風邪とは
人間の場合、風邪とは「風邪症候群」といい、鼻や喉の周辺(これを上気道といいます)にあらわれる急性の炎症を総称したものとなります。
主にウイルスが鼻粘膜や喉の粘膜から感染して炎症を起こすため、鼻水、くしゃみ、せき、喉の痛み、発熱などの症状がでます。
また、風邪をひきおこすウイルスは、200種類以上あるといわれています。
どのウイルスの感染なのかを特定するのはなかなか難しく、同じウイルスでも様々な株型があったり変異したりするので、症状も少しずつ異なります。
そのため、一度感染したウイルスであっても何度も感染を繰り返してしまうのです。
また風邪をひいている最中に細菌感染を起こしてしまうこともあります。
犬の風邪
さて、犬も人間同様に「いきもの」ですので、ウイルスや細菌などの感染により風邪をひくことがあります。
代表的な「犬の風邪」は、ケンネルコフという咳症状がでる病気です。
ケンネルコフは犬舎やペットホテルなど犬たちが多く集まるところで発生しやすい病気で、主な病原体は犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス2型でしょう。
犬がケンネルコフを発症した場合、主に咳や発熱、目やになどの症状に現れます。犬のあくびやくしゃみは頻繁に見ることがあります。
犬の咳は私たちの咳と異なり、喉に何かが引っかかっているような咳ばらいに近いです。
咳をしすぎると嘔吐してしまうこともあります。
また鼻腔に炎症が起こると、いつもより粘り気の強い膿のような鼻水がでたり、鼻血が出たりします。
この状態ですと嗅覚が落ちるため、食餌に興味を持たなくなって食欲不振の症状がみられることもあります。
更に、犬も発熱することがあります。
犬の平熱は38℃台なので人間よりずいぶんと高温です。
散歩後や興奮しているときなどは39℃台になる犬もいます。
何となく元気がないというときに耳や太ももの内側などを触ってみて、いつもより熱いという場合は発熱している可能性があります。人用の体温計でも測ることができますので、犬用として1本持っておくと役に立ちます。
対処法
犬が風邪をひいてしまった場合、どんな治療をする必要があるのでしょうか。
しかし人間同様、体力や免疫力などに個体差があるために一概に「すぐ動物病院へ」というわけではありません。
人間も軽い風邪であれば寝てれば治るという方もいるのではないでしょうか。
犬も同じく、体力がある犬の場合は消化の良い食餌を与えて散歩などを控え、おとなしくしているだけで症状がよくなることがほとんどです。
いつもとちょっと違うな、くしゃみをしているな、咳っぽいかなと思ったら、良く様子を観察して、食餌の内容や運動量などを調整してあげると良いようですね。
ただしあまりに食欲がない場合や目やにが酷くて目があかない、熱が高い、咳と嘔吐が酷いなどの症状がある場合はすぐに獣医さんの診察を受けましょう。
重症化して肺炎をおこしていたり、「風邪」とは別の病気が隠れていたりする可能性もあるので、診察後は投薬の指示をきちんと守ることが大切です。
もちろん、人間用の風邪薬を与えてはいけません。
人用の風邪薬にはアセトアミノフェンが含まれていることがあります。これは犬にとって有害で、命にかかわります。
まとめ
成犬の場合、体力や免疫力も十分であることが多いため、「犬の風邪は重症化しにくい」と言われています。
しかし、子犬の母子免疫が落ちたころやシニアになったころは免疫機能が十分に働かず、ちょっとした風邪でも重症化する可能性もあります。
人間も風邪は万病のもとといいますが、犬の場合も症状を拗らせないうちに動物病院で診察を受けましょう。