が出る、いびきをかく、失神するなどの症状が見られる場合は、呼吸器疾患の発症が疑われます。
咳、呼吸困難、チアノーゼ、腹水がみられる場合は心疾患が考えられ、フィラリア予防をしていない場合はフィラリア症の疑いが濃くなります。嘔吐、下痢、痩せるといった症状が見られる場合は、回虫などの寄生虫による感染症が疑われます。
改善する方法
食が細いと感じたら、それ以外の気になる症状の有無を確認し、気になる点があれば早めに動物病院で診てもらいましょう。
他の症状がなく、いつも通りに元気があり、オシッコやウンチも普通に出ていれば、2〜3日様子を見ても大丈夫でしょう。
2.生活習慣に問題がある場合
生活習慣に問題がある場合のサイン
ちょっと食べないとすぐに新しいフードやおやつなどを与えていると、愛犬は「食べないで待っているともっと美味しいものを貰える」と学習します。
別のものを出すと口を付ける場合には、この可能性が疑えます。
神経質な犬の場合は、いつもと異なる食材が入っていると、警戒して口にしなくなることがあります。
こういう犬の場合は、フードの種類を変更しなければならなくなったような時に苦労することになります。
改善する方法
ご飯を出してから1時間経っても残した分は片付け、代わりの食べ物を与えないようにします。
これを繰り返すことで、「待っていても他のものは出てこない」と学習し、お腹が空けば出されたものを食べるようになります。
また1日に与えるおやつの量は、1日の総摂取カロリー量の10%以内が目安です。
おやつはこの範囲内でしつけのご褒美として与えるようにし、ご飯の代替えにしてはいけません。
ただし、子犬の頃からいろいろな食材やフードを食べさせるようにし、何でも食べられるようにしておきましょう。
3.ストレスが潜んでいる場合
ストレスが潜んでいる場合のサイン
長期間ストレスが溜まった状態が続くと、それが原因で食が細くなることがあります。
新しい家族や同居犬が増えた、引っ越した、飼い主さんの生活サイクルが変わったなど、生活環境の変化は愛犬にとって大きなストレス要因になります。
ストレスが潜んでいる場合も、食欲不振の他に嘔吐、下痢、過剰な足なめ、攻撃行動などのストレスサインが見られるようになります。
愛犬のストレスサインを見逃さないようにしましょう。
改善する方法
まずはストレスの原因を究明し、それを取り除きます。
同時に、できるだけ飼い主さんと愛犬とのコミュニケーションを密にして、しっかりとメンタル面をケアしましょう。
運動不足もストレス要因です。積極的に散歩時間を増やすのも良いでしょう。
4.加齢による食欲の低下の場合
加齢による食欲の低下のサイン
年齢を重ねると、筋力や新陳代謝、消化機能が低下します。また、嗅覚なども低下します。
それに伴い1日の消費エネルギー量が減少するため、必要となるエネルギー量も少なくなっていきます。
そのため、高齢犬の食欲不振はあまり心配する必要のないことも多いです。
ウンチやオシッコがいつも通りで体重の減少も著しくなければ、加齢が原因の自然な食欲低下だと考えられます。
改善する方法
犬は、嗅覚で美味しさを判断します。嗅覚が衰えてニオイを感じにくくなっていることもあります。
例えばウェットフードなら、電子レンジで少し温めると香りが立つので、食欲回復に繋がることがあります。
硬いものを食べづらくなっている場合は、ドライフードにスープをかけてふやかす、ウエットフードをすりつぶして流動食にするといった工夫で、食べやすくしてあげるのも良いでしょう。
まとめ
愛犬の食が細くなったことに気付いたら、まずは愛犬の様子をよく観察し、病気の可能性が高いのか、他の原因によるのかを見極めましょう。
少しでも病気を疑う要素があれば、迷わずに動物病院で診てもらいましょう。
病気の他にも、愛犬の食を細くする原因はいくつかあります。
食が細くなる前の様子をよく思い出し、原因に応じた対策を試みてください。