鼻を鳴らすことの意味
犬と一緒に暮らしている飼い主さんであれば、愛犬が鼻を鳴らしているのを聞いたことがあると思います。人間のように言葉を話せない犬は、鳴き方や仕草によって、自分の気持ちを表します。その一環として、鼻を鳴らすということも含まれています。
つまり、故意に鼻を鳴らしている場合、それはコミュニケーション手段の一環だということです。逆に、無意識に鼻を鳴らしている場合は、病気の可能性も考えられます。愛犬の気持ちを汲み取れるようになるためにも、また隠れている病気に気付くためにも、愛犬の様子をよく観察しましょう。
それが、飼い主さんと愛犬の絆を深めることに繋がります。また、いつもと様子が異なる時には、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
1.フンッ!
最もよく耳にするのが、「フンッ!」という鼻の音かもしれません。実は、「フンッ!」と鼻を鳴らすときの犬には、いくつかの気持ちが考えられます。1つ目は、「しっかりとニオイを嗅ぎたい」という気持ちで、「フンッ!」と鼻から強く息を吹き出すことで、鼻の通りを良くしている場合です。
犬はとても嗅覚が優れているため、ニオイからさまざまな情報を読み取っています。散歩の途中などで何かのニオイを嗅ぎいながら「フンッ!」とやった場合は、それまでの情報をリセットして、別のもっと重要な情報を得ようとしていると考えられます。
2つ目は、ストレスや不満を感じている時です。飼い主さんの行動を見て期待していたことが起きなかった時や、いつもおやつを貰える時間なのに貰えない時など、思い通りにいかなくて気持ちがクサクサしている状態だと考えられます。場合によっては、「フーッ」という長い溜息のような音になる時もあります。
3つ目は、疲れた時です。いつもよりも長時間の散歩をした、いつもよりも少し激しく、または長時間遊んだなどという時に、「フンッ!」と鼻を鳴らしたら、ちょっと疲れているのかもしれません。少し休ませてあげましょう。
4つ目は、リラックスしている時です。人間も、リラックスするとため息が出ることがあります。同じように、犬もリラックスして「さぁ、寝よう!」などのタイミングで鼻を鳴らすことがあるのです。この場合も、「フーッ」という長い溜息のような音になる時もあります。
2.ピーピー
高い音で「ピーピー」と鼻を鳴らしている時の犬は、不安を感じていると考えられます。愛犬が何に対して不安感を抱いているのかを突き止めて、原因を排除し、気持ちをほぐしてあげましょう。
気を付けたいのは、飼い主さんが出かける支度をしている時です。下手に声を掛けてしまうと、余計に気持ちを乱してしまうこともあります。なるべく愛犬の気を逸らして、気付かないうちに家を出るようにしましょう。
また、留守中に夢中になれる知育玩具のようなおもちゃを与える等で、留守中も何か熱中できることを作ってあげるような工夫をすると良いでしょう。
3.クンクン
犬は、喜んだり興奮したりすると、鼻を「クンクン」と鳴らします。喜んでいる場合は良い意味での興奮ですが、中には悪い意味、つまり恐怖や不安で興奮している場合も考えられます。
「クンクン」の語尾が下がっている場合、もしくはあまり変化が感じられない場合は、良い意味での興奮の場合が多く、語尾が上っているような場合は、悪い意味での興奮の場合が多いといわれています。
いずれの場合でも、興奮させすぎるのは愛犬にとってもよくありません。良い意味での興奮の場合は、「オスワリ」などの指示を出して別のことに集中させてクールダウンさせましょう。また、悪い意味での興奮の場合は、恐怖や不安の対象を排除して落ち着かせるといった工夫で、気を静めさせましょう。
病気の場合もあるので要注意
もしも、「グーグー」とか「ガーガー」、または「フガフガ」といったような音で鼻を鳴らしている場合は、裏に病気が隠れている可能性が考えられます。特にフレンチブルドッグやパグ、ボストン・テリアなどの短頭種の場合は、短頭種気道症候群を発症している可能性が高いです。
鼻の構造により、十分に気道を確保することができずに、呼吸困難を起こす病気です。鼻を鳴らしているだけではなく、口を開けてハァハァと舌を出しながら息をしている、大きくて不規則ないびきをかくといった場合は、動物病院で受診することをおすすめします。
また、注意が必要なのは短頭種だけではありません。肥満気味の犬も、厚くなった脂肪層に圧迫されて、同じように気道を十分に確保できずに呼吸困難を起こしやすくなります。
まとめ
犬と人間は、どんなに親しくなっても直接言葉で意思疎通をすることはできません。しかし、よく愛犬の様子を観察していると、愛犬の仕草や声などで気持ちを伝えようとしていることが分かります。鼻を鳴らす場合も同じです。
ただし、同じように聞こえる鼻の音も、いくつかの意味があるケースがありますので、ただ鼻の音だけで判断するのではなく、愛犬の様子をよく観察してその前後の状況も含めて広く判断するようにしましょう。
また愛犬が故意に鼻を鳴らしているのではなく、無意識に鳴ってしまっている場合は、裏に病気が潜んでいる可能性があります。いつもと様子が異なると感じた場合は、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。